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【完結】灰人と無魂の魔女 〜魔導士最強の男は魔法のすべてを奪われた〜  作者: くれは
最終章 白の魔女

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第73話 復活の魔導士

 強大な魔法を放ったからか、再び沈黙する魔女にサフィールも追撃をしない。

 それよりも、魔法を使えたことで動揺と高揚していた。数ヶ月の出来事だったが、魔法を使えなくなって自暴自棄になりかけたこともある。生きたまま魔女にされたことも色々考えてしまい気を取られていた。


「――魔法が、使えた……」


 自分の掌を見つめて呟くサフィールを凝視する眼差しに気づく。それは逃げろと言った二人ではなく、白の魔女だった。

 そして、何かの砕ける音がして白の魔女と呼ばれる象徴の服だと分かる。


「第二形態か……!」


 既に二体の魔女を倒していることで、防御結界魔法を壊したあとの変化を思い出した。

 魂との融合がどの程度まで進んでいるか分からないサフィールは攻撃魔法を使えるようになって更に躊躇する。結界を壊したことで魔女の呪いが消えて戻ったのなら、もう攻撃は通じないと思っていたからだ。


 そして、もう一つ。


 魔女にされたことで増幅していた魔力がそのまま残っていることを感じていた。


「サフィール! 白の魔女を捕まえろ! 嫌な予感がする」


 グランツを相手しているニルから声が飛んだ。ニルには生命視(ほしみ)という未来視に近い能力がある。ただ、それは生命以外に機能しないはず……。


「――ネフリティス?」


 魔女は言語能力を持たないから魔法を口にしない。だから、次の一手が読めないのだ。

 魂魄ではあるが、ネフリティスは元生命の特殊体……。


「――封魔繋縛(アッフェッラーレ)!」


 サフィールは通じるか分からない拘束魔法を発動する。

 光の粒子が飛んでいった直後、白の魔女は忽然と姿を消した。


 不発で終わった魔法は飛散し、唖然とするサフィールはすぐに気づく。


「……転移魔法」


 サフィール自身も得意とする空間魔法の一つだ。長距離になるほど膨大な魔力量や空間把握や認識など高度な技術が必要になる。

 サフィールでさえ、空から視覚できる距離くらいだ。


 魔法が復活したことで島内の魔力を捜索する。しかし、膨大な魔力は一切感じない。


「……考えろ。白の魔女が固執していた場所は――インフィニート! あそこには魔導院本部がある」


 そして、一度白の魔女によって破壊されている。


 ――魔導院本部以外。


 白の魔女にとっては因縁の相手だろう。

 エリュシオンからインフィニートまでの距離は魔導飛空艇でさえ、数時間。第二形態になりかけていた白の魔女を相手して、そんな猶予があるはずもない……。


「――サフィール様!」


 魔導院支部へ報告しに行ったフロワが走って戻ってきた。

 サフィールよりも魔導飛空艇に詳しいだろうフロワの肩を掴む。


「此処から魔導飛空艇で、インフィニートまでの時間を教えてくれ!」

「えっ……あ、はい。おそらく、燃料を顧みなくても一時間はかかります」

「……一時間」


 思っていたよりも早かったが、それでも遅い……。白の魔女が転移してから既に数分経過した。

 エリュシオンでは地上との距離で魔導具として便利な通信機も通じない。


「一か八か……」


 もう一つの心配事である上空を見あげると、どこか楽しそうにすら感じる二人が同時に叫ぶ。


「行って来い! 今のオマエなら出来る!」

「不甲斐ないけれど、この世界の命運をキミに託したい!」


 そして、目の前にいるフロワも……。


「今の貴方は魔法が使える。しかも、魔女に攻撃を与えられるままなのでしたら行って下さい。お二人のことは私が責任を持ちます」


 戦いへ夢中になっている不甲斐ない男共はフロワの言葉で笑っていた。

 意を決したサフィールも深呼吸する。最悪、危険な場所へ転移しても自分ならどうにでも出来ると。


「行ってくる――空転ノ(ヴァンデルン)変導化(・エスパシオ)!」


 三人を視界に入れたあと、今までで一番遠い距離の第二の故郷を思い浮かべて魔法を唱える。


 視界がブレて一瞬で転移すると、すぐに声が聞こえてきた。目を開けて察したのは、逃げ惑う人々と叫び声。

 その中心にいる異質な存在は、なぜか身動きせず停止している。


 破壊されていない街中を見て間に合ったことで安堵した。


 しかし、白の魔女であると感じる存在は中身が見えなかった白いローブから魔導隊に似た黒いローブの姿へ変わっている。

 前は開いていて、中は体のラインが分かるほどピッタリしたキャットスーツをしていた。但し、中性的な体をしていた白の魔女は他の魔女と違い凹凸がなく、子供のような体つきをしている。まったく白の魔女とは呼べない姿だ。


 だが、顔の造形は相変わらず人形のように美しく、片頬にだけあった模様が反対側にも伸びて描かれている。


「――第二形態になった直後だから停止しているのか……?」


 辺りを見回してみて呼びかけている住人で大体察した。

 この騒動はいち早く白の魔女に気づいた住人から伝染したことだった。さすが、長年に渡って白の魔女の脅威に晒されていただけある。


 つまり、何も出来なくても駆けつけてくるだろう魔導隊員のいる状況はサフィールにとって邪魔でしかない。


「魔導隊員もすぐ来るはず……その前に、ネフリティスを返してもらう!」

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