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6章 --5(強さと友情 その3)
伊原南と 山井恵理は
全く同じタイミングで 同じことを言った。
「空野陽くんって あの 空野くんなの?」
そう「あの」と言ってしまうのは
当然だった。
空野陽は そう このとき
高遠真紀と 付き合って
いたのであった。
だからまず山井恵理が あの高遠真紀という
釣り合わない 彼女がいるはずなのにと
ついそのあとに 言ってしまっても
仕方のないことだった。
伊原南は なるほどといった顔をして
言葉を選んでいたが やっぱりこう言った。
「空野くんを 本当に好きなのは わかったけど
高遠さんという ちゃんとした
彼女がいるのに あなたはどうするつもり?
私たちを 説得出来ないようじゃ
とても あの高遠さんから 空野くんを
うばい取れるはずもないわ。
だから変わろう 強くなろうと思うなら
私たちから 納得のいくような
答えを 導き出さないと とても
無理だわ」
と 伊原南は 本当の友達として
ちょっといつもより 強めの口調で
言ってしまっていた。
伊原南は それほど困難な道を 歩まなくてもと思いつい言った言葉だった。
そして もし変わることに失敗したら
木本愛が この先まともな道を 行けるとは
思わなかったから 木本愛を心配しての
言葉になっていた。




