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お姉ちゃん。流石やね。  作者: こんて
8/8


 結局わたしは一週間した後に帰ることにした。

 Cのこと100%完全に認めた訳やない。

 せやけどいないとお姉ちゃん多分死ぬからな……。

 100%中の60%ってところや。

 ま、今お姉ちゃんも東京にいるから水分くらいは認めてもええわ。


 新幹線が来るまであと五分。二人が見送りに来てくれていた。

 お姉ちゃんとC。……まあ悔しくないと言ったら嘘になるけど、しゃあないな。


「あんなお姉ちゃん。心配しとらんけど、受験するんやろ?」

「うん。二浪は世間体良くないからな」

「……? お姉ちゃんが世間体とか言うの、珍しいなあ」


 お姉ちゃんは笑って、


「うちかて多少は気にしてん。なあC?」

「あ、ああ……」

「Cは? お前も東大受けるんか?」

「いや……そもそも、俺は……」


 お姉ちゃんが真っ赤になって、


「ちゃう。こいつ元々東大生やねん」

「え? そうだったん。へー」


 ほんのちょっと感心したわ。ほんのちょっとだけな。


「去年の二月頃かな、東京に遊びに行った時に丁度行き倒れてなあ」


 二次試験の直前に遊びに行くなよ。


「……ああ、そう……じゃあお姉ちゃんもしかしてCと一緒に通いたいから受けんの?」

「べ、べ、別に、そんな、」

「フリーズしないでお姉ちゃん」

「そんなことないんやけどな」


 ……もうええわ。考えるの疲れてきた。


「でもCは割と時間ありそうやけど」

「今一年やから、休学してるんや。だって留年したら、もうちょいして入学するうちと学年お揃いやろ? な? 勉強はうちが見てるしな! ちょー簡単や! Cも面倒だって言ってたし」

「あ、ああ……まあ休学手続きの方がどっちかっていうと面倒だったけどな……」

「またまた。何言ってんのや!」


 お姉ちゃんそれ赤くなるところやない。

 C、お前どこまで尻にしかれてん。弱っちいなー。


 新幹線が来たので、行列に従ってキャリーケースと一緒にゆっくり乗り込む。

 ドアが閉まる前にわたしはふと今までの疑問を思い出した。


「……なあお姉ちゃん。聞いてもええ?」

「なんや」

「何で去年阪大落ちたん?」

「秘密や」

「正直言うともうそこまでこだわってないんやけど。あくまで確認や」


 大方Cと一緒の大学通いたくなったからわざと落ちたとか、そういうことやろ。


「しゃあないなあ」


 お姉ちゃんは恥ずかしそうにして、


「だって現役で入ったら人生で働くのが一年早くなるやろ? うち働きたくないねん。浪人だったら堂々とモラトリアム期間延ばせるやんか」


 得意げに言い放ち、Cはさっと目を逸らした。


 

 ――お姉ちゃん。流石やで。


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