第1章: 汚染される世界と地下都市の決意
秀城たちが地下都市に帰還した時、そこは既に臨戦態勢を超えた、要塞と化していた。都市の入り口は、プラチナとセレンによって、白金族元素とセレンの半導体特性を融合させた、対放射線・対魔力二重結界で厳重に封鎖されていた。
「メンデレ!無事だったか!」 セレンが、疲労の色を浮かべながらも、秀城たちの帰還を喜んだ。「そして、その方は…?」 「アメリ・カレント様。アメリシウムの巫女です。俺たちの新しい仲間です」 「アメリシウムの使い手…!なんと心強い」
会議室に集まった幹部たち(アルゴン、セレン、プラチナ、アルカイア)の表情は、一様に暗かった。 「メンデレ君、君がレベル20に到達し、新たな力を得たことは喜ばしい。だが、状況は最悪だ」 アルゴンが、壁の世界地図を指差した。地図の各地が、不気味な赤黒い斑点で覆われ始めていた。
「アルケミスの自動汚染システムは、世界各地に潜伏させていた元素狩りの残党が起動させたウラン兵器によって、世界中に拡散している。このままでは、あと数ヶ月で、元素界の生態系は回復不可能なレベルまで汚染されるだろう」
「賢者の石の魔法陣は、俺が記憶しています」秀城は報告した。「ですが、アルケミスはその魔法陣を『崩壊』の力で起動させようとしています。そして、最後の鍵となるアインスタイニウム(Es)は、魔界にある可能性が高い」
「魔界…」アルカイアが、その言葉に重々しく反応した。「やはり、奴はそこに行き着いたか。魔界は、崩壊のエネルギーが渦巻く混沌の次元。奴がそこでアインスタイニウムを手に入れ、『崩壊の賢者の石』を完成させれば、奴は元素界と魔界の両方を支配する、神に等しい存在となり果てる」
「つまり、俺たちはアルケミスより先に魔界へ行き、アインスタイニウムを手に入れ、『調和の賢者の石』を完成させ、世界の汚染を浄化しなければならない。そういうことですね」 秀城の言葉に、全員が頷いた。
「問題は、どうやって魔界へ行くかだ」ジンクが言った。「ワールド・ゲートは破壊された。アルケミスはどうやって…?」
「奴は、ウラン兵器の核爆発によって生じる時空の歪みを利用し、魔界への『仮設ゲート』をこじ開けているに違いない」とセレンが推測した。「世界各地で同時に攻撃が始まっているのは、その『仮設ゲート』を複数作り出し、我々を混乱させるためだ」
「なら、俺たちもそのゲートを利用するまでです」 秀城は立ち上がった。「アルゴン様。最も魔力反応が強く、安定した『仮設ゲート』の位置を特定してください。俺たちパーティーが、そこから魔界へ突入します」
「危険すぎる!」プラチナが反対した。「不安定なゲートだ。次元の狭間で消滅するかもしれない!」
「ですが、他に方法はありません」アメリが静かに、しかし強く言った。「私と秀城様の時空安定化フィールドがあれば、ゲートを制御できるはずです。それに、魔界の汚染は、私のアメリシウムの力でなければ防げません」
アルゴンは、秀城とアメリの覚悟を見て、ついに決断した。 「…分かった。全守護者の総力を挙げ、魔界への座標を特定する。メンデレ君、君たちに、この世界の未来を託す」
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