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引っ越し


「よし、これで終わりかな」


梱包を解いた段ボールから食器の類を映し終えて、俺はふぅと息を吐く。


「思ったより早く終わったな」


見渡したキッチンは、これまで住んでいた部屋より全然広い……というか前はちょっと広めのワンルームだったからな。新しい新居はなんと3DKだ──一気にレベルアップである。


引っ越し先なんだけど、戻ってきたるーとも相談して結局刹那さんが確認を取ってくれた藤乃宮特区に決めた。都市部から離れた位置にあるから遠出をするときがちょっと面倒ではあるけど、藤乃宮特区は入場証がないと入れないので変な人間に絡まれる可能性は低いし、絡まれたとしても協会の方に連絡すればすぐ対処してもらえるそうなので面倒毎を回避したいのならあまり悩む必要がない選択肢だった。目立つからそんなに人の多いところに行く気ないしさ。


まぁ広くなった分家賃も跳ね上がったけど。


以前の男の姿の時の稼ぎだったらどう考えても住めない場所だなぁ。協会直属や協会と契約をしている探索者だったら家賃大分安くなるらしいんだけど、俺は別に契約をしているわけではないから割引は無しである。


逆に言うとここに引っ越した以上、基本的に女神の眷属としての姿で仕事をし続けないといけないのがほぼ確定したわけだが。金銭的に余裕がある時だったら戻った姿で潜ってもいいけど。


そいや今はるーが戻ってきてるから当然女の姿に戻っているわけなんだけど、戻る前に一回男の姿で配信したんだよね。……わりと盛況というか何ならいつもより人が多かった。普段は女の姿で配信しているのが男の姿で配信しているってのが大きかったと思うけどね。でも結構可愛いいってくるリスナー多かったけど……顔が可愛ければ男でもいいのだろうか? いいのかもしれないな、別に恋人とかそういう対象じゃないしな。それであれば俺見た目だけなら美少女だからな、そりゃ可愛かろう。俺くらい美少女顔の男って希少価値だろうし。


ま、しばらくは男配信ないけど。るーがいるのに男姿で配信する気ないし。……短い男時代だったぜ、次はいつかなぁ。でもるーって大体月に何日かは向こうに戻るから、その間だけ戻って配信するのはレア感があっていいかも? 俺が男であることを忘れないためにもなるし。


それはさておき。


そいやるーはどうしているかな? 部屋の方の片付けやってくれるといってたけど。るー、私物は殆どない上に最低限の私物は自身の能力で生み出した亜空間に格納しているから、自分の片付けが殆どないんだよね。だから俺の分をやっておくと言ってくれたのでお言葉に甘えて任せておいたんだけど……


「るー、片付いた?」

「ん。終わってる」


自分の部屋として割り当てたるーはすでに片付けはしておらず、ベッドに横たわって漫画を読んでいた。積んでいた段ボールはすでに潰して部屋の隅においてあるので、サボっているのではなく言葉通り本当に終わらせてくれたみたいだ。ありがたい。


「ねえ、くー」

「ん、何?」


そのるーは漫画を横におくと、体を起こしてこちらを見てくる。


「前から思ってたんだけど」

「うん」

「もうちょっと可愛い下着も買ったら?」

「……いや、いらんだろ」


こちらの姿の場合俺は普通に女物の下着は身に着けてるけど、基本的にシンプルな奴だ。だって人に見せるような場所じゃないし……。さすがにこないだみたいに大浴場とかに入る時の際に(変身時の)同性に見られることはあると思うので、ダサすぎるようなものではないけど。普通の奴だ。


「ファーマントだともっと可愛いの穿いてたじゃない」

「あれはお前らが選んでたからだろ……」


ファーマントにおいて、女神の眷属の、その中でもオリジナルのディバインアームズを持つ7人はいわば国民的アイドル……どころか世界的アイドルと呼べる存在だった。戦いや戦で被害を受けた場所の復興支援等で各地に顔を出していたし、大規模な式典等にも参加していた。それに向こうでも写真の技術はあったので、世界中で俺達の姿を知らない人間なんて殆どいなかった訳で。あんまり気軽に街には出れなかったんだよねー。だから買い物とかは物語の貴族様よろしくお店の方から出向して貰う事が多かった。


んで、その際に衣服とかは同じディバインアームズのオリジナルの使い手の皆に任せていた。何せ性別変わってるし世界も変わってるしで……どういうのがいいか全然わからなかったから。で最初の頃にそうしてたら、そのまま俺の服をみんなが選ぶのが恒例になったという。多分着せ替え人形扱いに近くなっていたと思う。


それで下着とかも任せてたんだよね(女物の下着が何がいいかとか当然知らんし)。たださすがにスケスケで布面積も少ないえっぐい奴とかは拒否したが。てかその後怒らないから(怒るけど)選んだ奴でてきなさいと問い詰めたけど、誰も出てこなかったし密告もなかった。共謀してたと思う。


まぁそんな感じで向こうでは(同僚が「お洒落は見えないところからちゃんとするべきよ」とかいってきたのもあって)割と洒落た下着も持ってたけど、こっちに帰ってきて変身後に買いに行った時「いやいらんよな?」と正気に戻った。


「ん、今度アリスとかが来た時一緒に行く? 多分アリスが一番センスいいしー」

「異世界まできてそんな買い物させることないだろ……」



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― 新着の感想 ―
>「ん、今度アリスとかが来た時一緒に行く? 多分アリスが一番センスいいしー」  しれっと、向こうから更に人が来る宣告しとる……。
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