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【完結】地上でいちばん難しいバレンタインの贈り物 〜天使が天使に恋してます!?悪魔と軍師も混ざる秘密の奇跡〜  作者: 久茉莉himari


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13/16

【13】ロイヤルミルクティーは恋の武器。〜スノードロップに触れて知ったのは、恋の苦しみでした〜

そして――

午後のティータイムに再び、

ロクシーとアンジュが泊まるヴィラに集合することにして。


リオとアーチーボルトが、

ルチアーノのヴィラで荷解きを終えた、その瞬間――


リオの寝室に、

ルチアーノがアーチーボルトを引っ張って来た。


アーチーボルトを、

強引にソファに座らせるルチアーノ。


目を丸くしているリオに、

ルチアーノがギロリと鋭い視線を向ける。


「……ロクシー先生が、

自分の金を使ってまでお前たちを呼ぶと思うか!?」


ルチアーノの発言に、

ハッとするリオとアーチーボルト。


「無駄にイケメンな筋肉リオ、

お前もソファに座れ。


これから大切な……

地球を揺るがすほど大切な作戦を話す……!」


リオは真っ青になると、

無言でアーチーボルトの隣に座った。




その頃ルシアンは、

ロクシーのヴィラで、

アンジュに、午前のひとときのための

ロイヤルミルクティーを淹れていた。


ロクシーは、

突発の仕事が入ったからと、自分の部屋に戻って行った。


アンジュは、

カウンターテーブル越しに、

ルシアンの手元を楽しそうに見ている。


ルシアンは、

いつも通り平静にロイヤルミルクティーを淹れている。

つもりだったが――


アンジュの視線を感じ取った、

指先が震えるのを自覚していた。


ルシアンの手の動きに合わせて、

アンジュの青い瞳が動く。


ただ、それだけ。


それだけが、

こんなにも苦しく、甘い。


そして、

何とかアンジュの好みに完璧に合わせた

ロイヤルミルクティーが出来上がる。


「アンジュさま、ソファにお座り下さい。

お運びいたします」


ルシアンがそう言った時だった。


「あー良い匂いがする〜!」


と言って、

リオがメインリビングに入って来た。


続いて、アーチーボルトも。


「この香りはロイヤルミルクティーじゃな!」


ルシアンの片眉がピクリと上がる。


アンジュはパッと二人に振り返った。


「リオ、アーチーボルト!

どうした?」


リオが、

額に脂汗を浮かべながらにっこり笑う。

全米女子が推す完璧な笑顔で。


「ロクシーから突発の仕事が入ったって連絡があって!


ルチアーノも、

突然地獄の部下から水晶玉に通信が入って忙しいらしくて。


アンジュちゃんが退屈してないかなーって思って!」


アンジュがにこりと微笑む。


「流石、リオ!

やさしいな!


だが、私にはルシアンがおる!

心配はいらないぞ!ありがとう」


そうしてアンジュがソファに座る。


ルシアンが静かに、

その前にロイヤルミルクティーを置く。


すると、アーチーボルトが大声で言った。

額からツーッと一筋の汗を垂らしながら。


「わっ……わしも!

紅茶を入れるのは得意なんじゃ!


アンジュちゃん、

わしの紅茶も飲んでみないか?」


アンジュが弾んだ声を上げる。


「なんと!

それは素晴らしいな!

是非、淹れてくれ!」


すると、リオが腕を組んで天井を見た。


「でもアンジュちゃん……

甘党だからなあ……。甘さはどれくらい?」


アンジュが、

ロイヤルミルクティーの入ったカップを置いた

ソーサーを持ち上げる。


「私の好みはこの味だ!


そうだ…!」


アンジュがルシアンを見上げる。


「ルシアンよ!

この二人にもロイヤルミルクティーを淹れてやれ!」


ルシアンは一瞬、

たじろいだようにアンジュを見た。


アンジュは、

ただ、嬉しそうに微笑んでいる。

その笑顔の無垢な美しさ――


ルシアンはすぐに胸に手を当て、応える。


「……御意……!」




ロクシーが、

パソコン3台とタブレット、スマホを置いた空間で、

キーボードを叩きながら言った。


「ルチアーノ……。

あの二人、結構上手くやってるじゃない」


ルチアーノがタブレット越しに答える。


「はい!

ルシアンの背中をご覧ですか?

怒っておりますよ〜!」


ロクシーがフフフと笑う。


「恋に当て馬は常識!

でも大天使のルシアンは、

そんなこと、知らないしね……!」


ルチアーノが画面越しに、一礼する。


「まさに……!

流石はロクシー先生!


俺様、感服しております……!

まさか……

ロイヤルミルクティーを武器にするとは……!


あの二人には、

セットで当て馬になれ!と厳命しております。


リオが脚本を脱線しても、

アーチーボルトがカバーします!


