14_一年目の夏
夏が近づきクラスでは休暇前のパーティの話題が多くなってくる。
一部の生徒には履修単位が足らず、補講を避けるため必死に勉強する姿が見られるようになる。
特待クラスの場合、補講は無いが一般クラスへの降格審査の対象となる為、履修状況が怪しいものは必死に勉強している。
また一般クラスの成績優秀者は特待クラスへの編入試験を受けるべく必死に勉強している。
サーシャもその一人だ。
淑女科クラスの同級生達はサーシャのことを変わった子と思っているが嫌ってはいないので応援している。
エリスとアリサは成績に問題が無いのでのんびり特待クラスの寮のラウンジでお茶をしていた。
エリスが苦手としていた作法もイーダのサロンでの特訓で2年度分の必修は合格することが出来ている。
3年度分は後期には合格する予定である。
「アリサ、有難う、作法は無事合格できたわ。」
「お礼はイーダ様に言って。」
「イーダ様には既にお伝えしたわ。」
そう言ってエリスは優雅にお茶を飲む。
その姿は入寮当時に比べて格段に美しくなっていた。
「夏で思い出したんだけど・・・」
「なあに?」
「確か騎士科の演習で生徒が亡くなる事件が起こっていなかった?」
騎士科に所属していてステータスが高ければ事件は起こるものの死亡は防げる。
そんなイベントだ。
記憶の中で発生していた時期は少し前に終わっている。
クラスは違うとは言え、そんなことが起こっていれば自分達の耳に入っている筈だ。
「確か1年の演習は先週終わったはずだけど特に問題が起こったという話は聞かないわね。」
アリサもそれに同意する。
「もしかしてこれも・・・」
エリスの言葉にアリサは唇に人差し指を当てた。
それを見てエリスはこくこくと頷く。
「思っても口にしては駄目よ。」
「うん・・・気を付ける。」
「サーシャさん、編入試験、合格できるかな・・・」
「その辺はエリスさんの方が詳しいんじゃない?」
イーダ様のところで聞いたでしょうと促すと、
「うん、頑張っているんだけど少し足りないんじゃないかという予想。」
エリスも苦労したが女性の場合、特待クラスへの編入試験で作法の与える影響は大きい。
そういう意味で作法の勉強が中心の淑女科の選択は正しかったと言える。
出会い系イベントの発生期間が終わったからか春に話題となったサーシャの奇行は落ち着いている。
騎士科のクレスは同じ騎士科のポリーと仲良くしていてそこにサーシャが絡みに行ったという話は聞かない。
代わりに文官科のボアとは勉強を教えあったりしているようだ。
「サーシャさん、ちゃんと周りが見ている様ね。」
「うん、イーダ様のところの淑女科の子が色々指導したみたい。
話してみると真面目でしっかりした子だったって褒めていた。」
「物語で出てくるヒドインじゃなくて良かったわ。」
「アリサさん、そういうの読んでいたんですか?」
「末っ子に勧められてね。」
なるほどとエリスは頷いた。
自分も社会人になっても暇な時に色々読んでいたので人のことは言えない。
「ところで、アリサさん、良いんですか?」
エリスの言葉に首を傾げた。
「なあに?」
「ボアさんて幼馴染ですねよね。取られても良いんですか?」
「別に?本人が納得して幸せなら文句はないわ。」
享年50歳越えのアリサにとって10代の子供は恋愛対象ではない様だ・・・
「で、夏のパーティーのエスコートはどうするんです?」
「エリスさんはトレイシーさんにお願いしているんですよね。」
はいと嬉しそうに頬を染めるエリス。
「アリサさんはマイルズ家の跡取りですよね。どうするんですか?」
「母方の従兄に頼んでいるわ。」
「あっ・・・」
ゲームではエスコートの対象は攻略対象以外いない。
が・・・ここでは当たり前だが婚約者がいない場合、兄弟親戚がエスコートを務める。
「・・・失礼しました・・・」
「エリスさんは婚約者がいるからね。」
気を付けなさいとアリサは笑う。
この学園で相手を探している者は多い。
そういう人を刺激するなと言う忠告をエリスは有難く受け取った。
閲覧、有難うございます。
夏のパーティにサーシャはボアにエスコートを頼みました。
ドレスは自分で用意しましたがボアから装飾品が贈られています。
エリスはトレイシーから贈られたドレスを着て参加。
トレイシーにはクラバットを贈ってます。
特待クラスと一般クラスは会場が違うのでエリスやアリサと顔を合わせることはありません。




