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第七話 魔法使いになった俺は念願の魔法学校の生活を満喫した!④

35歳で魔法が使えるようになって異世界に行けるようになったのはいいが魔法で

元の世界に帰る事が出来なくなってしまった。

戦争に勝てば異世界への門の使用許可が出ると聞いて戦争に勝つが、その異世界への門

は破壊されていた。

そこで神か悪魔か分からないいつの間にかについてきたDに勝利者特権を敵国の亜人

自治区の権利の強化に使って異世界への門の知識を持つと思われるエルフと交渉する

事を提案され実行する事になった。

俺は元の世界に帰れるのか?

「キキ様、キキお姉様お起きになって下さいな。」


ベッドで寝ている俺の横に勝手に添い寝しながら起こしにくるテティアの

頭をガッチリ手で掴み力を入れる。俗に言うアイアンクローを掛けながら

ベッドから排除し、起き上がる。その間「さっ最高!最高っしゅ!」と

漏らすテティアの独り言を無視する。


あの後フォージャイル学園長に何度も魔法を再現させられて結構ある

はずの俺の魔力が削れて眠くてしょうがない中、アージェン達三人に捕まり

同好会のお誘いの話が長くなりそうだから魔法開発同好会に入会したが

更に証拠になる物を出せと言われて入会促進用に何か作って魔力が切れて

倒れるように寝たが起きても気分的には最悪であった。

出来れば憂さ晴らしにテティアに八つ当たりをしたいが、今日はヘクトール

王国の亜人自治区のお偉いさんであるエルフの長老と謁見が許された日だ。

変態丸出しテティアを連れて行くのは論外なのでそんなまねはしない。


テティアにも支度をさせて俺自身も新しく買ったフォーマルドレスを用意して

昨日助けた子猫をアージェン達に預かってもらう。

昨日の今日なので名前が決まらない。初めて付ける名前だけに最高の物に

したいからな。口惜しいが名前を決めるのは帰ってからだ。

色々支度を済ませて特殊な浮遊列車に向かう。外交用の浮遊列車でアメリカの

エアフォースワンに近い乗り物らしく、王族でもそうそうは乗れない物らしい。

プレミアム的な扱いに気分を良くして乗り込もうとすると


「あの特殊な魔法を使うエルフ達に会いに行くのだろ?私も同席させてもらうよ。」


何処から飛んで来たのかDがまた俺が助けた鳥に乗り移り俺の肩に止まった。

この鳥に名前を付けたかったのだがDから依り代に使う事があるから名前をつけない

でくれと言われた為にこれも口惜しいが名前を付けていない。

何でも名前が無い方が依り代として定着率が上がるそうだ。

浮遊列車の中を見回すと学園長に政府のお偉いさんと学校の先生数人と

サーシャとイロイ、フィアナとアズメルそしてテティアの全員が乗っていた。

俺が乗ると全員揃ったので浮遊列車が発進する。


快適な空の旅を満喫して外を見ると空を飛ぶゴーレムと箒に乗った魔女と魔法使いが

並走していた。どうやら護衛の様だ。

俺に差し向けられた暗殺者がどうなったかを学園長がまるで自分の手柄の様に

言い振りまくったから、もう俺を殺そうとする者は居ないと思うがそこは

一国の特使の様な立場に対する対応なのだろう。


ヘクトール王国との国境に来ると浮遊列車を止めて地上に着地する。

何故止めたかを学園長に聞くとまず護衛の交代、それから浮遊列車自身に魔力が

蓄積されておらず、魔力増幅炉から送られてくる魔力を受ける形で飛んでいる

のだが、各国ごとに魔力のチャンネルとアンテナが違うらしく国境でアンテナを

変えるそうだ。


その後また快適な空の旅が続き、外を見ていると町を通り越し、村や畑もない

鬱蒼とした密林の上を飛び続け途轍もなく巨大な木の前にある空き地に浮遊列車は

降りたった。


