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救国の女神は本の続きを書く。  作者: さんまぐ
救国の女神が立ち上がるまで。

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第11話 救国の女神はアナーシャを喚ぶ。

メーライトが必死になって読んだ本は、【弓の使えないエルフ】という本だった。


エルフの姉妹、ワナイシャとアナーシャ。

2人は村を離れ、2人だけで暮らしていた。

2人共、子供の頃は神童と呼ばれる弓の名手だったが、身体が大きくなり完成される頃には、姉のワナイシャは上手く弓を射る事が出来なくなり、妹のアナーシャは目を病んで獲物を捉える事が出来なくなっていた。

エルフの秘宝[森の宝珠]を求めてやってきた冒険者を、監視する目的で案内するワナイシャは、冒険者が魔王の討伐を命じられた勇者だと知る。

[森の宝珠]を求めた理由は、魔王が根城にしている城の周辺を、魔界の樹木で覆い、備えなく入ったらおしまいの迷いの森を作っていて、攻め込む為に、どんな森でも、迷う事も傷つく事もなくなる森の宝珠を求めてきた事だった。

魔王の手先も森の宝珠を狙っていて戦闘になる中、弓使いとして役に立たなかったワナイシャだったが、重剣士の落とした剣を持つと動きが変わり、魔王の手先をなます斬りにしてしまう。

ワナイシャは身体が出来上がり、漲る力の加減がうまく出来ず、矢を射る事が出来なくなっていただけだった。

勇者達は、この先も助けて欲しいとワナイシャを誘うが、ワナイシャには目から光を失いつつあるアナーシャが居て、冒険を一度は断るが、アナーシャは見えない目で的を狙い、自分は大丈夫だから行ってこいと見送る。

ワナイシャは的に当たらなかった矢を見ながらも妹に感謝をして、勇者と共に魔王を討伐した。



メーライトは迷う事なくアナーシャのその後の人生を書いた。


アナーシャの父が、魔法を得意とするエルフだった為に、成長過程で稀に起きた事案なだけで、ある朝眩しさに目覚めたアナーシャの目には、父の魔法使いの力、魔法を放つ為の精霊の姿が見えていた。

弓の腕は変わらず、魔法まで使えるようになったアナーシャは、矢の残量を気にする事なく魔法の矢を放つ。


姉が迷いの森に入る時がアナーシャの決戦だった。

森の宝珠は、森があってこその宝珠。

森が力を失えば、宝珠は輝きを失い、勇者達は迷いの森から出られなくなる。

森の破壊の為に訪れた千の魔物を、アナーシャは全て射殺した。


アナーシャは魔王を倒し凱旋する姉を魔物の血で染まった森で待っていた。



まだバナンカデスの影響がそこまで大きくないメーライトは、真剣にアナーシャの人生を書くと「来て、アナーシャさん」と声をかける。


現れたアナーシャは、人ではないエルフの姿をしていた。

現れると「神様、ありがとうございます。このアナーシャ、神様の為に全ての敵を、射殺して見せましょう」と少しだけ発言が攻撃的だったが言ってくれた。


「よし、これで後方はなんとかなるな。私は攻め込むタイプだから、座して待つのは性に合わなかったしな」

「ええ、それでいけばあの司書官は有能ですね。ただ…、あの男の審美眼は恐らく本物、神様が喚べる存在に気付いた可能性もありますね」

「今は仕方ないよ。後は防衛特化の仲間が欲しいけど、間に合うかな?」

「この本にいれば良いのですが」


アーセワが手に取った3冊目の本は【料理人見習いが王妃?】という本だった。


アーセワはメーライトに休憩を進言し、アナーシャと共にワルコレステの元にアナーシャを紹介しに行く。

ワルコレステはアナーシャの顕現に喜び、アーセワがシムホノンを呼ばせようとする。

丁度メーライトが3冊目に手を伸ばした時だった。


敵襲を知らせる鐘の音が聞こえてしまった。



想定より早すぎる敵襲、ワルコレステ達は壁を最後の内壁三番だけと思う事にして、一番と二番を放棄して、動ける者と移動予定だった者にして、なんとか移動までの時間を稼ぎ、裏にある秘密の出入り口から脱出を行う。


国王の傷は癒えていたが、まだ無理に動かすと良くない事、それとまだ民達が残る以上、我先に国を捨てるわけにはいかないと言い、万一に備えて王子をワルコレステとともに先発隊に加えた。


「メーライト嬢、本来でしたら救国の女神様にこそ、先に移動をして頂きたいのですが、使徒様達と離れられぬとお聞きしましたので、殿をよろしくお願いします」


ワルコレステが秘密の出入り口付近でメーライトに声をかける。


「はい!頑張ります!」

「既に使徒様達は?」


「戦ってもらっています。アルーナさんが正門、アナーシャさんがお城の屋根の上、アノーレさんが避難誘導をしてくれています」

「頼もしい限りです。なんとか今を凌いでください」


ワルコレステはメーライトの横にいるアーセワに「メーライト嬢をよろしくお願いします。家臣からの進言は全て無視を、窓口はレーカンパーとロシピキが務めます。ただ、隙を伺う者もおりますので」と声をかけると、「承知しております。時間がありません。行ってください」とアーセワは返す。


見送る形になるメーライトの話は皆が知っていて、「女神様」、「ありがとうございます」と言って進んでいく。


メーライトは身震いと共に「アーセワさん」と呼びかける。


「はい?」

「私頑張る。この人達を助けたい」

「神様になら可能でございます。お気持ちを強く持ち、我々に戦えと仰ってください」


「悪くないかな?もっとやれる事ないかな?」

「時間ができたら次の本を読み、我々との繋がりを強化してください」

「うん。頑張るね」


今必要なのはバナンカデスとの付き合いではなく、本当に助けられる人たちの、顔を見て声を聞く事。

アーセワはこの流れは悪くないと思っていた。


今この時までは。



「メーライトさん!」と聞こえてきた声の先には、移動だと言うのに豪華な馬車に乗って歩きもしない、ドレス姿のバナンカデスだった。


歩く民達は迷惑そうにバナンカデスを睨み、メーライトに感謝を告げている。


「バナンカデスさん!?」

「ありがとうメーライトさん!メーライトさんがお友達の私を第一陣に加えてくださったって」


何も知らないメーライトに、アーセワが「アナーシャを喚べた事で、ワルコレステ殿がバナンカデス嬢を優遇されたのですよ」と耳打ちをする。


喜ぶメーライトに、バナンカデスは「先に砦に参ります。まだお父様とお母様達も、使用人たちも屋敷なの。お父様達をよろしくお願いしますね」と声をかけて去っていく。


それを聞いて頑張らないととまた口にするメーライト。


アーセワはバナンカデスの馬車を忌々しく睨む。

メーライトがせっかく人々に目を向けたのに、守るのはバナンカデスと誤認する。

それにこの土壇場で、ドレス姿で馬車に余裕があるのに自分の荷物を満載していた。


助ける価値もない。

忌々しい気持ちになっていた。

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