引きの悪い魔法少女
もう少し細かく聞いてみれば、このダンジョンでは下に置いていくほど出現するモンスターの数が増えるらしい。まぁ割とオーソドックスな分布といえる。それに出現するモンスターも動きの遅い植物系の方が多いらしいので、通常の状況とは異なるエンカウントが発生したことになる。
勿論たまたまな可能性はあるけれど、
「やはり再編の影響かな?」
「どうかしらね。前回の再編の時は私もまだここに潜れるレベルじゃなかったし……」
前回の再編時ってまだ刹那さん高校生くらいだろうしなぁ。探索者にもなっていないか、せいぜい駆け出しくらいのレベルだったろう。
「このペースで出現すると、消耗大丈夫かしら?」
「これくらいなら大丈夫」
先程の敵は硬めではあったものの強さとしてはそこまでだったので、ディバインアームズの使用は最低限として本来の自分の魔力を使った魔術を併用して戦った。基本的に節約した結界で甲殻を割って中に魔術をぶち込むという戦い方をしていたので、カートリッジのマナは殆ど消耗していない。
それに、出現した数の半分超は刹那さんがぶった切ってたしね。残りを俺とるーで処理した感じ。ちなみにるーはディバインアームズの力は使わず、普通の魔術だけで戦っていた。普通の魔術の扱いは、俺よりるーの方が上手いんだよね……まぁそもそものキャリアの長さも違いますし?
ちなみに内包している魔力の量もるーの方が多いデス、ハイ。
「むしろ、刹那ちゃんこそ大丈夫? ここ結構マナの質が違うから、術使うのに消耗大きいけど」
「私は大丈夫よ、元々強化系の術が基本だから影響薄いしね」
「ん! 私はへーき!」
マナの質は下層に進むほど地球のモノとは異質なものになり、魔術の行使により多くの魔力を消費するのはどのダンジョンでも共通だが、このダンジョンは他のダンジョンよりもその傾向が強い。
練度の低い探索者だと、魔術の行使に己の魔力を使いすぎてそうそうのガス欠になるのは確かだ。
だけどるーはさっきも言った通り制御も上手けりゃ魔力量も多いのでそうそうガス欠にはならないだろう。俺もこっちの体なら魔力量は豊富ではあるので、今みたいにアイリスと併用しての戦いであればそこまで心配する必要にない。
「まあ魔力が持たなそうなら、無理せず引き上げてリトライしましょ。ルーティエちゃんのおかげで、再挑戦は楽だしね」
「ん。おまかせ」
「とはいえ、行けるところまでは行きたいよね。刹那さんや俺の目的を考えたら」
「まあそうなるわね」
確かに俺達は他の探索者と違って、"前回探索済みの場所から探索を再開する"というゲームみたいな事ができるけど、再挑戦するとなるとカートリッジのマナが回復してからになるから大分間が空いてしまう事になる。
ダンジョンモンスターやダンジョンの植物などからとれる素材などであれば、あまり気にすることはない。それらが枯渇することはまずないからだ(一時的に数が減る事はあっても)。
だけど、MADアイテムはいわばユニークアイテムだ。今回は再編直後でMADアイテムが見つけやすい状態だけど、間が空けばそれだけ入手できる可能性は下がる。今の所ライバルは少なさそうではあるけれど、ゼロではないハズなので。
「もうちょっとダンジョンが広ければ、俺達のディバインアームズで途中までは飛んでいけばいいんだけどなー」
今回モンスター素材は目的にしてないからモンスターを相手にする必要は余りないんだけど、ダンジョンが狭いし、かつ植物型は通路全体に広がっていたり虫型は動きが早かったりでスルーしづらいんだよね。特に虫型はスルーしたあと後ろからこられても面倒だし……
「ま、少し様子を見つついきましょ。新種のモンスターが出てくる可能性もあるしね」
「ん。了解」
「あまり外れを引かないように祈りつつありますかー」
どうもこっちの体使うようになってから外れの状況ばっかり引いてる気がしなくもなしけど……逆に言えばそろそろ当たりが来てもいい頃だよね?