そこには造りは質素だが素材や作り込みから高級そうなローブや装身具を身に

纏ったエルフが数十人ほどが立っていた。

歓迎の為に出迎えてくれているのかというと皆険しい顔をしている。帝国から

エルフを取り戻して更に自治権の強化をすると言っているのに。


「皆警戒しているのだよ。自分達が持つ魔法の種明かしを要求する者を。」


皆には聞こえないように耳元でDがささやく。

そういわれると合点が行く。マジシャンが自分のマジックの種明かしをしないのと

同じで死活問題なのだろう。

歓迎されないのは当然かと納得して浮遊列車から降りると周りに居るエルフ達が

俺を指さしかなり動揺している。少し経つと動揺が納まり一番年長と思われる

老人のエルフが周りに何か言うとエルフが皆一斉に両膝をつき、両手の平を上に

前に手を伸ばす奇妙なポーズをとった。


「偉大なる方よ。あなたの様な尊きお方がおいでになるとは思わず何の準備も

しておりませんでした。お許しいただけるなら今から宴の準備を執り行いたいと

思います。」


今度は一緒に来た皆がざわつきだした。


「やはりキキってエルフの間でも扱いが違うんだね。」


「書物の知識でしか知らんかったがこの姿勢は神や王など圧倒的な者に従順を

示すエルフの行いじゃな。クックックッ交渉が上手く行きそうじゃわい。」


皆勘違いしているが俺が偉いと思われているのではない。エルフの一番の年寄り

長老と思われるエルフは俺ではなく俺の肩に止まっているDを見て話しているのだ。

学園の皆には話がややこしくなるのでDの事は伏せて来たし今回も秘密にする。

Dに目配せで許すか?と尋ねると頭を上下に動かす。


「許します。宴の準備をお願いします。」


「ははーっありがたき幸せ、至急準備を始めます。」


言い終わると長老と思われるエルフが指示を出し、周りのエルフが慌ただしく

動き出す。指示を出し終えた長老の思われるエルフがこちらに近づいて来て

学園長や他の人を遠ざけると先程と同じ奇妙な姿勢をとって話し掛けてきた。


「私はこのエルフの里を納めているアルクフォーフィと申します。

私は思うに我々の自治権強化など本来敵側である我々に権利を譲っていただけ

たのは貴方様の知恵をその者に授けたからでしょう。

そして対価に我々エルフの古代魔法の知識を要求するのですな?

構いません。どんな裏があれ恩には恩で報いましょう。

その前に申し訳ありませんがこの場で知った魔法について口外しないと

御身の名に誓って頂けませぬか?」


「うむっ話が早くて助かる。我が名に懸けて口外しない事を誓う。安心して

くれて問題無い。私はきーさんを元の世界に連れ帰りたいだけで君たちの

魔法を悪用する事は考えていない。」


「そう言って頂けると助かります。貴方様の魔力は神の神力と悪魔の魔力が

混ざったように見えるので疑ってしまい申し訳ありません。」


「やはり魔力の成分まで分かるのか。それから私の世界では大体の神と悪魔は

自らの名に懸けた事は余程の事が無い限りくつがえさない。そして私は

その中の一柱である。こちらでは悪魔は誓いを破るのか?」


「破るどころか契約が成立しません。あれらはこの世界の歪みや悪意が魔力を

吸って形を成したものです。生きる者に危害を加える事しか考えておりません。

何千年も生きる魔王でも部下があまり居ないのと毎回同じ封印をされる所を

見ると高い知能は無いと思われます。この世界の悪魔契約魔法は基本的に

魔力の乏しい他の世界の悪魔と行います。貴方様が異世界の悪魔でも

契約を守らない者か疑ってしまったのです。」


エルフの長老アルクフォーフィの話を聞き終えると少し考え込むD。

それを横目で見ていやいや自分の名において誓うってそれだけだろ?

相手のエルフの爺さんも随分簡単に信じちゃうなんて考えられないだろ?

