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地上でいちばん難しいバレンタインの贈り物 〜天使が天使に恋してます!?悪魔と軍師も混ざる秘密の奇跡〜  作者: 久茉莉himari


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3/8

【3】軍師、次なる一手は恵方巻。〜魔術無効のヴィラで、恋と節分がシンクロした夜〜

そして舞台は、セレニス州の最高級ヴィラに移る。

夜の静寂と、人工の光だけが、完璧に計算された空間だった。


ロクシーがルチアーノに指示して、丸々二棟、貸し切りにさせたのだ。


理由はもちろん――

誰にも邪魔されない場所を求めた結果だった。

セレニス州は、魔術無効の州だから。


ここならば、作戦を立てていても、神と、

この地を魔術無効にした地球最強魔女イレイナにしか、聞かれずに済む。

それほど、この作戦は繊細だった。


ルシアンは、ほんの少しの恩寵は使えるようだが、それはどうでもいい。

今のルシアンにとって、気にする余裕はないだろう。


それにルシアンは、自分から、悪魔と人間の会話を聞くようなタイプではないからだ。


最初に大失敗をやらかしたルシアンを救う一手を、

ロクシーが切り出す。


「バレンタインデーってね……2/14に始まって、終わるんじゃないの。

遅くとも……2/1から始めるの!」


ルチアーノが、ネタ帳にペンを走らせる。

白紙が、次々と埋まっていく。


「……なるほど!

ロクシー先生……天才ですか!?

ならば……」


フフッと笑い、なぜか突然、髪をかき上げるルチアーノ。

どこで覚えたのか分からない仕草が、鬱陶しい。


ロクシーが舌打ちをする。


「キモい!

言いたいことがあるなら、早く言え!」


ルチアーノが、ゆっくりと語り出す。

まるで、大物アーティストの如く――

場の空気を、無理やり、自分色に染めながら。


「……俺様……そう、俺様。

ロクシー先生も知っての通り、ジャパン通じゃないっすか?

そこで……。

ロクシー先生のお言葉を聞いて……降ってきたんすよね……

アイデア?っていうやつが……」


ロクシーが、無言で悪魔撃退スプレーを、ルチアーノに向ける。


「5.4.……」


カウントダウンが始まり、室内の緊張が、一気に張り詰める。

ルチアーノが、慌てて両手を振る。


「ロクシー先生!

ノンノンノン!!

つ・ま・り!!

ジャパンの節分を利用するのは、どうですか!?」


ロクシーが、スッとスプレーを置く。


そして、スマホを5秒操作すると、ニヤリと笑った。

すでに、勝利を確信した表情で。


「節分……いいじゃない。

でも、豆はNGね。

アンジュちゃんなら……恵方巻よ!

絶対、好きなやつ!

何本でも、食べるわ……!」


ルチアーノは、目を見開き、感動の余り、震える声で言った。

その言葉は、胸の奥に、深く突き刺さった。


「……恵方巻なんだ……!!」





そして、ルチアーノがルシアンに電話を掛け、

ルシアンを、セレニスのヴィラに呼んだ。


ルシアンの、いつもの無表情は、一段階上を行き、

マネキン人形のようになっている。


そんなルシアンを励ますように、

ルチアーノが、ルシアンの肩を、がっちりと抱き、明るく言った。


「ズッ友……!

そんなに、落ち込むなって!

俺様とロクシー先生で、第二弾の作戦を立てたんだよ!」


ルシアンの眉が、ピクリと上がる。


「……しかし……

アンジュさまは、バレンタインデーなど、ご興味はない」


一本調子で、淡々と告げるルシアンに、

ロクシーの目が、ギラリと光る。


軍師スイッチ・オン。


「じゃあ……ルシアン、恵方巻って知ってる?」


鋭く問いかけられ、ルシアンは、ロクシーを見て答える。


「日本の風習だ」


一言。


「それだけ……?」


ロクシーの声は、挑戦的だ。


「ああ」


ルシアンの声は、平坦そのもの。


すると、ロクシーが、パチンと指を鳴らした。


その途端――


「あいよっ!」と、ルチアーノの馬鹿デカい声がして、

ルシアンの目の前に、30センチはある恵方巻が置かれた。


ルシアンが、じっと恵方巻を見ていると、

いつの間にか、頭に紅白のねじり鉢巻きを巻いたルチアーノが、ペラペラと喋り出す。


「そいつはぁ〜、ジャパンの銀座の寿司店でぇ、特別に作らせた恵方巻だぜぃ!

アンジュちゃんのお好みに合うように、卵は甘口!

ネタは新鮮!

お兄さん、さあ、食ってみな〜!!」


ゴスッ……。


ロクシーの肘鉄が、ルチアーノの脇腹に突き刺さる。


ルチアーノが、「……ぐわっ……」と言って崩れ落ちると、

ロクシーの声がやさしく響いた。


「あのね。

恵方巻って、願い事をしながら、無言で一本食べきることで、

今年の幸福とか、商売繁盛、健康維持とかを願う、縁起が良い風習なんだって。

ルシアン……願うこと、あるんじゃない?」


ルシアンの視線が、恵方巻に落ちる。


「しかもさあ……」


ロクシーの、やさしい言葉は続く。


「"縁を切らない"って願いも、込められるんだよね……。

そんなルシアンを見たら……アンジュちゃん……きっと感動するよね?

純粋だもん……」


ルシアンが、ガハッと顔を上げる。


無表情ではあったが、血の気が戻っていた。

眼は、まさに戦士。


「いかにも……!

アンジュさまは、純真無垢なお方だ!」


「でしょ?」


ロクシーが、にっこり笑う。


「バレンタインの前の前哨戦に……

やる意味、あるよね?」


「もちろん!

理にかなっているな」


即答。


ルチアーノが、床に転がったまま、

「ズッ友最高……!」と言って、クラッカーの紐を引っ張った。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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