28.精霊を見る力
魔法の国から帰ってからの話です。
「私の夫を助けてくれて感謝する。」
「はっはっは。まさか襲われるとはなぁ。感謝するぞ。」
シシリアは嬉しそうに、王は楽しそうにそれぞれお礼を言った。それにテライトが応じる。
「いえ。今回の事は予想できなかったですし、特に被害もなかったので、お礼を言われることではありません。」
そう言うと、テライトは一礼をした。
「ああ、アイといったか?そなたに渡したいものがある。」
何故、私になったし。そこはテライトだろ。
「しかし...。」
「気にするな。今度のお礼だ。」
シシリアにまでそう言われ、引くに引けない。迷っていると、シシリアが玉座から降りてきて、私の手に何かを渡した。
「これは?鍵?」
握らされたのは小さな鍵の様なもの。銀色をしている。
「アイがこの前話してくれただろう?5cm程の玉のこと。玉の色は銀色と聞いた。多分それは封印の玉だ」
「つまり、この鍵でその封印が解けるのですか?」
「逆だな。その鍵が何かを封印しているんだ。そしてアイが持っている玉が封印の鍵。」
何か、ややこしいな。
「封印の玉は鍵と同じ色だ。あぁ、この国にはこの封印が解ける鍵は無かったんだ。鍵は主を選ぶからな。鍵はアイを選んだようだ。」
玉が銀色だから、鍵も銀色ということか。興味がわいた。帰ってから試してみよう。だけどあと数日、魔法の国で遊ぼう。
「ありがとうございます。」
シシリアはニコッと笑い、玉座に戻る。王は、そんな私たちを微笑ましそうに見ていた。
数日間、魔法の国で遊んだが、特にそれ以降何も起きなかった。王の名前を聞き忘れたが、まあいいだろう。うん。
「テライトさんとアイか。戻るの?」
「ああ。」
リリアさんのところに行って、帰りを頼む。リリアさんは、私の頭をポンポンと軽く叩いた。
「頑張ってね。」
あの、私は17なんですが。もうそろそろ、恥ずかしいです。でも、聞き入れてくれないリリアさん。苦笑いだけをした。
最初来た時と同じ場所に立って、リリアさんが詠唱をする。
「トレード」
場所が変わり、精霊の国の民家の中に着く。久しぶりのような感覚だ。
「ありがとうございました。」
私はリリアさんにお礼を言って、民家を出る。リリアさんは手を振っていたから、私も手を振り返した。
テライトの家に帰り、私の部屋に行く。机から銀の玉を取り出し...これでどうするんだろう。とりあえず2つを近付けてみる。
変化なし。
玉を鍵で叩く。
「文字?」
何か文字が浮かび上がってきた。え、これ読むの?
「古の...約束?に従い...我...この力を正しく...使うことを...誓う?」
反応なし。とりあえず1回読んだので、もうつっかからないだろう。もう1度読んでみよう。
「《古の約束に従い、我、この力を正しく使うことを誓う》」
パリン。
ガラスの割るような音がして、玉が壊れた。鍵の方は光っている。何故かこちらを向いて。
「え?」
目の前が真っ白になった。
「え?ここは?」
目を開けると、大きな扉の前に立っていた。扉は何重にも鎖が巻かれている。扉の前に少年がいる。
「久しぶりだね、…。」
よく聞こえない。その少年は私の顔を見て、苦笑いをした。
「まだ、早かったか。…の記憶が戻っていない。まあ、本質は同じのようだから、大丈夫だろう。」
「どういうこと?」
少年が後ろを向いて、扉に手をあてる。その瞬間、何重にも巻かれていた鎖がばらばらと崩れ、扉が開いた。
「後で分かるよ。とりあえず、一つ目の封印は解いたから。」
「待って、あなたは?」
少年がそのままどこかに行きそうだったので、呼び止める。だけど、少年は後ろ向きに手を振って、
「いつかは分かるさ。」
と言って消えた。私はしばらく呆然としていたが、戻ろうと思い、扉の前に行く。扉を開けて、1歩を踏み出す。
また目の前が真っ白になった。
「戻ったか。」
私は、あの不思議な空間に行く前と同じ場所にいた。玉と鍵は粉々になったようで、無くなっている。
「ん?」
フワフワと目の前にある光。その光を見てたら、光は人の姿をとった。女性の姿だ。
「見えますか?」
優しく穏やかな声音で、私に問いかけた。私は頷く。まさか精霊?
「不思議に思っているようですね。少々説明をします。」
そう言って、精霊さんが説明してくれた内容は
・今の状態は、私以外は見えていないらしい
・私達がしていた呼ぶという行為は、精霊にとって顕現する事を私達が望んでいることらしい。つまり、精霊は呼ばなくてもいるけど目には見えない。
・封印されていた精霊を見る力が私に宿ったので、見えるようになったらしい。
こんな感じだった。少し前に、メイト様が精霊を見れると言っていた事はそういう事らしい。
「ですが、例え精霊が見えるとしても、私達が隠れたいと思えば、見えなくなります」
「へえ。」
その後数分、この力についての説明を受けた。精霊を見ることが出来るけど今までの生活と同じようにしてたらいいらしい。
「たまにお話してくださいね。」
「もちろん、喜んで。」
精霊達もお喋りは好きらしい。
精霊を見れるようになった!
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