エピソード17 : 山奥の一ヶ月修行
辺境都市ラルスを離れ、シオンとユズは人里から遠く離れた山奥へと向かっていた。
目的は、ただ一つ。
――修行である。
「……ここまで来れば、邪魔は入らないな」
切り立った岩山と、濃い霧に包まれた深い森。
魔物も頻繁に出没する、危険地帯だった。
だが、シオンにとっては理想的な環境でもある。
「こ、ここで……一ヶ月も……?」
ユズは不安そうに周囲を見回す。
「安心しろ。死なない程度には調整する」
「それ、安心できる言葉じゃないです……」
小さく震えながらも、ユズはシオンの後についていった。
◇
二人は谷間にある岩場を拠点にした。
簡易的な小屋を魔法で作り、水源も確保する。
生活環境は最低限だが、問題はない。
「さて、今日から本格的に始める」
シオンは腕を組んで言った。
「まずは基礎体力と魔力操作だ」
「は、はい……!」
ユズは背筋を伸ばす。
最初の訓練は、単純だった。
――走る。
「止まるな」
「は、はぁ……っ!」
朝から夕方まで、森の中を走らされる。
坂道、岩場、沼地。
足場の悪い場所ばかりだ。
転べば容赦なくやり直し。
三日目には、ユズの足は震え、立つのもやっとになっていた。
「……もう、無理です……」
「まだ半分だ」
「ええ……」
だが、シオンは一切妥協しなかった。
◇
次は魔力制御。
「魔法は、強さより安定が重要だ」
シオンはそう言って、小石を空中に浮かせた。
「これを一時間、落とすな」
「い、一時間……!?」
「集中力の訓練だ」
最初は数秒で落ちた。
次は十秒。
次は三十秒。
何度も失敗しながら、ユズは少しずつ感覚を掴んでいく。
「……できました!」
十分を超えた時、ユズは目を輝かせた。
「悪くない」
シオンは短く褒めた。
その一言だけで、ユズは疲れを忘れた。
◇
中盤からは実戦訓練も加わった。
近くに出没する魔物を相手にする。
「来るぞ」
「……っ!」
牙をむいた狼型魔物が飛び




