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結局わたしは一週間した後に帰ることにした。
Cのこと100%完全に認めた訳やない。
せやけどいないとお姉ちゃん多分死ぬからな……。
100%中の60%ってところや。
ま、今お姉ちゃんも東京にいるから水分くらいは認めてもええわ。
新幹線が来るまであと五分。二人が見送りに来てくれていた。
お姉ちゃんとC。……まあ悔しくないと言ったら嘘になるけど、しゃあないな。
「あんなお姉ちゃん。心配しとらんけど、受験するんやろ?」
「うん。二浪は世間体良くないからな」
「……? お姉ちゃんが世間体とか言うの、珍しいなあ」
お姉ちゃんは笑って、
「うちかて多少は気にしてん。なあC?」
「あ、ああ……」
「Cは? お前も東大受けるんか?」
「いや……そもそも、俺は……」
お姉ちゃんが真っ赤になって、
「ちゃう。こいつ元々東大生やねん」
「え? そうだったん。へー」
ほんのちょっと感心したわ。ほんのちょっとだけな。
「去年の二月頃かな、東京に遊びに行った時に丁度行き倒れてなあ」
二次試験の直前に遊びに行くなよ。
「……ああ、そう……じゃあお姉ちゃんもしかしてCと一緒に通いたいから受けんの?」
「べ、べ、別に、そんな、」
「フリーズしないでお姉ちゃん」
「そんなことないんやけどな」
……もうええわ。考えるの疲れてきた。
「でもCは割と時間ありそうやけど」
「今一年やから、休学してるんや。だって留年したら、もうちょいして入学するうちと学年お揃いやろ? な? 勉強はうちが見てるしな! ちょー簡単や! Cも面倒だって言ってたし」
「あ、ああ……まあ休学手続きの方がどっちかっていうと面倒だったけどな……」
「またまた。何言ってんのや!」
お姉ちゃんそれ赤くなるところやない。
C、お前どこまで尻にしかれてん。弱っちいなー。
新幹線が来たので、行列に従ってキャリーケースと一緒にゆっくり乗り込む。
ドアが閉まる前にわたしはふと今までの疑問を思い出した。
「……なあお姉ちゃん。聞いてもええ?」
「なんや」
「何で去年阪大落ちたん?」
「秘密や」
「正直言うともうそこまでこだわってないんやけど。あくまで確認や」
大方Cと一緒の大学通いたくなったからわざと落ちたとか、そういうことやろ。
「しゃあないなあ」
お姉ちゃんは恥ずかしそうにして、
「だって現役で入ったら人生で働くのが一年早くなるやろ? うち働きたくないねん。浪人だったら堂々とモラトリアム期間延ばせるやんか」
得意げに言い放ち、Cはさっと目を逸らした。
――お姉ちゃん。流石やで。
完




