【プロローグ】0→1
「今からこの箱にセカイを作ってください」
曇りもない、垢もない、透明なガラスの箱が僕の目の前にあった。
無我夢中でセカイを作った。
テーマは、魔法が存在するセカイ。
とてもおもしろいだろう?
僕のいるセカイには魔法はない。いや、ないのではなく、使えない。
魔法が常時使えるセカイはどうなるのだろうか。
まずは司法を整えなければいけない。見合った法や、王様なんかが必要なはずだ。それから学校。カリキュラムは魔法学が基盤になるはず。
そして一番重要なのは其処に住まうモノ。
獣でもいいけど、想像しにくいな……。やっぱり……。
自分の掌を見た。それから頭、肩、胸、腰、尻、太もも、膝……。と自分の身体を撫でた。
うん。やっぱり身近にあるものを参考にしよう。
何も無かったガラスの箱は『魔法のセカイ』になった。其れは、自分と似た存在が住まい、暮らし、そして死んでいく——。愛すべき箱になった。
だが、それだけでは少し物足りない。やはり、息づく者の生が見たい。ただ死んでゆくだけでは勿体無い。僕の愛すべき住人の生き様が見てみたい。その子の為のセカイにしよう。
ふと、視界の端で淡く何かが光った。不安定で真っ直ぐな美しい光。一目で惚れた。
君に決めたよ。ルーチェ。




