世界樹の中の異世界へ
下の方に向かうということは、世界樹の末端……この異世界が内包する異世界へと向かう事になる。まぁ当初の目的地ではあるし、
「むぐ……うまくいけば水や食料の補充が出来るしね」
緩やかに下っていく通路を歩きながら、渡した携帯食を口にしつつも真砂さんがそう口にする。確かにダンジョンが写し取っている異世界はこちらの世界に似たものが基本であり、水や食料が確保できる可能性は高いけど……
「毒性とかを検査する道具がないですよ」
「私可食検査できるよ」
俺の発した疑問に対して、彼女はそう即答する。
真砂さんは彼女が渡っていた異世界で様々な場所を巡ったらしく、現地調達の為に毒、というか人体に有害化かどうかを判別するための術を覚えたらしい。ただ確実ではないらしく毒性の弱いものは認識できない事もあるらしいのだが。
「……ひとまずは手持ちの食料を消費しましょうか」
「そうね。詩織ちゃんが居てくれたら助かるんだけどねー」
確かに毒物だろうが何だろうが食べてもノーダメージの東風ヶ瀬さんがいれば何の心配もいらないのだろうけど。
佐渡以降時たま連絡を貰ったりするから聞いているんだが、確か今彼女は別のダンジョンにいっているはずなので、ここにいる可能性はないだろう。
「食料切れる前に状況が回復してくれるといいのだけど。空間の歪みが収まればルーティエちゃんの転移で脱出できるし」
「ん。戻れるようになったらすぐに言う」
刹那さんの言葉にるーがこくりと頷く。正直な所救助がこれるような状態になる頃にはるーの術も使えるようになってるだろうしな。最悪地上まで渡れなくても、世界の方が渡れるんだったら一回ファーマントへ飛んでもいい。外部の人間を許可なしで連れて行くのはエルメイア辺りが怒るかもしれないけど、許してくれない事もないだろう。緊急避難だしな。
まぁ聞けばそっちも今は無理な状況何で不可能だけど。
「そもそも通路が下まで通じているといいんだけど」
「それは大丈夫じゃないかな?」
歩きながらそう口にする刹那さんに、俺はそう答える。
「下がるほど、崩壊している部分が少なくなってる。多分末端にある異世界辺りには大きく影響はでてないんじゃないかな」
もう一度今度は下方向にスキャンをかけてみたけど、明らかに上方向に比べると崩れたりしている箇所が少ないからな。ルート自体が間違っている可能性はないが、崩壊で通れなくなっているという事はなさそうだ。
そのまま俺達は洞窟内を進み続ける。幸いな事に行き止まりや崩壊した場所にあたることもなく、順調に進むことが出来た。途中何度か獣型のモンスターに遭遇したりしたが、、それらは真砂さんと刹那さんであっさり処理されてしまった。楽ちんである。尚真砂さんは小型の銃を出現してそれで戦っていた。サイズは可変らしい。
そうして歩くこと大体、一時間と半分くらいして。無事俺達は当初の目的地にたどり着くことが出来た。
「おー、いい景色だねー」
洞窟とそこを繋ぐ場所は、ダンジョンの下層と中層を繋いでいるポータルのように歪んだゲートのようになっていた。そこに何のためらいなしに突っ込んだ真砂さんに続けば、そこには額に手を当てて周囲を眺めまわす真砂さんと、緑の生い茂る景色が広がっていた。
「廃墟かな、これ」
そこは森の中に広がった、何かの遺跡のようにも見える場所だった。いや、遺跡にしてはあまり古びた様子がない。どちらかというとしばらく前に放棄された廃屋のような感じだ。……少なくともある程度文明が進んでいる世界を映した場所であるのは間違いなさそうだ。
とりあえず建物の中を覗いてみたらどんな世界なのかもう少しわかるかな、とそちらに向けて一歩踏み出した──その瞬間。それまで俺の横に立っていた刹那さんが俺の背後を通り、反対側に飛び出した。刀を抜刀して。
続けて、その方向から魔力の反応。何かがこちらに放たれたのを認識……明らかに刹那さんはその射線上に立ち刀を振るう。
周囲に甲高い音が響いた。




