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癒しの雫  作者: みつき
第1章 アルル・ベリファードと魔法学校

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第13話 剣術学校の練習試合

 今日は、剣術学校の訓練場三階でリオナのチームと練習試合することになっていた。

 六人は、会場に集まっていた。

 

 アルルのチームは、剣士・グレン、弓使い・リュカ、回復魔法師・アルル。

 リオナのチームは、盾剣士・ロイド、魔導士・リオナ、回復魔法師・ジュリアン。

 

 三十分、または全員が倒れるまで一試合が行われる。大会本戦も同じルールだ。このアリーナは、攻撃ダメージは通常の十分の一、魔力消費も十分の一になっている。

 三階フロアを四分割にしたため、一区画は狭いが練習目的なら十分な広さだ。

 

 開始前に十分間のチームごとの作戦会議タイムがあった。


 リオナチームの作戦会議。 

「ロイド、あんまり突っ込まないでね」

 リオナが何度もロイドに釘を刺した。

「わかってるよ!」

 ロイドが口を尖らせる。

 ジュリアンが要望を言う。

「ロイドとリオナは、アルルを集中攻撃してくれない?」

「大丈夫なの? ジュリアンも狙われるよ?」

「なんとか防御魔法と足で逃げまくるよ」

「危なそうなら護衛する!」

 ロイドが拳に力を入れた。

 ジュリアンが頷いた。

 

 アルルチームの作戦会議。

「俺がリオナ、リュカはジュリアン攻撃でいいか? アルルは防御魔法しながら回復ね」

「余裕があったら攻撃するわ。ロイドには足止め魔法使うね」

 アルルが口を挟む。

「いいな、それ。よろしくな」

「アルル、古代魔法は絶対使っちゃダメだよ」

 リュカがアルルに注意する。

「うんうん。わかってる」 

 

 六人は対峙した。

「体力回復薬、魔力回復薬、攻撃アイテムの使用無し、スキルのみで」

「了解」

 お互いそれぞれ握手した。試合前の挨拶だ。


 床が光ったら、試合開始だ。

 チームごとにアリーナの両端に立っている。

 

 ――光った。開始!

 アルルは杖を握り、呼吸を整える間もなく、リュカとリオナ、ロイドの動きが視界に飛び込む。

 そして二チームは中央で激突した。

 

 アルルは、リオナ、ロイド二人から狙われた。アルルはロイドに足止めをかける。

「氷よ、足止めせよ!」

 

 リオナは、近づくグレンから即時後退魔法で逃げた。シュッ!

「クッ!」


「雷よ!」 

 リオナは逃げながらグレンでなくアルルに雷を落とした。

 アルルは頭がクラクラした。

「癒やせよ!」

 自分を回復。


 ジュリアンは、リュカの矢の攻撃を受けて立ち止まって耐えながら回復魔法を使った。

「癒せよ!」

 

 リュカがため撃ちの姿勢をとると、走りながら「護れ!」と防御魔法をした。

 シュッ! カンッ!

 リュカの矢は、防御魔法で弾かれた。


 アルルはそれを見て、(走りながら詠唱すればいいんだ!)と真似る。「護れ!」


 グレンはリオナに攻撃する。

「天槌!」

「癒やせよ!」

 攻撃してもジュリアンに回復されてしまう。 

 

 リオナからアルルに連続魔法が来た。

「燃えよ!」「雷よ!」

 アルルはまた目の前がチカチカした。その間にロイドが近づいて剣を下ろす!

「危ない!」

 リュカがそれを見てロイドに弓を放った。

 アルルはその瞬間、「跳ねよ!」を唱えると、ロイドが上下に跳ねた。

 (危なかった……)

「癒やせよ! 癒やせよ!」

 自分を回復した。

 

 状況を見て、グレンが叫んだ。

「リュカもジュリアンに行ってくれ!」

 リュカが頷いた。

 

 ――どっちのチームも回復魔法師の状態によって勝敗が決まる。


 アルルは防御魔法を使った。

「護れ!」

「雷よ!」

 バリバリッ! パンッ! 

 リオナの攻撃を回避した。

 アルルに近づくロイド。

「跳ねよ!」

 またロイドは上下に跳ねて、しばらく何もできなくなった。


「燃えよ!」「癒やせよ!」

「凍れよ!」「癒やせよ!」

「雷よ!」

 最後はアルルの目の前が真っ暗になり、倒れてしまった。

「アルル!! くそーっ!」

 グレンが叫んだ。

 

 ロイドは、リュカへ走った。

「盾突きスタン!」

 リュカは痺れて動けなくなった。

 リオナの攻撃魔法のコンボが決まる。

「燃えよ!」「凍れよ!」「雷よ!」

 リュカは目の前が真っ暗になり倒れた。


「リュカ! おりゃーー! 回転斬!」

 グレンはリオナに何度も攻撃するが、回復される。

「癒やせよ! 癒やせよ!」

 ロイドがグレンにスタンを決めると、リオナの「燃えよ!」「雷よ!」でグレンも倒れた。


 リオナチームの勝ち!

