表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
314/889

三百二話

 迎撃準備をコツコツと進めていると、偵察に行っていた風が戻ってきた。


「ピュィ!」

「ふむふむ……あのね! ふうちゃんが、もりでしろいしゅうだんをみたって!」

「……それはどこら辺か解る?」

「ピュピュィ!!」

「えっと……んっと……がい……しうぶぶん?」


 なるほど、外周部分か。となると、予想通り森の奥では戦えないレベルなんだろうか? いや、バレても問題無いが、一応奇襲の為に外周の浅い所を進んでいる……なんて可能性もあるな。

 ただ、奇襲を潰す事が出来たのは大きい。風ナイスゥと言うやつだな。


 そんな訳で、急いで守口さん達に〝白装束〟達の発見と移動をしているという事を伝える。

 そこからは緊急事態と言う事で、住民達の避難から防衛の最終準備と確認。


「壁の上に矢弾は準備したか? 盾隊の準備はどうだ! 戦車の燃料と弾薬は大丈夫か?」

「壁問題有りません!」

「盾隊もぬかりありません!」

「戦車、燃料用の魔石が不足してます!」

「魔石なら協会にストックされているはずだ! 誰か持ってきてないか!」

「今すぐ取りに行ってきます!」


 皆が慌ただしく動く中、防壁の上に設置された状況が良く見える司令部にて、俺と美咲さんは双葉を抱えながら話し合いに参加している。


「さて、奴らは東側の森を進んできている訳だが……目的はこの街で良いんだよな」

「進んでいる進路から見て間違いないかと」

「大丈夫だとは思うが、北側の森の中や西の道に南側の海はどうだ?」

「それぞれイオと風が偵察してますが、現状は何の問題も無いようです」


 そもそも北や西から来ようと思った場合は、森の深部を突破するか海を船で移動しなくてはいけない。

 しかし、森の中を突破するには相当の戦力が必要。しかも、此処に辿り着くまでに行う戦闘で疲労が溜まるだろう。であれば、そのルートは無いはず。

 そして、海側と言えば、海にでた船は何かの理由で沈没する。……恐らく海にとんでもないモンスターでも居るのではないか? と言われているけど、実際はどうなんだろうか。

 二百海里がどうのとか崩壊前に言ってたと思うけど、今はどうなんだろう。ただ、下手に出るような事をしてリスクを取るだろうか。

 と言う事で、警戒はするものの余り意識はしなくて良いと思われる。


「となると、東側の森に注意しておけば問題ないか……もし街をスルーされたらどうするかという話だが」

「問答無用で攻撃でも良いのでは? 彼らから既に被害を受けた者も居る訳ですし」

「先制予防の威嚇攻撃で良いだろ……まぁ、既に先制とは言えないか」


 自衛隊や警察だった人達は随分とヤル気だ。……まぁ、被害者の話を聞いてしまうとな。色々と大変だったみたいだし。

 ……これが平時と言うか崩壊前だったら色々と問題が有る発言なんだろうけど、現状そうも言ってられない。

 何せ、被害者達以外にも例の夢の事だってある。奴らを放置するのは百害あって一利も無い。


 無いのだけど……それはそれと言うやつで、自らの手を汚す覚悟があるかと問われれば……。


「い、一応職質みたいなのをするべきでは?」

「もしかしたら同じように白い服を着ているだけかもしれませんし!」


 と、探索者側から日和ったとも言える言葉が出るのも仕方のない話だ。


「ふむ……だが、その結果。話をしに行ったものが攻撃をされ致命傷でも受けたらどうする? 囮にでもするか?」

「と、遠くから声を掛ければ良いんじゃないでしょうか!」

「森の中を進む者に対してか……ただ、それをするには、あまり街に近づかれてからだと無理があるぞ?」

「でもやらないよりは……」

「防衛の為に行う攻撃を考えると……かなりシビアだな。急いで戻る際中に誤射が発生するかもしれん」


 先手を撃つ為に、魔法・矢・銃撃による弾幕を張る予定だからな。

 声を掛けに行った者が、少しでも逃げ遅れる事があれば……まぁ、その弾幕の中を走らないといけなくなる。

 だとすると、スペック的に避けれる可能性は高いが、高いだけであって喰らわない可能性が無い訳じゃない。


「マナシールドもあるが……下手に喰らえば一気に削られるなんて事もあるだろうからなぁ。正直かなり厳しい内容だぞ?」

「しかし、相手は人ですし……」


 マナシールドか。確かに、一発受けると連続してダメージを負うなんて事はよくあるパターンだからな。

 魔力バッテリーが連続攻撃で空になれば、防御する手段は無くなるのは考えるべきところ。


 ただ、声を掛けるべきだという意見も解らなくもない。

 言うなれば防衛とは言え、人を相手にする理由が欲しいのだ。

 確かに、被害者が居て例の夢を見はしたが、それはしっかりと飲み込めるだけの理由になるかと言えば……まだ理由としては軽い。

 何せ、自分が見たり被害にあった訳じゃないから。いや、夢は見ただろうけど所詮は夢だとも言える。


 大義名分が欲しいのだ。相手が静止を拒否したと言う事で攻撃をしても良いという。


 なんとも悠長な事を……なんて思わなくも無いけど、相手が人なら話し合えるなんて考えるのは人だから……と言うより、この国に住んでいたのなら当然の教育だった訳で。

