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お姉ちゃん。流石やね。  作者: こんて
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1回毎の掲載文章量が短い/長い、改行が多すぎる/短すぎる等あったらお知らせ頂けると嬉しいです。こちらはもう出来上がっているものなので……(;´∀`)

 わたしの名前はE。お姉ちゃん、Aっていうんやけど、尊敬してん。好きやねん。すっごく頭も良くて、現役で阪大に合格するはずやったんやけど何故か不合格。


 試験は水物って言うけど、センター試験ほとんど満点取ってんのに何で落ちよったんやろ。合格発表日に一緒に見に行こう思て着替えて家族でケーキの準備も用意しとったのに、お姉ちゃんたらインターネットを見てあっけらかんと、


「落ちたわ-!」


 とか抜かしよった。おまけに後期も落ちよった。あれは今でも謎や。逆にわたしたちの方ががっくりきとったし。流石に落ち込んでるのかなとか思ってたんやけど、次の日に、


「やっぱ東大いくでー」


 とか言いよったんや。まあいつも突然なんやけど、わたし達は流石に仰天した。阪大でええやんか。何でわざわざ東京なんて行くのかわたしには理解できんかった。


 でも一番理解できんのは反対しなかったおとんや。「金は出さん。好きにしろ」の一点張り。当然無理やろと思ってたんやろか。でもお姉ちゃん予備校の特待生? みたいなのになってて。学費はほとんどかからんかったし、おまけにインターネット使ってどうやったのか知らんけど結構なお金貯めてたみたいなんや。


 三月の下旬には「じゃあまたなー」とか抜かしおって、もう居なくなってて。わたしらのこととか全然考えとらん。酷いお姉ちゃんや。おとんはおとんで「うー」とか唸って一人で泣きながら酒飲んでた。アホや。


 ――という訳でわたしもコツコツバイト代貯めて、冬頃になってようやく暫く様子見にいけるぐらいの費用が貯まった。いざ東京やねん。待ってろお姉ちゃん。



 新幹線から降りた時に思わず身体が震えてひとりごちてしまう。


「うう、さむぅ。ここが東京かあ……人多いなあ……」


 キャリーケースをしっかり寄せて、マフラーをくるくる巻き直す。事前に連絡していたとはいえ、こうごみごみしてると訳分からん。ホントに迎えに来てくれるんやろか。なんか不安になってきたわ。


「ケータイケータイ……」


 ポケットから取り出そうとすると、


「その必要はないでE! うちはここにいる!」

「お、おねーちゃん!」


 わたしの正面にたっとったのはお姉ちゃんやった。


「どうしてわかったん?」

「一番端っこからここまで一気にダッシュしてきたわー」

「それ他の人に迷惑やない?」

「他人は他人。自分は自分やで」

「流石やね。でも苦労しとるんやない?」

「別にしとらんよ」

「だって服もぼろぼろやんか。パンツとか……」

「あんな、これはファッションや。原宿ぽいやろ」

「原宿知らんし。天王寺っぽいな」


「なんでや」


 お姉ちゃんはやっぱりかっこよかった。



 ようわからん地下鉄を乗り継いで、お姉ちゃんが住んでるところに向かうまで二人で歩くことにした。


「東京人多いなあ……」

「Eはそればっかりやなあ。すぐ慣れるわ。それに大阪もじゅーぶんごみごみしとるやろ」

「大阪は違うわ! 東京には新世界とかないやろ! 旧世界や! 水もまずいし!」

「まだ水飲んでないやん」


 なんや、お姉ちゃんは東京にすっかり染まってしまったんか? 人間の60%は水でできてるらしいから、ひょっとしてもう半分以上は元のお姉ちゃんじゃなくなっちゃったんか? 心配になってきた。


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