仲間
「って訳よ。」
ミラが電話の内容、イワン バザロフからの命令の全貌を打ち明けた。
その内容はラザァ、ガレン、アズノフ、エリーを殺すというものだ。
「それを僕に教えたってことは、、、」
「安心して、あなた達に危害は加えない。バザロフの言いなりにはならないわ、もう逃げない。ヒルブスと戦うつもりよ。」
「でもそれだとヨランダが、、、」
ミラから聞いたバザロフの話だとミラは幼い頃から親のように慕っていたヨランダを人質として取られている。ミラがバザロフの命令を無視したと知られたら恐らくヨランダに危害を加えるだろう。
「ヨランダを見捨てた訳ではないわよ、あなた達が協力してくれれば時間を稼げる。その間にヒルブスとバザロフを止めて爆弾も回収してヨランダも地下牢から助け出す。」
ミラも苦渋の決断だったのだろうがあてはあるらしい。
「協力?」
「ええ、そのためにまずあの2人を呼んできてもらえる?」
その時背後から足音が響き反射的に振り向く。
そこにはエリーをお姫様抱っこしたガレンとアズノフが立っていた。
「「呼んだか?」」
「「だからてめえ!こんな時まで真似するんじゃねえ!」」
「「あ?」」
こんな時まで仲良しな2人を見てミラが「手間が省けたわね。」と笑いを堪えながら言った。
「なるほどな、アルバード ヒルブスが今回の黒幕か、、、」
ミラの話を聞いたガレンは妙に納得したように頷く。
「あんまり驚かないのね、あいつが周りからどう思われていたのかは知らないけれどもう少し疑われると思ってたわ。それに私があなた達に嘘をついてると思われるかとも。」
「いや、俺もあいつの事はキナ臭い奴だと思っていたんだが証拠がなくてな、それに奴は外国のそれなりの地位の人間だ。うかつに探りを入れると何されるかわからん。それとだな、いくらなんでもこの状況でお前の人格を疑う程俺は性格悪くないぞ!いくらお前でもな!」
ガレンは未だにミラへの警戒は解いていないようだがそれでも話は信じたようだった。
「どうする?僕らが生きているのがバザロフにバレたらヨランダが危ない。それに爆弾の使用を早める可能性もある。」
ラザァの最大の心配事はそこだった、ヨランダの命だけならずテロ攻撃にも影響する可能性があるということだった。
それにもう軍内部にヒルブス側の裏切り者がいないとも限らない。うかつに助けを求めることもままならないのだ。
「そこは私からもお願いするわ、事件が収束するまでの間はあなた達には公の場に姿を現さないで欲しい。エリーは大きな病院を避けて小さな個人経営の病院で診てもらいましょう。」
そう言ってなんとミラはガレン達に頭を下げた。今までの態度からは想像もできない行動に思わずガレンも戸惑っていた。
「あ、ああ、それなら俺もそうするつもりだったしな、問題無い。ただしそうなると軍の裏切り者がまだいるかもしれないと考えるとな、、、必然的にヒルブスを追うことが出来るのは俺たちだけってことになるんだよな。」
「そうだね、、、」
ラザァもよく知らないが相手は裏社会に通じる富豪だ。いくらミラやガレンが強くても真っ当な方法では戦うことなど出来ない。
「それに追い詰めるってどうすればいいんだろ?もし奪われているなら爆弾がどこに運ばれるのかもわからないし、ヒルブスやバザロフがどこにいるのかもわからないし、、、八方ふさがりだな〜」
そこまで言ってラザァはため息をつく。
テロ攻撃なんて生まれて初めて遭遇する訳だし、テロリストがどう行動するかなんて予想もつかない。
「それならあてがあるわ、ヒルブス邸にはパイリア全域に張り巡らされた地下水道につながる通路があるの、恐らくそこを通って気付かれずに爆弾を標的まで輸送するつもりよ。」
「ヒルブス邸に忍び込んで輸送途中の爆弾を確保するのとヨランダの救出ね、目標はどちらもヒルブス邸の地下よ。」
「忍び込むって簡単に言っても、、、相手は富豪でしかもテロリストなんだろ?警備くらいは万全じゃないかな?」
ラザァはなんでもないことのように言うミラに問いかける。
だがミラはさすがに長年住んでいただけあり更に秘策があるようだった。
「敷地内への進入はそこまで難しくないと思うわ、普通の富豪の爺さんを装うために家自体は普通の造りだもの。それに今朝の時点では警備の人が普段から増員された雰囲気は無かったわ。」
「それにバザロフは私がヒルブスの言いなりのままだと思っているはず、油断をつければ一気に地下まで行くことも可能なはずよ!」
らしくもなく自信ありげに語るミラに僅かな不安を覚えつつもラザァ達は話を聞いていた。
そんなラザァ達の無言を肯定ととったのかミラは「それじゃあ少し頼みたい事があるんだけれど」とか言いながらこの臨時作戦会議を議長よろしく仕切り出した。




