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飲み終えたお屠蘇
二の盃もやっぱり冷たくて薬みたいな味がした。できるだけ平静を装って盃を静かにお盆に戻し、次の三の盃を手にしてお義父さんにお屠蘇をまたもや注いでもらい、これもなんとか一気に飲み干して盃をお盆に戻した。
お義父さんは冴子のときと同じように、布巾で盃をきれいに拭いてから立ち上がり、お盆を持ったまま予想どおり、冴子の左側に座っていたお義母さんの右後ろへと移動した。
お義母さんは僕が予想した通りに、テレビの方を向いて最小の一の盃、次の二の盃、最大の三の盃とお義父さんに屠蘇を注いでもらっては飲み干した。慣れた手付きと顔付きで、もう何十年もこんなことをこの夫婦がしているのは、誰の目にも明らかだった。