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世界樹のモンスター


「ふっ」


30c,m程度の長さにしたアイリスを柄にようにしてその力によって生み出した結界による刃を振り下ろせば、目の前にあるモンスターの頭部が綺麗にカチ割れた。


普通ならこれで終わりだろうが、異世界産のモンスターに対するその思考は命取りになることもある。俺は空いている方の手で練り上げた魔力によって高熱を放つ弾丸を生み出すと、それを立ち割った頭の中にぶち込んだ。


……うん、これでピクリともしなくなった。大丈夫かな。


周囲を見れば二人とも問題なくモンスターを処理し終わっていた。俺達3人以外に動く存在はいない。ひとまずは安心かな、とカートリッジからの力の供給を切れば、結界による刃は消失した。この程度の刃ならそこまで力は消耗しないけど、先がどれだけ長く続くかわからない以上節約はしないとね。


木のうろの奥から飛び込んだ洞窟は、事前に聞いていた通りこれまでのダンジョンと違ってかなり狭いものだった。とはいえ屈んで進まないといけないとかそういったレベルの狭さではなく、横幅は二人並んでしまったら腕を振り回せなくなってしまう程度、上は刹那さんが武器を大きく振りかぶると天井を叩いてしまうくらいでそれなりの空間はある場所だった。


それに基本的には狭くてそれくらいの広さなのであって、それ以外の場所はもっと広い場所もある。中には人一人が通るのがやっとの場所はあったけどそれは極短い距離がそうなっているだけ……というか、ルート選択をしている刹那さんが、そういった場所が長く続く場所は探索ルートから外していた。そういった場所でモンスターと遭遇すると、いろいろ面倒だかららしい。刹那さん近接型だし、そうでなくても動ける空間の少ない場所はこちらにとってはデメリットしかないし。


この世界樹のダンジョンは下層にいくと進めるルートが少なくなってくるけど、上層に関してはかなりの数のルートがあるのでわざわざそういったルートを進む必要性がないそうだ。


今俺達がいる場所もそれなりに開けた場所だった。ただその空間内に世界樹の根のようなものが張り出しており、その陰になっている場所から出現したモンスター達に襲撃を受けて、今の状況である。


ま、襲撃といっても何かいるのは気づいてたから、奇襲を受けたわけじゃないけどね?


『わかってた事だけど、ここのダンジョンのエネミーはえぐいねぇ』

『いつもに比べて同接低くて草。画面越しでも見るの嫌な人多いんやろなぁ』

『トワちゃんもルーティエちゃんも本当に虫は大丈夫なんだね』


周囲にエネミーの気配は感じないためコメント欄を見やすい位置に戻すと、そんなコメントが目に入る。


「ファーマントではもっとエグイ外見の化け物とも戦ってからね。虫とかは別に」


正確に言うと昔はちょっと苦手だったけど、今はもう平気、なんだけど。あっちの敵の中にはおぞましいとしか言いようがない見た目の怪物とかもいたし。


──周囲に倒れているエネミーに改めて視線を向ける。


その姿は……厳密にはちょっと違うのだけど、カナブンに近いものだった。ただしサイズがクソデカいけど。虫って普通に見るとそれほどもないけど、ドアップで見ると結構グロかったりするよね。そのせいか、このダンジョンは入手できる素材やMADの獲得率の割には避ける探索者もいるらしい。ここって出てくるモンスターの大部分が植物系か虫系に偏ってるからね。モンスターと戦ってても虫はダメな人ってそれなりにいるんだねぇ。


ちなみにだけど、今更コメントでそんな事言われてるのはここでの戦闘が今日の俺の初戦闘だったからである。ここまでも単発でモンスターは出現してはいたけど、全部刹那さんが処理してくれてたからさ。こちらの燃費の悪さを考えて、彼女だけで問題ない相手や数なら任せてと言われていたので、その言葉に甘える事にしている。そもそも彼女が俺達に一番求めているのって、俺の場合は結界による防御能力だろうし、るーに関しては移動の能力だろうからさ。適材適所? って奴でしてよ!


まぁ今回みたいに数が出てきた場合はちゃんと戦うけどね!


「ふう……思ったより数が多かったわね。ま、再構築後にこのルート使う人間もしかしたら私達が最初になるかもしれないから、仕方ないけど」

「普段はこの辺りだと、ここまで数は出てこないの?」


周囲には一体どこに隠れていたんだと思える数……数にして二桁の虫が転がっている。恐らくは俺達が入れないような隙間とかに潜んでいたんだろうけど。


俺の問いに、刹那さんは口に手を当てちょっとだけ思い出すようなそぶりを見せてから、答える。


「……そうね、もっと下の方に降ったあたりならともかく、こんなに入口に近い場所でこれだけの数が出てくるのは珍しいかしら」




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