「「「やったあ!」」」

 

 試合が終わると回復魔法が上から降り注ぐ。魔力も回復される。

 アルル、リュカ、グレンは起き上がり、その場に座っている。

 

「いやあ……強いな」と、グレン。

「最初の戦略ミスとはいえ、明らかに負けだね」と、リュカ。

「悔しい……」と、アルル。

 

「跳ねよ、はずるい! なんもできん」

 ロイドがそう言うと、みんなが笑った。

 

「俺、罠使えばよかったのか」

 リュカが気づいた。

「そうだよ! もう……」

 グレンが怒った。

 

 座って話をしていると傷が塞がり、体が回復されていく。


「もう少し話し合った方がよさそうだね」

 リュカがグレンに言った。

 

「じゃあ、二戦目は午後にするか? みんないい?」

「いいよ」「大丈夫」「オッケー」

「じゃあまた後で」「またね」

 

 リオナチームは、先に解散した。

 アルルたちはまだ座っている。


「反省会しようぜ」

 グレンはかなり悔しそうだ。

 リュカが俯いて言う。

「罠は出したとしても、うちらもかかる可能性あるし、ここだと避けやすいから得策じゃないと思う。……ロイドのスタンがきついんだ」

 

「私がロイドに足止め魔法二種類かけながら回復する」

 アルルは真剣な眼差しだ。

 

「実は難しい技だけど、《制動矢》ってのがある。急所に当たらないと足止めできないんだけど、ロイドに使ってみるよ」

 

「……あとはリオナだな」 

「私、総攻撃されたよ」

 アルルは眉間に皺を寄せた。

 

「実は俺もまだ練習不足で使ってない技があるんだけど、《転撃》って転ばせる技があるんだ。リオナに使ってみる」

 

「まとめると、基本ジュリアン狙いで、行動封じはロイドとリオナにかけるってことでいい?」


「オッケー」「了解!」

 ようやく反省会が終わった。

 

 ◇


 ――午後。


 六人は午前中に対戦したアリーナに再度集まった。


「「よろしく」」

「作戦会議する?」

 ロイドが声をかけた。

「無しでいいよ」

 リュカが返事する。

 周りのみんなも頷いた。

 

「じゃ、準備で」

 両チームはアリーナの端に集まった。

 静けさが広がった。

 

 床が光る。――開始!

 

 アルルの方にリオナ、ロイドが向かう。アルルはロイドに足止めをかける。

「氷よ、足止めせよ!」


 グレンがリオナに近づいた。剣でリオナの足を狙う。

「転撃!」

 すると、リオナは両足のバランスを崩し、転んだ。


「制動矢!」

 リュカがジュリアンに矢を撃つと、ジュリアンは動けなくなった。


 アルルは逃げながら、ロイドに詠唱した。

「跳ねよ!」

 ロイドは上下に跳ねて、何も行動できない。

「くそっ!」

 

 リオナは体制を立て直し、アルルに雷を落とした。

「雷よ!」

 アルルは頭がクラクラした。

「癒やせよ!」

 自分を回復する。


 グレンがジュリアンにたどり着いた。

「護れ!」 

 ジュリアンは、防御魔法を唱えた。

「雷斬!」

 シュッ! パキンッ!

 グレンの攻撃は弾かれた。


 リュカの溜め撃ちがジュリアンに刺さった。

 シューッ。ドスッ!

「うっ……」

 ジュリアンは、みぞおちを押さえて崩れた。

 すかさず、グレンが攻撃する。

「天槌!」

 空中に飛び上がり、落ちる力を利用して剣を振り下ろした。

 ズサッ!

 ジュリアンは倒れた。


「ジュリアン!!」


 アルルは近づくロイドに詠唱した。

「氷よ、足止めせよ!」


 リュカは、リオナに向けて攻撃を放った。

「制動矢!」

 シュッ! 

 リオナは動けなくなったが、アルルに攻撃魔法を放つ。

「燃えよ!」「凍れよ!」「雷よ!」

「癒せよ!」

 アルルは自分を回復した。


 グレンがリオナに突進し、攻撃する。

「旋風斬!」

 リオナは転んだ。

 

 アルルはリオナに「跳ねよ!」と詠唱した。

 リオナは上下に跳ねて何もできない。

 

 リュカが狙う。

「連射弓!」

 シュッ。シュッ。シュッ。

 

 アルルも攻撃魔法を唱えた。

「燃えよ!」「凍れよ!」「雷よ!」

 ついにリオナが倒れた。

 

 ――残るはロイド。

 

 ロイドはアルルに向かう。アルルが逃げながら詠唱した。

「氷よ、足止めせよ!」


 ロイドの足は凍ってゆっくりしか動かせない。

 パリン。


 グレンがロイドに飛んだ。

「天槌!」

 ザンッ!


 リュカの溜め撃ちがロイドに刺さった。

 シューッ。ドスッ!


「燃えよ!」「凍れよ!」「雷よ!」

 ついにロイドも倒れた。

 

「「「勝った!」」」


 試合が終わると回復魔法が上から降り注ぐ。魔力も回復される。 

 グレンは両手の拳を掲げた。リュカが飛び跳ねている。

 アルルは二人の肩に手を置いた。

 

 リオナ、ロイド、ジュリアンの三人も起きあがった。

 

「連携良かったね」と、ジュリアン。

「作戦負けなのかなあ?」と、ロイド。

「悔しいから、またやりたい」と、リオナ。


「またやろう」

 グレンが微笑んだ。

「来週の予約してくる」

 リュカが予約しに行った。


「いつのまにか、アルルが攻撃魔法を使えるようになってるし……」

 リオナがアルルを見て苦笑した。

「えへへ……」

 アルルは、頭を掻いた。


「やっぱり、跳ねよ、は反則!」

 ロイドが抗議すると、みんなが笑った。


 リュカが戻ってきた。 

「来週の火曜日、予約取れたよ」

「ありがとう。……練習最終日か」


「また、頑張ろうね」

 リオナがアルルに笑いかけた。

「うん!」


 アルルは、対人戦はすごく苦手だったが、少しずつ気持ちが変わってきたことに気づいた。

 

 ふいにアレンの言葉を思い出した。

 『コツは、状況をよく見ることかな』

 (私、状況で動けたのかな?)

 

 アルルは知らず知らず微笑んでいた。

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