そう考えると急にDがこちらを向き


「今私はきーさんに接触しているからきーさんが何を考えているか分かるぞ。

私はアルクフォーフィにたいして私の真名のパスワードと開示方法を

教えたのだ。これは直接アルクフォーフィの脳に語り掛けたからきーさんは

気付かなかったのだ。それに魔法的な監視を付けさせる。

もし私が契約を破棄したらアルクフォーフィに通報が届き、報復として私の

真名を手に入れ強制する事も高い代価を払わす事も出来る。

反対にアルクフォーフィがパスワードをみだりに話したり開示方法を勝手に

行ったら敵対行為とみなし処分する。

このようにきーさんが気付かないだけで契約は成立している。」


ここまで何時もの説明的な話をしてまたDは何かを考え込んでから話し出す。


「本題に入ろう。君たちに譲った勝利の利権の代わりに君たちエルフの魔法を

教えて欲しい。これはあくまでこちらからの申し出で断っても構わない。」


「ご安心ください、貴方様を見るまでは得体の知れないよそ者に魔法を教える

気はありませんでしたが貴方様の神格と名前の鍵を知り、この世界から去られ

ると言われるのなら教えぬ道理がございません。

魔法書をここに!」


エルフの長老が指示を出すとゴーレムが列をなして巨大な本を担いでくる。

本の高さが大人の男の半分よりも大きく幅は肩幅ほどもあり厚さも見合った物で

かなりの巨大さだ。

その巨大な本を大きな石のテーブルに並べていく。

数は216冊。こんなの絶対すぐには覚えられないだろ?・・・!そうだ

俺には高速学習の魔法の魔法があったんだ。俺が読み込んでDが理解する。

そうこれでいける!


善は急げで本に手を伸ばすと近くに居たエルフの長老アルクフォーフィが

年寄りとは思えない速さで杖を突き付けてくる。


「誰がお前に触って良いと言った?お前はその御方の神輿であるゆえここに

居させるだけで特別扱いしてはおらんぞ?その場で大人しく待っておれ。」


いきなり扱いが酷くなったよ。大体なんだよ人を神輿とか。

腹がたったのでエルフの長老を睨みつけているとDが語りだす。


「それについては私が教えよう。基本的に神など力の強い者は神殿など

決まった場所から動けないのだ。余り動くと外に色々と影響が出るため

控えていると言った方が正解か。それを解消するのが神輿に乗ると言う

行為なのだ。神輿自体に強力な結界を張る事で外からの干渉と内側からの

影響を最小限に出来るのだ。しかし神輿は限られた宗教と決まったルート

しか進まない。そこで神などが自ら出かける時は人にとりつくのだ。

この行為は神以外に悪魔から霊まで幅広く行うが神がとりつく

のは神降ろしと呼ばれとりつかれた者は神を運ぶものとして神輿と呼ばれる

のだ。他の者と違い神がついている時は神の強力な加護が受けれるのさ。」


へーっそれはお得だね!って何時とりついたんだよ?それに強力な加護って

受けてないけどどうなのよ?


「何時と聞かれればきーさんがまだ赤ん坊の頃だ。それより今まで何度も

守って来たぞ。例えば最も最近なら暗殺者から守ったのと戦争の時味方の

ゴーレムが動かなかっただろ?

あれは魔法的にロックを掛けられていたのできーさんの魔法では

ゴーレムを作り変えても動かない可能性が非常に高かった。

そこで私の配下の者を憑依させて戦闘に参加させていたのだ。」


あの時は意識が無かったけどそうかDが手助けしてくれたのか・・・?

おいっ!あの時のゴーレムが禍々しいから俺が悪魔の力を使ったと思われ

たんだぞ!どういう事だ?やはりDは悪魔じゃないのか?