そして……

アーチーボルトのおっさんにも重要な役割が……」


ほくそ笑むルチアーノ。


ロクシーが、

ヴィラの防犯カメラ映像と、

昨日急遽ヴィラに付けた無数のカメラ映像を見ながら、

ニヤリと笑う。


「ルシアン……。

イライラしなさい。

それがトリガーよ……!」




そして――

図らずも、

アンジュ、ルシアン、リオ、アーチーボルトの四人で、

プールサイドでお茶を飲むことになった。


今日は暖かく、風もない。

外でお茶を飲むのは最適だ――


そう提案したのはアーチーボルトだ。


アンジュは楽しそうに、

リオとアーチーボルトに

バレンタインはどうやって過ごすかなどを質問し、


「ルシアン、役に立ったか?」


と聞いてくる。


ルシアンは、

初めての感情に理性が追いつかなくて、

「ええ」と返すのが、精一杯だった。


――リオとアーチーボルトが、

早くルチアーノのヴィラに帰って欲しい――


その思いに囚われて。


リオもアーチーボルトも、

良い人間だと、理性では分かっている。


だが、気に入らない。


苛立つ。


そんな焦燥にも似た感情が、

頂点に達した時。


アーチーボルトが突然、プールに落ちた。


そして、浅い水の中で、もがいている。


ルシアンは、

アーチーボルトが泳ぎが得意だと知っていたので、

驚いていると――


リオが一瞬も躊躇わず、

プールに飛び込んだ。


そうして、

「アーチー!大丈夫!?」

と引き上げてやっている。


だが、そこは、

プールの水深30センチも満たない場所だ。


しかも、ルシアンは、

アーチーボルトが病気ではないことも、

恩寵で確認していた。


――何をしているんだ?


ルシアンが二人を観察していると、

アンジュがパッと立ち上がり、

二人に駆け寄った。


「大丈夫か!?二人とも!」


リオがニカッと笑う。


真夏の太陽のような笑顔で。


「大丈夫だよ。アンジュちゃん!

わざわざありがとう!」


「良いのだ!

アーチーボルトよ、大丈夫か?」


アーチーボルトが、

"なぜか"息も絶え絶えに答える。


「……ああ。リオのお陰じゃ……。

アンジュちゃん……手を貸してくれんか?」


「もちろんだ!」


アンジュの細い腕を、

アーチーボルトが掴んだ瞬間、


リオが「危ない!」と叫んで、

"なぜか"アンジュの腕を引っ張った。


その瞬間――


アンジュがプールに落ちた。


ルシアンが素早く立ち上がり、

プールへ飛び込む。


そして、

ルシアンがすぐさまアンジュの元へと泳ごうとすると――


アンジュはリオと笑い合っていた。


「ごめーん!

焦ってアンジュちゃんを引っ張っちゃった!」


とリオが笑えば、


アンジュも、

「リオは慌て者だな!」

と、びしょ濡れなのに笑っている。


アーチーボルトもプールの縁に座って、


「リオはわしを助けて動揺していたのだな!」


と笑っていた。


次の瞬間――


ルシアンは消えた。




フンフンフン♪と鼻歌交じりに、

水晶玉を前にネタ帳にペンを走らせるルチアーノの前に、

びしょ濡れルシアンが出現した。


「……うわっ!

何だよ!?


アンジュちゃんにロイヤルミルクティーを

淹れてやってたんじゃないのか!?」


ルシアンは何も答えず、

恩寵を使い自分を完全に乾かすと、

ルチアーノに低く告げた。


「ルチアーノ、車を貸してくれ」


ルチアーノが

「ほらよっ!」

とフェラーリのキーを投げる。


ルシアンはそれを空中でキャッチすると、

無言で立ち去る。


ルシアンの姿が完全に見えなくなると、

ルチアーノはスマホを耳に当てた。


「ロクシー先生!

脚本通りです!ラブ❤️」




行き先など、無い。


けれど、

あの場にはいたくない。


それだけの思いで、

ルシアンは車を走らせていた。


どんな過酷な大天使としての務めにも耐えてきた自分が、

信じられない。


アンジュがびしょ濡れでリオと笑い合っている。


さり気なく、

アンジュの背中に回されたリオの手。


リオに悪気は無いと分かっているのに――


胸が刺されたように、痛い。


そして、

ルシアンは冬の日差しがさす、高台に車を停めた。


意味など無い。


だが、その高台にはスノードロップが咲き乱れていて――


スノードロップ……それは聖母マリア様の花。


そして、

聖母マリア様の直属の大天使、ガブリエル――アンジュ――の花でもある。


ルシアンは、

そっとスノードロップに手で触れた。


そして、知る。


恋は幸せなことだと、

知識では知っていた。


だが、恋をすれば、分かる。


苦しいこともあるのだと――

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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