凱旋パレードとかやめて!
俺達が迷宮を制覇した事はどうやら途中迄潜っていた別の冒険者達が地上で吹聴してくれたらしい
こちとら完全に不完全燃焼で肩を落としながら戻ったのに入り口の周囲は英雄を迎える気満々で出迎えてくれた
先を越されて忸怩たる表情で睨む者、果たせなかった偉業を代わりに成し遂げた存在を素直に祝福する者、
この騒ぎに乗じて一儲けしようと手ぐすね引いて待ち受けていた者、やんややんやの大歓迎だった
雰囲気的にとても「この迷宮は未完成のまま放棄されていてボスが餓死してた!」とか言えない空気に俺達はただただ戸惑いを隠せなかった
「アイツ等がやってくれた!」
「流石シェイド、万歳!」
「…クソッ、俺があそこにいた筈なのに…」
「え~、シェイド饅頭は如何っすか~!」
…饅頭って…お前も異世界人か?
とにかく悲喜こもごも入り口周辺は大騒ぎだった
そんな人混みを分け入って俺達の前に突き進んで来た一行がいた。
ギルドから迷宮突破の一報を受けたのであろう、彼らの従者は此処一帯を支配する貴族様の一行を名乗った
「…その貴族様ご一行がこんな所にまで来て何か?」
とビルが訪ねたら従者が言うには
「迷宮突破の功績を称え是非屋敷に招待したい」
と主から申し遣ったそうだ
ビルは困惑しつつもその申し出を受け入れた
後で聞いたらこの申し出を断ったら政治的にヤバいらしい
ピッチェ王パターン再び?と思ったがこの流れは民衆に対するパフォーマンスを兼ねていて完全に予定調和なのだそうだ
要は迷宮を今後活用する為にも突破した者には祝福を込めてアピールしこれから集まるであろう冒険者達への餌にもなるんだとか
「完璧に政治利用されるシステムなんですね…」
「まぁそれを受け入れる事で俺達冒険者は優遇措置を受けたりするからな、お互い様ってトコだ」
ファンタジー世界なのに世知辛い
ともかくその歓迎パーティーは2日後に催される事になっているらしいのでその前に屋敷に来て欲しい、と従者は伝えて帰って行った
シラケていた冒険者達や商人達が再びやんややんやの大騒ぎをし出したのはそれから直ぐだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…何故こうなった?」
俺の心からの疑問に誰もが目を逸らした
俺達メンバーは今、オープンカーならぬオープン馬車の上で街頭に立つ人々に手を振って応えていた