 モンスター相手とは違うのだよ! と言うやつだろう。


 守口さんがため息を吐きつつ頭を掻いた。どうやら多少ストレスのメーターが振り切れそうになってるな。


「そこまで言うなら……誰か立候補をする者が居れば、声を掛ける案を採用しよう」


 そう守口さんが告げる。そして静まり返る会議。……まぁ、誰が好き好んで危険な地帯に足を運びたいのかと。


 まぁ、このクエストを完全にクリアしようと思えば、相当足に自信が無いと無理だ。

 相手に声を掛けるという事は、相手に自分が居る場所を言う様なものだし、相手がこそこそしてるのを気が付いていると相手に伝えている訳だからな。

 当然だけど、敵対する意思があるのならば……声を掛けて来た相手を完全に無視するか、襲ってくるかの二パターンだろう。

 前者ならまだいい。だが、後者となれば……追いかけてくる相手を振り切って防衛部隊に合流と、かなりハードなお仕事だ。

 皆それが解っているからこそ、自分のスペックと相談しつつ沈黙をしている。


「誰もいないか? 居ないなら当初の予定通り……威嚇攻撃で行くぞ? それで止まるならよし、止まらぬのならば……」


 最初は当てずに相手の手前を狙って攻撃をする。そう言う守口さんだが、まぁ、それで止まるなんて思ってはいないだろう。


「あ、あの! 威嚇攻撃後に静止した場合はどうしますか?」

「そりゃ、交渉だろうな。まぁ、それが罠なんて可能性もあるがな」


 正直、下手に静止されるくらいなら突っ走って来てくれた方が対処としては楽だ。問答無用で攻撃をしたら良いのだから。

 だが、静止された場合は、守口さんが言う通り罠なんて可能性もある。俺達を引きずり出す為のな。

 何せ相手からこの街の防壁が見えないなんて事は無いだろう。当然、守りが堅いと言うのは一目で解るはずだ。


 そんな守りが堅い相手に対して、俺が奴等の立場だと考えた時にどんな手を打つか……交渉が出来る立場に居る者を引きずり出してから、残酷な方法で殺害し戦意を減らした上で、指揮系統を崩しにかかる事を狙う。

 まぁ、これの場合は対処法は楽だけどな。指揮系統で無い奴に交渉をさせる……ただ、結局は囮なんだよなぁ。

 だから、下手に静止されると考える事が増えるので……余りやって欲しくない手段だ。……話し合いが出来ると思ってる人には悪いけど。

 そして、それならば、最初に誰かが声を掛けに行ってくれた方が話が早い訳で。


「ふむ。なら自分が行こう。それに、足には自信があるから逃げるのは大丈夫だろう」


 そう告げたのは影山さんだ。確かに彼ならば、隠密スキルもカンストしてると言って良いほど高いし、足の速さも協会の中で一二を争う程。

 そんな影山さんは、今の会話から恐らく俺と同じ結論に至ったんだろう。と言うか、こういう話って基本影山さん達からのレクチャーなんだよな。


「大丈夫か?」

「えぇ、大丈夫です。それに、万が一が有ってもパーティーの動きに問題は無いですから。自慢の右腕が何とかしてくれます」


 流石だな。と思う反面、なんとも言えない探索者陣営。まぁ、最初に噛みついたのは彼らなのにも拘らず名乗り出なかったからな。

 彼らのお尻をふきふきしたのが影山さんとなれば、ばつが悪いだろう。影山さんも元々は自衛隊だった訳だし。

 そして、そんな空気に気が付いたのか、守口さんは口を開いた。


「ん? 気にすることは無いぞ。出来る事と出来ない事をしっかりと考えたのだろう? そして、必要な事とそうで無い事も」

「ですが、自分達で発言しておいて、お任せする事になる訳ですし……」

「提案や疑問を声に出すというのは必要だろう。それをどう消化するかの為に話し合いをしている訳だしな……そして、スペック的に出来るかどうかを考えるのは当然の事だ。……ただし、その分は働いてもらうぞ。君らの発言から影山が動く事になった訳だからな」


 言うだけタダなんて言葉が有ったけど、そんな訳は無いんだよな。言ったら責任が生じる。そして、今回の責任は働いて返せと言う事だ。

 とは言え、余分な事を言った訳じゃない。寧ろ、威嚇攻撃後に静止された後のめんどくささを考えれば……リスク的にも軽くなる訳で。

 守口さんは随分と上手い事やったなと言う印象だ。




 さて、それじゃ開幕前に影山さんが奴等に声を掛ける訳だけど……どうなるやら。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!


色々と考え方は有ると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

宜しければ下記のリンクもお目を通して頂ければ幸いです

新しい話をアップしていきますよヾ(*´∀`*)ノ:孤島で錬金術師~修学旅行中に孤島に飛ばされたから、錬金術師になって生活環境を整えていく~
― 新着の感想 ―
[一言] もう世界が変わって何年もたつのにぬるいなあ。職質とか発想がありえないでしょ。
[一言] 「と、遠くから声を掛ければ良いんじゃないでしょうか!」 一見良さそうな提案しても、人任せの人居ますね。この提案者、安全な場所から言うだけの人のように感じました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