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affection  作者: 月那
21/51

手、繋ごう-2-

「ルカ!」

 と、二人で歩いている真正面から名前を呼ばれて、愕然とする。

 にやり、と笑っているのは坂本だ。

「彼女?」

「…………」

「はーい、るーちゃんの彼女でーす」

 どう答えていいかわからず黙っていたルカの横で、ゆかりがあっけらかんと答えた。

「ちょ、ちょっとゆかりちゃん!」

「あ、ダメだった?」

「いや、ダメじゃないけど」

 むしろ嬉しいけど。

「何でおまえがここにいるんだよ?」

 照れ隠しに少しとムっとしながら坂本に問う。

 ご町内の小さなお祭り、である。

 高校は同じだけれど、全くご近所ではない坂本がなぜこんなところにいるのか、がルカには納得できず。

「ああ、佐竹が教えてくれたんだよ」

「佐竹?」

「なんか、友達と一緒にタウン誌でこの祭りの情報知ったらしくて。サークル終わってから一緒に来たんだよ」

「佐竹と二人で?」

「いや、佐竹の友達何人かと。向こうのイートスペースで今メシ食ってる」

 どうもー、とゆかりに笑いかけて、ルカの腕を引き、コッソリと「例の彼女?」と耳打ちされた。

 小さく頷くと。

「今度詳しく聞かせろよ」

 と背中を叩かれる。

「じゃあな、ルカ。すみませーん、お邪魔しましたー」

 坂本が言い捨てて逃げるように去って行った。

「あー、彼女になったら、マズかったかな?」

 その背に笑顔で手を振っていたゆかりが、ちょっと困ったように問いかけて来た。

「いや、別に大丈夫だけど」

「ごめんね」

「いやいや、全然謝ることないよ。あいつ、高校の時からの連れだし、何も気にすることないから」

「バスケ部? るーちゃんと一緒に試合出てた?」

「うん、三年の時はずっと。そう言えば観に来てくれてたから、覚えてるかな? ほら、副キャプだったから五番付けてた奴」

「あー……何となく?」

 ちょっと苦笑い。

「そんなに何度も観に行けてないし、るーちゃんしか見てなかったもん」

「結構ガンガン突っ込んで行くタイプだから、目立ってたハズなんだけど」

「るーちゃんのがかっこ良かったもん」

 ……またそういう。

 わかってんのかな、この人、自分が何を言ってるのか。

 ゆかりの言葉を流すように鼻で笑って、アリガトウゴザイマス、と答えた。

「大学も、バスケやってるんでしょ? 試合とかないの?」

「あまりゴリゴリにやるサークルじゃないからね。大会とかは出ないけど、ヨソの大学のサークルと交流試合とかはしてるよ」

「あたしが応援に行けるような雰囲気じゃないのかな?」

「え、観たい?」

「観たいよー。中学も、高校も、あたしできるだけ応援行ってたじゃん」

「でも負けてる試合ばっかだったよね」

「そうなのよー。あたしが行くと負けちゃう。美紅が行ってる時はいっぱい勝ってるのに。ちょっとヘコんじゃったよ」

 口をとがらせて。そんな表情も可愛くて。

「美紅は来てるとすぐわかったよ。あいつちょーうるせーし。でもゆかりちゃん、コッソリ来てコッソリ帰っちゃうから、後からライン見てびっくりしてた」

「そりゃー、あんまり堂々とは行きづらいよ。関係者じゃないし」

「いや、関係者でしょ。半分保護者みたいなもんだし」

 自分で言ってて自分で少しへこむ。という。

「いいの。コッソリ陰から応援するのがまた醍醐味だからね」

「何それ?」

「ふふふふふ、あたしの知らないるーちゃんをコッソリ探っちゃえるからね」

「怖いんですけど」

 そんなくだらない話でさえ、まるで本当に「彼女」のように話してくれるゆかりが嬉しくて。

 結局、その日は近くの居酒屋に寄ってから帰宅となり(勿論ゆかりはビールで)、ルカがゆかりを車ごと送り届けたのだった。


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