18.集団宿泊⑥
集団宿泊編終わりました!
長かったー
地下二階。
やはり、一階と同じで、薄暗くじめっとしている。
地図がないので、手探りでダンジョンの中を探索する。
こうしていると冒険者になったみたいで少し楽しい。
「ここの道は....あぁ元の道に戻るんだ。」
「この道は行き止まりでしたよ。」
一階より広くなっている。時々、時計を見て時間を確認する。まだ、昼前ぐらいだ。時間感覚がおかしくなっている気がする。
警戒はほぼカナに任せてあり、数回魔獣と戦っている。特に大きな怪我はしていない。
「........ここ、行った?」
しばらく歩いていると、今までの道より少し狭い道を見つけた。
景色はほとんど変わらないので、よく分からなかったが、別の場所に来ていたらしい。
「行ってないですね。進んでみましょう。」
カナが、獣人特有の耳をピコピコ動かしながら、奥に進む。
触りたい。
「どのくらいあると思う?この道のながさ。」
真っ直ぐ進む道がずっと続いている。戻るか進むか迷うところだ。
「結構ありますね。....階段が有りますが、ひとつ問題が出てきました。」
カナが道の先を見据え、何かを見たようだ。皆を集め、状況を説明する。
「道の先に、階段は有りますがその前に大きい魔物がいます。形はスノウウルフに似てますが大きさがまったく違います。」
スノウウルフの大きさは精々大型犬ぐらいで、その大きい魔物は軽くその大きさを越えているという。
「....変異種。たまに生まれる。」
カイラスさんがその魔物のことについてはなす。
「....ふつうのスノウウルフより生来持っていたエネルギーが桁違いで大きい奴をさす。心配だから参戦する。」
今まで、傍観するだけだったカイラスが加わる。珍しく饒舌になったな。本を何処からか出し、魔力を通しているのか。本が赤い光を発している。
「皆、準備はいい?」
「いつでもいいぜ。楽しみだ。」
「いつでもいいよ。アイ、合図を出してね」
「....いい。」
「獣人は戦闘得意。いつでも行けます。」
「皆、血の気多いな。」
上から、私、キルエ、エルト、カイラス、カナ、コクユだ。
合図は、私が銃を撃つこと。深呼吸して、照準をスノウウルフの変異種に向ける。手の震えが収まってきた時に指に力を込める。
パン!
急所に当てられなかった。だが、足に当たったようだ。
「いくぜええぇぇ!」
まず、行ったのはキルエ(脳筋バカ)。
斧をスノウウルフの変異種へと降り下ろす。
「ちっ、かたい!」
見ると、ほとんど斧による傷はないようだ。毛皮かな?かたいのは。
「ファイヤーボール」
人の頭くらいの火玉が変異種に向かって飛んでいく。
変異種は体を横に転がし回避した。足に傷を負っている筈だが素早い。さすがはウルフの変異種。
「ぐるぁぁ!」
スノウウルフは私を狙い、突進してきた。口を開けて、牙を光らせながら。
「!?」
驚きと恐怖でわずかに反応が遅れた。完全には避けきれず、左腕から出血。
「アイ!?」
心配そうなエルトの声。私の傷は浅いが、結構派手な攻撃だったから心配したんだろう。
「大丈夫!」
銃を素早く構え、三連発。二発は避けられたが、もう一発は胴体に当たった。が、まだまだ浅い。
「はぁっ!」
カナが二本の剣を閃かせる。僅かに赤く光を纏ってるから属性付与したんだろうと思われた。キルエの時より傷を負わせられたが
まだ、足りない!
「よっと。」
軽く、大剣でウルフを払うように切ったのはコクユだ。
かなり力がいると思うのだが、顔色ひとつ変えない。
トトトトッ
ウルフの体に幾つものナイフが刺さった。見るとエルトが、何かを投げたような体勢をしていた。
「今のうちに!」
ああ、離れろということですか。なるほど。
私は、バックステップでウルフから離れる。って、前の世界より身体能力向上してる気がするな。ついでに銃をウルフに向けて撃つ。コクユは少し前に避けている。弾に、炎属性をつけて。
パン!
「グルォォッ!」
「効いた!」
ウルフが大きく吠える。やはり、火には弱いみたいだ。
「ファイヤーゲージ」
勢いよく燃える火の檻が出現して、ウルフを捕らえる。
そのまま、檻は狭まっていき、ウルフを燃やす。
「ギャオオオオォォ」
その火はやがて収まり、後には炭だけが残った。
『やった(よっしゃ)!勝ったー!』
「....私達の勝ち。」
私は、そのあと傷を直した。
私たちは、スノウウルフの変異種を倒したあと、階段を駆け下りて、三階に行った。
「これが輝石?」
薄暗いダンジョンの壁で、星のようにキラキラ光っている鉱石を見つけた。壁一面にあるようだ。上を見てもキラキラ光っているので、まるで星空のようで綺麗だ。
「だと思う。幾つか採ろうか?」
エルトが言う。壁一面に在るものの内、一番強く輝いているものを採ろうとする。だがほとんど土の壁に埋まっていて取れない。
「土の精霊に頼む?」
コクユの提案。その言葉に、地の民であるカナが土の精霊をよぶ。カナが祈るような体勢になった少し後、地面が揺れた。
「っとと。いきなりくるね。」
カナに光が集まる。その光はカナの隣に集束し精霊の形を形作った。精霊は老人の姿をしていた。
「民よ。どうしたのだ?」
地の精霊は問う。
「この光っている輝石を採りたい。手伝って貰ってもいいか?」
「お安いご用だ。」
土が盛り上がり、石が土から離れる。思ったより大きかった。
「ありがとう。」
「では、またな。」
そう言うと土の精霊は消えた。
「戻ろうか」
そう言って輝石を持とうとして触ったとき、何かの映像が見えた。
ーーーー荒れ地。あちらこちらで火の手が上がっている。
戦っているのは魔物、精霊、人。人と精霊は協力し魔物を倒す。
人の砦の中。祭壇に祈っているのは黒髪で群青色の瞳の巫女。5人の精霊が彼女を囲う。その巫女の真上、虹色のは光を纏った女神が現れた。女神は巫女の中に入り、巫女は砦の外に出て何かを呟いた。
その瞬間、魔物は一掃され、僅かに残った魔物は散り散りに逃げる。後に残るのは、輝く石。女神はそのあと帰っていく。巫女は微かに微笑み、倒れた。ーーーー
「……イ、アイ?戻ろう?」
「あ、ごめん。少しボーッとしてた。戻ろうか」
今の映像は何だったんだろうか。
よく分からないまま、私たちはダンジョンを出た。
「お疲れ様。」
ギルドに戻り皆と合流する。今日あったことの報告をギルドにした。
「スノウウルフの変異種!?よく倒せたな!」
ギルドにいた冒険者に褒められた。
カイラスは、もう家に戻ったらしい。居ない。
あいさつは交わしたので、特に心残りはない。
「じゃあ、学園に帰ろうか。」
アルト先生についていき、門をくぐり、馬車にのる。
帰りは疲れていたのですぐに眠った。




