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熱い、男の友情にて……


 月曜日の妙というべきかはさておき。


 晴れて主犯者達を特定出来たものの、とっちめることはしない。そこは事情を聞いたのち。好きな相手に向き合う姿勢の有無や、そのことに関する良いか悪いかの問い掛けで。あくまで対話による解決へ持って行こうかとしていたおり、話の内容が一変。




 ーーああ好きだぜ




 説き聞かせる流れから信也君が放ってみせた熱意は別の意味合いとして捉えかねないもので。忽然とあらぬ方向へと移り変わり行く。





「俺はあいつの為なら火の中、水の中、女子の絶対領域中や修羅場中。頭上から泥でも被れるし、何なら穴ん中だって掘られても良いとさえ思ってるよ」




 男が男に惚れ込む……



 それだけ信也君にとって海音君という男は特別なんだろう。長年築き上げてきた幼馴染みとする絆、信じ往く心と心で通じ合ってる親友なればこその発言内容、だとして。


 言葉の含みが正しく伝わるかは聞く人によって変わってしまうもの。それも女子達の前で堂々と言って見せたのなら、果たして……






「え、ちょっと待って。じゃあ海音君も」


「まさかそういう、関係なのか?」


「それはつまり、ぼ、ボーイズ……」



 さらに具体的な熱量を投下したことにより流れは加速。一喜一憂と示し合わせたように顔の色も変化。




 引きつらせる者

 戸惑いみせる者

 口を開いてる者

 目を丸くする者

 頭を抱えてる者

 顔を赤らめる者




 それぞれが異なる反応を見せる中。



「さぁ、どうだかな……」


 信也君は声のトーンを抑えめに返答。




「ただ、あいつの事を思うと今にもこう…… 胸の奥辺りがギューッと、いや。締め付けられるみたいにキリキリ痛んでならねぇっつうか」



「きゃあぁぁぁっ?!☆」


「ガチめなやつじゃん……」


「同性同士…………」



 その特有の感情表現は共感を覚えるものらしく。

 恋しき者の吐露にーー意味深かつ熱狂的な声が上がるほど。


 後方なら目先にいる信也君がどんな表情を彼女達に向けているのか、どういう風に言ってのけてるかは伺い知れやしないが。女性側の反応と顔を見れば本気度や熱量差が伝わってくる。

 


 見込む、憧れる、慕いもうす、敬いたてる。

 れするという字面は捉え方次第により。

 打ち明けた思いの程は演技か、はたまた。




 (まさか本気だったり……)




 俺も彼女達同様、横目から聞いていればつい惑わされそうになるやも、信也君は少しの間を置いて語りかけた。それは何より物事を解決へと収束させる策とも言うべきもので。

 




「あー、そこで提案があるんっすけどーー」







「え、"それは"でも」



 とどのつまり好意を利用したすり替え論。

 ただしそれを用いれば自分1人だけがリスクを要しかねないと。

 提示された案に対して俺は声を漏らすが。

 しかしながら信也君は、つらつらと言葉を重ねていく。




「証人はくろやん並び、この場にいる全員だ。立花、そっちで出来るよな」


「うん、まぁ。塚っちが良いなら構わないけど」



 そして立花さんに確認を取るなり、真剣味を増した眼差しを彼女達に向ける。




「どうか。ここは俺の・想・い・に免じてくれねぇっすか、十六夜いざよい先輩」





 "脅迫でも"なければ降伏でもない別の選択。頼み込むという形で頭を下げた。それもおそらくはリーダー格の女子の名前を呼び上げながら……





 この世の中に男と女なれど同性愛者(マイノリティ)による恋愛は色々な事情や事柄で困難を極めるもの。異性間という壁は簡単に越えたり埋めたりは出来ない。つまり届くか届かないか以前の障害であって、恋心の行方は彼女達の比じゃないという事を意味する。



 同情を買うじゃなし。


 片や親衛隊として応援している立場。

 片や友人として行動を共にする立場。

 

 遠いがゆえの苦しさと、近いがゆえのもどかしさ。似ているようでまた違う悩みの種だ。

 


 然らば…………




「やよいどうする?」


「十六夜!」


「やよ先輩っ」


「海音きゅん……」



「っち。分かったよーー」




 共感が共感を呼び込む、信也君の思いは無事に彼女達に届いたようで。提案を飲んでくれるということで可決。






 ーー当然、一番肝心なことも忘れべからず。





「一歩間違えればどうなるか。言わなくたって分かるよな先輩方…… これは取り引きじゃなく、学校の治安を維持したいが為の説得なんだ。俺の写真(カメラ)はこんな道具に使う為にあるんじゃねぇ」






 ただし、提案を飲んだからといって、速やかに鎮火もしなければ、しでかした罪は消えるわけじゃない。しっかり事の重大さを受け止めて欲しいという思いも込めて、対話による話し合いを終えた。


 






 * * *





 そうして十六夜先輩達が一足早く校内に戻っていったのち。



 信也君と立花さん、俺の三人が残された。





多様性な時代、このような描写にどうオチを付けるか。それはもう書き出す前から、令和に突入する前々から思ってたりするんですけども。


亀更新ゆえに、積み重ねならこの話をも書く段階になってるのかというモヤモヤ感…… 



次話

【   】成ればこその一歩

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