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一難去った後の振り返り、あるいは言質取り


* * *



「ーーそれで、現在、今の私に繋がってるってわけだね。ちゃんちゃん」





 立花さんの暴露話ならぬ、身の上話。

 

 <キューピッド>なれば、恋路を手伝い応援する側に回った背景が語られたわけだが。話の中で見知った人物との繋がりもあれば、天真爛漫と自身の恋愛観については相も変わらず無頓着だった模様すーー

 



「こうやって振り返ってもみれば、何だかんだで千草ちぐ先輩には感謝してるんだよ」


「本人が聞いたら喜びそうな台詞だね」


「まっ、面と向かって言えない代わり。たまには後輩のよしみで付き合ってあげるのも悪くないかな。時折勧めてくるアニメはどれもこれも面白味が薄いけど」


「最後の一言は余計だと思うな……」




 報道部でありながらアニメ漫画通の千草先輩。

 立花さん同様に鋭い感性をお持ち、かと思えば若干抜けてる感じの人柄だ。俺も一度は怪しまれたことがあるとはいえ。憎めない雰囲気は出ていたような気はするな。だけど、この学校に入学する前からの付き合いだったのかという個人的な感想は一旦置いておくとして。



 残った手前これだけは聞いておかなきゃ。

 



「あ。えっと…… 聞いた後でこれを言うのも可笑しいけど、そんなサラッと自分のことを人に話して良かったの。俺なんかに……」



 なして条件反射、これはまざまざ聞く必要もないだろうが、自分の不甲斐なさから意図していない言葉が突いて出てしまう。

 


 結果的にいても変わらなかったのなら、立花さんの話を聞く通りがないと。実際やったことは不様な格好を晒してみせただけなんだ……

 しかしながらこっちが後ろ向き姿勢でいようが彼女は躊躇いもせず軽快な口ぶりで言葉を返してくる。




因果応報いんがおうほうって奴だね。悪い行いが自分に返ってきた結果こうなったわけだから。それに。『誰しもが知られたくない秘密がある』って話、その答えを説いてみせただけだし。でもま…… あの時の地続きでいうなら改めて、隣に出来た彼氏さんがいたとして、あいみんが君の事を気に掛ける大部分が見えた気がするよ」




 価値があるという意味でプライスレスというのか。

 芽森さんの事や幼馴染みという特異点から。


 思い返せど立花さんと千草先輩コンビに目を付けられたのもつい最近のことのようだ…… そんな俺の余計な一声により、愛美との腐れ縁を掘り下げられたり。またまた話が振り返りそうになるやも。いやいやとーー首を横に振る。




『まぁ、余計な詮索はしないよ。誰だって触れられたくない過去ってもんがあるんだろうからさ』


『そういうってことは、立花さんにも、あるの......』



 遡ってみるなり、問いを投げ掛けたのは確かだけども。本題はそこじゃない。




「う、いや。その話は今は置いといて。<八神さん>のことについてはどう、思う」




 俺が聞きたかったこと。

 信也君が話を付けてくれたといっても、標的として呼び出された立花さんの気持ちはどうなのか。クラス中に主犯者がいて。騙された形なら恋愛相談者という有り様をも否定されたり。いくら楽観的でも怒りが芽生えないとも限らないんだ。



「まさか報復したりする…… とか?」



 そーっと、しかしハキと聞こえる声量。

 怖いもの見たさで問うが。そこは彼女なりに考えをつけてるようで。





「<今回>のことはーー思うとこはあるっちゃあるけど、私は少し様子見で黙認しようかなって思ってるよ」


「もくにん?」


「うん。塚っちの説得も無下にしたくはないしさ」



 二度の確認からそれを聞いたが安心。

 立花さんの口から言質を取れたのなら任務完了となるわけだが、今しがたの発言はブーメランとなって返ってくる。



「まっ、黒真っちがどうするかは知んないけどね」




 不意を打たれたのなら、逆に俺の方が問いだされてしまったみたいだ……  





 だけどこれで代わりにはなれたと思っていいはず。

 ストーカーだろうがなんだろうか、場を納められたのは誰のお陰なのか、そう。本来話を聞くべき権利があるのは俺じゃない。



 そして、文言を残していった立花さんが一足先にその場から去り行くと共に俺は彼に電話を繋いだ。




〈今の"聞こえてた、信也くん〉



立花さんの背景は一旦飛ばしに

内容に因めば前のサブタイトルを模した形にして、1話毎のオチをどこに持ってきて区切りを入れるか


正直、会話劇を展開させると文章が増えてしまってか、水増しみたいになるのでそれも困りものなんよなっていう…… ただやっぱり会話部分がないのも不自然な上、地の文での語りや描写も少ないと小説の体にはならないのかなって。それはそれでテンポが……



次話

【   】成らざる者の一歩

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