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【完結】地上でいちばん難しいバレンタインの贈り物 〜天使が天使に恋してます!?悪魔と軍師も混ざる秘密の奇跡〜  作者: 久茉莉himari


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15/16

【15】1ミリの奇跡を起こすために。〜恋は溢れ、悪魔がシェイクスピア・ソネット43を朗読す〜

そして――


イレイナの水晶玉から、

特大テレビへと映し出される二人の姿を見ている

ルチアーノ、リオ、アーチーボルトは、

揃って泣いていた。


リオが呟く。


「……俺……完全に悪者じゃん……」


アーチーボルトも、

力なく言う。


「……わしもじゃ……」


そして、

アーチーボルトがハンカチで涙を拭きながら、

キッとロクシーを睨んだ。


「ロクシー!

手荒すぎんか!?

ルシアンが可哀想になってきたぞ!」


ロクシーは泣いてはいない。

腕を組んで映像を見つめている。


そして、淡々と答えた。


「何と言われても構わない。


相手は大天使よ?

そもそも感情を持ってないの。


でも、恋を知って、

アンジュちゃんを

"永遠の恋人"だと想っているなら……。


アンジュちゃんは、

恋じゃなくてもいい。


ただ、

バレンタインに、

アンジュちゃんの心を、

ルシアンの想いで動かしてあげたい。


1ミリで良いから。

それだけ」


「ロ、ロクシー先生……ッ!」


わっと泣き出すルチアーノ。


すると、

パンパンとイレイナが手を叩いた。


「まったく……

いつの時代も、男はロマンチストね!


でもね。

ルシアンは大天使。


あんた達みたいに泣いて、

グチグチ言わない!


ここまできたら、

絶対に

"自分の気持ちが溢れた時"に

行動できる男よ。


今の映像、

ちゃんと見てたの!?」


そして、

イレイナは

リオとアーチーボルトに

絶対零度の視線を向ける。


「リオ、アーチーボルト……。

あんた達だって、

当て馬が悪役だと知ってても、


ルシアンの初恋成就のために、

当て馬役をやり切ったんじゃないの!?」


リオがぼそっと答える。


「そりゃあ……そうだけど……」


アーチーボルトも、

自慢の髭を撫でる。


「まあ……そうじゃ……」


すると――

イレイナが妖しく笑った。


「それに……

あんた達を当て馬役だけで、

呼んでやったと思う……?」


リオとアーチーボルトが目を見張る。


そして――ルチアーノも。


ルチアーノが叫ぶ。


「ロクシー先生……!

まさか俺様にも隠された脚本が……!?」


ロクシーがジロリとルチアーノを見る。

まさに冷徹な軍師の目。


ロクシーはアッサリと認める。


「そうよ。


あんたはね……

やらなくて良いことまでやるでしょ?


ズッ友精神は良いよ?

友情は大切!


でも、

突然ジャパンの寿司屋になったり、

KABUKI喋りとかいらないの!


これは……

今までで、最も繊細な作戦……。


失敗は許されない。


つまり、

あんたには話さないで実行する」


静寂。


それを破ったのは、

ルチアーノの喉がゴクリと鳴る音だった。





ルシアンは、

アンジュを抱きしめた瞬間に分かった。


イレイナが

"身体を完全に保つまじない"を

アンジュに掛けていることに。


だから、

風邪の心配はしていなかったが、


それでも、

身体が冷たくなっているアンジュが忍びなくて、


車のヒーターを最大にして、

アンジュに

「暑い!」

と言われてしまった。


ルシアンは、

ハンドルを握る自分の手を見る。


もう二度と、

自分からは、

抱きしめたりはしないと、誓う。


それでも――


ルシアンを尾行しながら、

"聖バレンタインの効力"について

自分も調べたと、


スマホを見ながら、

意気揚々と話しているアンジュが

隣にいるだけで、


心は満ち足りていた。





そうして、

ロクシーが泊まるヴィラに

アンジュを送って行くと、


ロクシーが慌てて言った。


「ルシアン!

ルチアーノと、

こっちのヴィラに泊まってくれない?


何かね……

アーチーボルトが見たんだって……!」


「見た?」


ルシアンが、

荷物を置きながら訊く。


ロクシーは、

心底呆れた口調で答える。


「そう!


隣のヴィラから

"何か"が覗いていて……


それを見てて

プールに落ちたんだって言うの!


それで水の中で慌てちゃったみたい。


絶対UMAだって燃えちゃって、

今夜からあっちのヴィラで

UMA観測始めるって張り切っちゃってて……。


もう準備万端で、

リオを助手にしてるんだよね。


オタクがスイッチ入ったら、凄いよ?


ルチアーノすら抵抗出来ずに、

こっちに追い出されたんだから!」


「なるほど」


ルシアンが頷く。


――それで溺れたように見えたのか……。


ルシアンがそう考えていると、

隣のアンジュがポツリと言った。


「……お腹が、空いた……」


ロクシーがにっこり笑う。


「じゃあ四人でディナーにしよう!」





楽しいディナーはあっという間に過ぎ、


ロクシーは、

バレンタインの用意をすると言って、

自分の寝室にさっさと戻り、


アンジュも、

流石に歩き回って疲れたのか、


バスタブにゆっくり浸かると言い残し、

自分の寝室に向かった。


ルシアンも自分の寝室で、

買いすぎた

ルチアーノとロクシーへのプレゼントを分別していると、


ルチアーノが、

ノックの音と共に転がるように現れた。


「ルシアン……!

