元同僚たち
アリス──アリスレイン。"オリジナル"のディバインアームズの一つ、"破砕"の使い手。すなわち、俺の元同僚である。ちなみに一番お嬢様っぽい外見してた割に滅茶苦茶面倒見が良くて、向こうの世界にいった直後の俺にいろいろ世話をやいてくれていたこともあり、るーと合わせて特に仲が良かった相手だ。
「……こっちに来たがってるのって、アリスとステラだっけ?」
「ん」
ステラ──ステラリアは同じく"オリジナル"の”強化"の使い手だ。その二人がどうやらこちらの世界に来たがっているらしい。まぁ完全にこっちに帰って来た俺や必要な時以外は向こうにあまり帰る気がないるーと違って二人は俺に会う事と観光が目的で長期滞在する気はないと思うけど。
先日るーが戻った目的である式典が終わったことで、リーダーであるエルメイア以外は大分余裕ができたらしい(エルメイアは首相みたいな事をやっているので、基本的に忙しい)。それで状況も落ち着いていることから、アリスと好奇心の強いステラがこちらに来たがっているとの事だった。
今度協会にちゃんと検査とかは受ける旨で相談してOKが出たら来てもらっても問題ないだろう(駄目だったらるーが許されてないだろうし)。そういう意味では、協会がすぐ近くにある場所に引っ越したのは正解だったな。
「とりあえず、今度話をしてきておくわ」
「ん。お願い」
話自体は早めにしておくとして、実際に二人がこっちにくるのは少し先の話となるかな。そもそも最低でも次にるーが戻る時の話になるからね。定期的に戻っているるーだけど、次に戻るまでにはまだ一か月くらい時間がある。その間に、刹那さんと一緒に藤乃宮ダンジョンに潜る事になるだろう。ちなみに断らないと思ってたけどるーの回答は「くーが行くなら行くよ?」だった。
「引っ越し落ち着いたら、ダンジョン潜る時の準備もしておかないとな」
「ん。食料品とか?」
「そうそう。水とかね」
今回行くのはダンジョンの下層、しかもその下層の中に広がっているダンジョンになる。さすがに日帰りするには面倒な場所だ。
……いやまぁるーがいるので日帰り可能なんだけど、さすがに食事毎とかに戻るのは力の無駄遣いになるし、それでなくともさすがに水くらいは持っていくべきだろう。キャンプ用品はさすがにいらんと思うけど。
これが荷物になるからっていうのだったら最低限に絞ってもいいけど、るーの亜空間があるから持っていくの自体も全然楽だからな。マジでダンジョン探索するのに便利すぎるだろう、るーの能力。
「通販?」
「いや、引っ越してきたんだし、一緒に買い物に行こうぜ。いろいろ見て回りたいし」
「おけ。デートだ」
「違うよ?」
そのままそんな感じで雑談を続けつつ、引っ越しの片付けも終わり。食事は今日は出来合いのもので済ませ(普段は大体俺が作っている)、じゃあ今日は引っ越しで疲れたし早めに寝ようかとなったんだけど。
「ねえ、ルーティエさん?」
「何? 畏まって」
「なんで貴女隣で寝てるんでしょうか?」
そう、それぞれ自室に戻ってベッドにもぐりこんだ──はずだったんだけど。一度自室に戻ったるーはいつも使っている可愛らしいパジャマ姿で俺の部屋にやってくると、そのままもぞもぞとベッドの中に潜り込んできた。
いや前の部屋の時は一緒に寝てたけど、それはベッドが一つしかなかったわけで……引っ越しに伴いベッドも購入したから、ちゃんとるー用のベッドがあるんですが。
「一人で寝るの寂しいよ?」
「幼児か?」
というか普通にファーマントにいる時は一人で寝てる事もあっただろう。
「向こうに戻ってた時はくーと一緒に寝れなかったし」
「それはそうだけども……」
「そもそも一緒に寝ない理由もない」
何故かるーはどやぁとした顔でそう言い放つと、体をぺたりとくっつけてくる。
「いやさすがにあっついからくっつくのはやめて?」
「はーい」
るーはすなおに離れる……けどベッドの中から出ていく気はないようだ。そのまま目を瞑りやがった。
まぁたまには自分のベッドで寝るようにさせるとして、今日は別にいいか。るーの言葉でもないけど、無理して追い出すほどでもないしな。
「おやすみ、るー」
「おやすみ、くー」
直接触れてもいないのに慣れ親しんだ温もりをどこか感じながら、ゆっくりと俺は眠りについた。