「何度も言うと疲れるがそれについては一緒に食事でも食べながらすると

話したぞ。もう場所と食材の準備が出来ている。急かさなくてもじきに

話す。」


Dの正体が全く分からない。神なのか悪魔なのか、はたまた中間管理職の

天使なのか謎が深まるばかりだ。


「それよりもきーさん、本を一瞬で読みたいと言う知識欲を持った者は

昔から掃いて捨てる程居て、願いを叶える者としては当然扱えるから大丈夫だ。

まあ見ていろ。」


Dが肩から飛ぶと本の上にとまる。そのままピョンピョンと何度も繰り返して

飛び、最後に俺の肩に戻って来る。

それを見ていたアルクフォーフィが近寄って来た。


「いかかでしたか?お知りになりたい知識はありましたか?」


「いや大事な所が抜けている。異世界への門についての記述が無い。

何故記載されていないのだ?」


「異世界への門は一人の天才が独自に発明した物で製造方法はその者が

亡くなった時に一緒に失われてしまい、魔法書に記載出来なかったのです。

しかしご安心ください。まだ帝国内にある異世界への扉は使用可能です。

貴方様が魔法書を見ている間に帝国に居る仲間に調べさせましたので

間違いありません。」


「その情報はありがたいが何者かが異世界への門を壊して回っていいるのだ。

帝国にある物も壊される可能性が高いと考えるのであれば自ら

作り上げてしまう方が無難であった。

こうなると帝国に行くしか解決方法が思いつかないな。

君らのコネで帝国の異世界への門を使う事は出来ないだろうか?」


「申し訳ありません。我々は管理を任されていますが使用権限は無いのです。

帝国の異世界貿易庁に書簡を送ってみてはどうでしょうか?それならば

少しですが協力できると思います。」


アルクフォーフィの話を聞いて鳥の姿であるにも関わらずDのイライラが

伝わってくる。


「帝国が簡単に異世界への門を貸すか?いや貸すはずがない。帝国から

高魔力のエルフを大量に引き抜いた憎い相手に貸すはずがない。

それにきーさん自身が高魔力の所持者だ。逃がすはずもない。どうするか?

・・・話が変わるが今部下から食事のセッティングが済んだと報告をうけた。

取りあえず帰って食事をとりながら作戦会議といこう。話が長くなる

上に誰にも聞かせられない話だからな。私の所有する宮殿ならば安全性は

一切問題無い。色々期待していてもらおう。」


Dでさえも詰んでいるかもしれない状況に愕然とし、思考が止まってしまった。

まずいぞ、まずいぞ、まずいぞ、その言葉だけが頭の中を駆け回る。


「偉大なる方よ宴が整いました。こちらにおいで下さい。」


俺がてんぱっている中また謎な姿勢でうやうやしく族長が話し掛けて来た。


「きーさんはそんなに緊張する必要はない。解決策はある。ただ少し強硬な

手を使うかもしれないと言うだけだ。安心してもらって良い。今回ばかりは

私も本気を出すからな。ふふふっ久しぶりで腕が鳴る!

数百年ぶりの思い出に浸っていて忘れる所だったが宴の準備が終わったそう

だから今はこちらの宴に参加しよう。」


Dの笑い声は地獄の底から這いあがってくるような凄みを含んだもので頼もしい

半面やはりこいつは悪魔じゃないのか?と思わずにはいられなかった。


その後は宴の中エルフの皆とは打ち解けて良い感じであったが横に座っていた

テティアが体を擦り付けてきて


「もっとお食べになって下さいな。」と食事の入った皿を近づけながら更に

胸を押し付けて来たので


「ダメですよテティア、食事は行儀よく取らなくては。」と言いながら

後ろに回してきた腕をひねり上げ、もう片手でアイアンクローを食らわせると


「さっ最高のメインディッシュありがとうございますー!」と絶頂する。


当たり前だがテティアの変態ぶりにエルフは長老筆頭にどういう事だ!と

掴みかかる勢いで話してくるが


「キキが反抗的な態度を正した時の副作用だ。大体君達はその娘にキキを殺させ

ようとしていたな?この事に文句があるのならば私が話を聞くぞ?」とDが助け船を

出してくれたおかげでその話は終わった。


それとテティアと反対側の隣に座ったフォージャイル学園長は


「首尾よく行ったようじゃのう?クククッこれでわしのていこ・・・ゲフン

ゲフン、学園が更に発展するわい!」


などと大きい声で言うからエルフがまた怒り出すのではないかと気が気では

なかった。Dが魔法を調べている時におまけで知り得た魔法をエルフの魔法と

偽ってフォージャイル学園長に教えれば良いと助言されて実行したらこれ

だから困る。


この時ふと疑問に思いDは神なのに嘘をついていいのか聞くと契約外での

情報はノーカンだそうだ。ずいぶんそう言った所ではアバウトらしい。


こんな感じで豪華で美味そうな料理を沢山出されたが味わう事もままならず

緊張の連続の中、帰国する事になった。


3か月ほど更新にかかってしまいました。4月に更新した後から体調を崩して

今はリハビリしながら生活していておまけで申し訳ないのですが小説を書いています。

健康は最高の宝ですね。体調を整えながら続きを書いていきますのでよろしく

お願いします。


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