助けてくれよ……!

覚えられない……ッ!」


ルチアーノは、

革張りの分厚い本を五冊抱えている。


「覚える?何を?」


そう淡々と問うルシアンを、

ルチアーノが涙目で睨む。


「ロクシー先生の案件に決まってんだろ……!


あの人……

正真正銘の悪魔オブ悪魔だぜ……!!


『ルシアンがアンジュちゃんにプレゼントを渡さないんだから、

あんたもあげる必要無いでしょ?


詩でも朗読しなさい!』って……!


シェイクスピアから、

カンタベリー物語、

ダンテの神曲まで……!」


「だが、お前は地獄の王だ。

帝王学を受けてるだろう?」


ルシアンの冷静な言葉に、

なぜかルチアーノが

ふわっと髪をかき上げる。


「……ズッ友よ……。


お前だけは、

俺様を

『帝王学からも逃げ切った帝王』

と呼んで良い……。


そう、

俺様は逃げ切った……。


生まれつき、

地獄の王の器あり!」


「では、

ロクシーからも逃げ切れるのでは?」


すると、

ルチアーノが、

かき上げた髪を

チョンマゲのように掴んで叫んだ。


「こっちがお金を払ってるのッ!


それになぜか、

罰金制度が契約に導入されてたんだよ!


ほらッ!

お前も一緒に、

俺様が暗記出来そうな詩を探せーーー!!」





そして翌日――


バレンタインのプレゼント交換は、

アフタヌーンティータイムに

することになった。


アンジュは、

バレンタインに合わせたのだろう、

赤いシフォンのワンピース姿で現れた。


ルシアンは、

ただ、

今日もアンジュさまは美しいと

思っただけだった。


ルチアーノは、

ブツブツと念仏のように

シェイクスピアの詩を唱えている。


アンジュとロクシーはご機嫌で、

二人で

バレンタイン仕様に飾り付けられたヴィラを見ては、

はしゃいでいた。


色とりどりの薔薇の花。

ハート型のバルーン。


それらを繋ぐリボンすら、

ヴィラに差し込む太陽の光を受けて、

煌めいている。


だが、

ルシアンは何も感じない。


――それが、

ルシアンを安心させた。





そして、

アフタヌーンティータイム。


まず、

ロクシーがアンジュにプレゼントしたのは、


かわいいブーケと、

オーストリアの一流パティシエによる、

各種チョコレートと

12種類のマカロンの詰め合わせ。


アンジュは、

真っ白な頬を薔薇色にして言った。


「ありがとう、ロクシー!」


そして、

ルチアーノとルシアンには――


ビニール袋に入った

ヘルメットと軍手1ダース。


ルチアーノが、

額に脂汗を浮かべながら訊く。


「ロ、ロクシー先生……

このプレゼントの……意味は何ですか?……

なーんて♪」


ロクシーは、

にっこり笑って答える。


「これから先も、

あんたは色々やることあるでしょ?


ルシアンだって、

大天使の務めに必要な時が

絶対くるって!」


ルチアーノは、

ぐぬぬ……と口をへの字にしているが、


ルシアンは

「理にかなっているな」

と感心している。


そして、

アンジュからの贈り物は――


赤いカバーの聖書だった。

セレニスの大聖堂にしか、

置かれていないもの。


その瞬間、

ルチアーノが


「……ヒィッ……!」


と恐怖の声を上げて飛び上がり、


「ありがとう、アンジュちゃんッ!」


と続けて叫ぶ。


ロクシーは、

「アンジュちゃん、ありがとう!」

と笑顔でお礼を言った後、


小さく

「なるほど……限定品ね……」

と、

鑑定士のように聖書を見ている。


ルシアンは、

アンジュに頭を下げると、

聖書にそっと触れた。


その刹那――


聖なる無数の光と

無垢なる魂が、

身体を駆け抜け、


ルシアンは

思わず目を閉じた。


それは、

アンジュの持つ"輝き"。


そして、

その輝きは、


ルシアンが受け止めても、

受け止めても――

溢れて止まらない。


そして、

ルチアーノが立ち上がった。


「で、では〜!


俺様は、

バレンタインのプレゼントに、

アンジュちゃんと

ロクシー先生に詩を捧げます!


シェイクスピア、

ソネット43番……!」


アンジュが、

にこりと微笑む。


「詩を……!?

素晴らしいな!」


ルチアーノは、

引きつった笑顔で語り出す。


「と…閉じられている時にこそ

私の目はよく見えるッ!


……昼の間はものを見ても、

見ていないのも同然なのだ……!


寝ている時には、

夢の中で君が見える。


君の姿が暗闇の中に……」


そこで、

ルチアーノがつっかえた。


言葉が出ない。


すると――


ルシアンが音もなく動き、

アンジュに向かって跪いた。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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