最終章 The Future Part1
〈ソウルワールド、第一階層の街にて〉
「ふんふんふんふーん」
「今日もテンション高いな、ユキ」
「うん!やっぱりアスタと一緒にいられるのが嬉しくて」
「…俺もだよ」
アスタとユキ、二人は街を歩き、平和な日々を過ごしていた。
「…」
「…ん?どうしたの?アスタ」
「あいや、ちょっと気になった事があってな」
「気になった事?」
「今俺たちがいるソウルワールド、この世界は平和そのものだろ?じゃあ、別の世界では、どうなってるんだろうと思ってな」
「別の世界?」
「ああ、前にスレイヤーが言っていた三つの次元、一つはスレイヤーとマキがいる次元、でも残り二つは、俺たち知らないからな」
「うーん、言われてみれば、そうだね」
「もし行けるなら、他の世界も見てみたいと思ってな」
「うーん、じゃあ、マキちゃんやスレイヤーちゃんに聞いてみるのはどうかな」
「…そうだな、近いうちに、別の次元に行けるか聞いてみるか」
「うん!そうだね。あー、なんか楽しみになってきたな」
「そうだな、まだ行けるか分からないけど、俺もなんだが楽しみだ」
そう話しながら、アスタとユキが歩いていると、二人の足元に、突如として、魔法陣が出現した。
「…ん?なんだ」
「魔法陣?あれ、アスタ、なんか薄くなってない?」
「ん?あれ、手が薄く…」
「アスタ!あれ、ボクも」
二人の身体は、魔法陣の影響によって、段々と薄くなり、最後には、二人は光に包まれて、その場から消えてしまう。
「!」
突如視界が、光により眩しく、見えなくなった。
「ん、うーん」
二人はゆっくり目を開けた。
「…ん?」
目を開けると、目の前には、数人の男達がいた。
「…成功だ」
一人の男性が言葉を発する。
「ん?」
その言葉に、疑問を抱くアスタ。
「や、やったーーー!」
その場にいた男達は、思わず喜ぶ。
「…なんなんだ?」
「アスタ、この人達、誰?」
「いや、俺も分からない」
数人の男達のテンションについていけず、困惑するアスタとユキ。
「あの、これは一体、あと、貴方方は誰なんですか?」
アスタが男達に質問した。
「あ、これは失礼。我々は騎士。貴方様方の力を借りるべく、こうして異世界から召喚魔法で、召喚した次第です」
「!?異世界!?」
アスタとユキは驚く。
「驚かれるのも無理はありません。この世界は元々、我々の騎士団長だった、カリム団長が統べる世界でした」
「?元々?」
アスタが男に聞く。
「はい、今は、ダリムという魔物に、この世界は支配されています」
「ダリム…」
「この世界の事ですが、ご覧になった方が早いと思います。ついてきてもらえますか?」
「ああ、わかった」
アスタとユキは、地下にいたが、その男に案内され、地上へと上がった。
「…!?これは」
アスタとユキの目の前に広がった光景、それは人と魔物が共に生活している光景だった。
「人と魔物が」
「一緒に生活してる」
「この光景を見て、驚かれると思います。この世界は元々、人族だけで生活していました。でもある時、一人の人間が、旅の途中に、魔物がいる村に辿り着いたのです。そして彼らと会話を交わす内に、彼らとの間に絆が生まれ、以降、今に至るまでの百年間、私達と魔物は、共に生活しています」
「人と魔物が共存か」
アスタが口にすると、男は続けて話した。
「はい、ですが、そこである問題が起きてしまったのです」
「問題?」
ユキが聞いた。
「はい。今から九十年前。人族と魔物が生活している中、一つの魔物の集団が、人を殺してしまったのです。そして、その集団を危険と判断した一人の魔術師が、彼らを封印しました。ですが数ヶ月前、何故か封印が解かれ、その魔物達が解き放たれてしまった。そして、その魔物達のリーダーが、ダリムという魔物です」
「…」
「ダリムは、封印が解かれたすぐ後に、我々の城に攻めてきました」
〈回想〉
「貴様ら!何者だ!」
「俺達は、あの魔術師に封印されていた魔物だ。そして俺様はダリム」
「貴様が、コイツらのリーダーか」
「いかにも」
「貴様らの目的はなんだ」
「ふん、そんなの簡単な話だ。この世界の支配権の奪取さ。そしていずれは、いくつかの次元すら支配し、全生物の頂点に立つ」
「要は自己満足の為か」
「その言い方は気に入らないな。だがまあ、意味合いは同じか。まあ、という訳だ、この世界の支配権を、俺に引き渡せ。貴様が今座っている玉座は、今から俺のものだ」
「渡すと思うか」
「渡さないなら」
「ふん」
ダリムの後ろにいた魔物達が、武器を持ち構えた。
「この場にいる者達、何人かは生かしておいてやるが、それ以外は、殺すぞ」
「ぐっ!」
「殺されたくなかったら、さっさと引き渡せ」
「…」
〈現在〉
「そして、この世界はダリムによって支配され、カリム団長は支配権を失いました」
「…この村は、一見平和そうに見えるが…」
「はい、この村は、城から最も離れた村、まだこの村の者達は、ダリムの事を知りません。今は平和ですが、いつダリム達がこの村に来るか…」
「…俺達を呼んだのは」
「はい、単刀直入に言います。どうか、ダリムを倒してくれないでしょうか。この通りです」
男が頭を下げると、後ろにいた男達も、頭を下げた。
「ダリムは、人と魔物、そして大人だけでなく、子供までも容赦なく殺す魔物です。我々は一度挑みましたが、敵わず、一人の騎士を失いました。この世界では戦いでの実力が全て、この世界は、ダリムがいない間は、平和に過ごせていました。ですがダリムらの出現によって、力がない我々は、ただ支配され、ダリムらの機嫌を損ねた者は、容赦なく殺されてきました。もう我々は、貴方様方に頼る他、道は無いのです。どうか、お願いします」
「…」
「アスタ…」
「…分かった」
「!?ホントですか!」
「あぁ、ただ、ダリム達に挑む前に、情報が欲しい。ここじゃなく、どこかでその話をできないか?」
「はい、分かりました。では、我々が今いる宿まで来てください。お話はそこで」
「あぁ。ユキも、それでいいか?」
「うん、もちろんいいよ」
「ありがとう。そう言えば、貴方の名前は」
「これは失礼。申し遅れました。私はサムと言います」
「よろしくお願いします。サムさん」
「はい、こちらこそ」
アスタとユキは、サム達が住んでいる宿まで案内され、ついて行った。
その頃、お城では。
「うーん、ここは実に心地がいいな」
「そうですね、ダリム様」
「おいカリム」
「…なんだ」
「この世界とは別の次元には、どんな奴が支配しているんだ?」
「…この世界は、ある一つの次元の支配下にある」
「なに?この世界は支配下におかれているのか。支配している者の名はなんと言う」
「スレイヤーというお方だ」




