最終章第9話 恐れずに
マーハウスは蟻村の背後に回り込み、背中を切り裂く。
蟻村は背中から血を吹き出しながら倒れる。
「蟻村!?」
私の声に悲しみという感情が混じり、声を高らかにして言う。
だが蟻村は横たわったまま起きず、指先すらびくとも動かない。
蟻村が死んでしまった今、私に何が出きるのかは分からなかった。それでも、私がするべきことは一つだと分かっていた。
「マーハウス。そこを退いてくれ」
「何を言っているんだ?」
マーハウスの憤怒混じりの声に少しおののきながらも、私は無意識に氷で剣を創り、拳で握る。
「マーハウス。貴様なんかに、氷蟻の夢を、邪魔させてたまるか」
私は無意識に地を凍り漬けにし、蟻村が横たわっているとこだけは凍り漬けにしなかった。
マーハウスは足を凍らされ、身動きが取れなくなっていた。
私は叫びながら、マーハウスに向かって剣を向ける。
「マーハウスううううううう」
「キョポールを苦しませないために、俺は世界を変える。毒刃撃」
マーハウスは両手で握る剣で、私を縦一閃に切り裂く。
だが私は足下に氷の塔を創り、一気にマーハウスの頭上に飛んだ。
「敗北を知れ。マーハウス」
私は頭上からマーハウスを斬る。
だが刃はマーハウスが隠していた三本目、四本目の手で握っていた短刀に弾かれ、私の首筋目掛けて短刀を刺してくる。
「まだ……」
私の首筋に短刀が届く前に、短刀は彼の銃弾によって弾かれた。
「蟻村……!?」
「知っているか?聖銃の力を」
「そうか……再生!」
蟻村の背中にあった傷は消えていて、蟻村は起き上がる。
蟻村の背中から火の羽根は飛んでいったのを見送り、私は視線を蟻村とマーハウスに戻す。
マーハウスは膝をつき、腹を押さえている。
どうやら蟻村は隙をついてマーハウスの腹に銃弾を放ったのだろう。
「マーハウス。死ぬか?」
蟻村は地にひれ伏すマーハウスに銃を向ける。
「聖剣解放」
マーハウスが持っていた剣は突然の光に包まれる。
私たちは目を手で覆い、うっすらと目を開けてマーハウスを見る。
「さあ始めよう。戦争を」
マーハウスがそう呟くと、私たちを囲むように火蟻の群れが出現する。
「なるほど。既にこの山は落とされたな」
私は焦る。
もしあの聖剣を取られたら、私たちの夢が簡単に消え去ってしまう。
焦る私の手を蟻村は優しく包み込む。
「つらら、ここは俺が相手をする。だからその内に行け。あれを誰にも取らせるな」
「蟻村。任せたよ」
「ああ」
私は蟻村に背を向け、聖剣があるほうに走り出す。
だが私たちを囲んでいる火蟻。それをなんとかしなければ。
「不死鳥の守護火」
蟻村の銃から放たれた弾丸は、鳥の形となって私の周囲にいる火蟻を燃やしていく。さすがの火蟻でもこの炎は熱いらしい。
火の鳥が私の進む道を切り開く。
私はその道を走る。
「聖剣を。聖剣をてにいれれば……」
私は多くの者の思いを背負い、今、この戦場を走っている。
ーーその頃、剣山のふもとでは
「円卓騎士団。火蟻を、そして頂上にあると言われている聖剣を手にいれる。進むぞ」
「おおおおおおおおおおお」
ふもとでは、火蟻と円卓騎士団の戦闘が発生していた。
「焔火災」
彼は、戦場にて剣を振るう。




