20_2年目開始
「叙爵おめでとう。」
特待クラスの寮に入った日、サーシャはエリスとアリサの二人に中を案内して貰うことになった。
ゲームで見た場所だとわくわくそわそわしていたのを生暖かい目で見守られ、今は寮の庭にテーブルを出してお茶にしている。
マナーを見るという名目でサーシャは二人にお茶を淹れ、合格を貰う。
3人で優雅にお茶を一口飲んだ後のアリサのセリフがこれ。
「ええ。おめでとう。この寮で貴方より高位なのはマリア王女殿下とイーダ様だけよ。」
イーダ様は入学時、父親より子爵の爵位を譲られている。
他はエリスとアリサを含めて令嬢のみ、親の爵位はともかく男爵の爵位を持つサーシャは高位となってしまった。
サーシャとしては二人に前世のことを確認したかっただけなのに何でこんなことになったと頭を抱えている。
事の起こりは冬休み直後の帰省だった。
特待クラスの寮に移ると気軽に会えなくなるからと言って、夏休みと同じくクレスとポリーの3人でサーシャの故郷に向かうことにした。
家族には既に連絡済み。
サーシャの場合何故か移った後も騎士科の訓練に参加することになるのでこれっきりということは無いけど頻度はどうしても減る。
卒業旅行みたいなものかと思ってウキウキと3人であちこち寄り道計画を練っていたらスティーブンが混ざってきた。
ゲームイベントじゃんと思ったもののクレスとしては女二人に男一人で気まずかったらしくスティーブンを歓迎。
結果、4人で行くことになってしまった。
ゲームではここで王女襲撃イベントが起こるんだよなあと思いつつも襲撃を受ける第三王女はいないと安心していたら王女襲撃イベントは発生してしまった。
襲撃されたのは第四王女のマリア殿下。
地方視察中に正体不明の敵の襲撃を受けと・・・ゲームイベントばりに活躍する羽目になる。
結果、4人はその功績で爵位を賜ることになった。
メインだったスティーブンとサーシャは一代男爵、クレスとポリーは騎士爵。
サーシャの実家は娘と爵位が同じでは気の毒と言うことで近い内に子爵に陞爵する予定である。
ゲームでは第三王女のやらせだったが今回はガチ。
第四王女の輿入れ先と敵対する国が嫌がらせの為起こした事件である。
幸い大事になる前に防げたので良かったが一つ間違えば戦争に突入していた。
母国と王女の輿入れ先の双方から感謝されなんやかんやで冬休みは終わってしまった。
両親とは叙爵の式典で会えたから良かったけれど起こそうと思っていた時は起きず、起きて欲しくない時には起こるってどういうこととサーシャは思う。
まるで懐かない猫みたいだ。
「それはそうとサーシャ様。」
現実逃避しつつ、淑女科で鍛えた社交スキルで会話をこなしていたサーシャの耳にエリスが爆弾をぶち込んでくる。
彼女は言った。聖地巡礼で浮かれているんじゃないと。
「・・・」
「・・・」
「浮かれてました?」
「ええ、とっても。」
私達も似たようなものでしたけとアリサは続ける。
「襤褸を出すんじゃないかと心配して案内を引き受けたのですが正解でしたね。」
冷や冷やしましたとエリサが笑う。
「・・・お仲間ですか?」
「「はい」」
そう言って2人はにっこり笑った。
「何時気が付いたんです?」
サーシャの言葉にアリサは答える。
「質問がお仲間かどうかという意味なら入学式の時でしたね。」
「騎士科の筈が淑女科で誰かを探すような素振りがみえましたから。」
とはエリスの答え。
「どこで見たんです?」
「特待クラスの席は2階なんですよ。」
(成程、下を見ていても見つからない訳だ。)
「2階は来賓だけだと思っていました。」
「確かに私達以外はお客様ばかりでしたね。」
そう言ってアリサは笑う。
「もう一つ、思い出したのは何時ですか。」
「私は8歳でアリサ様は5歳でしたね。サーシャ様は?」
「10歳です。」
閲覧、有難うございます。
やっと答え合わせ。
ゲームイベントらしきものが起こっているのはサーシャだけでエリスとアリサは起こってません。




