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風の契約と絆を紡ぐ物語  作者: 蒼燈
魔法の祭典と嵐の予兆
25/39

番外編 森の迷子

これは、魔法都市イルミに着く前。

ステラとゼフが森を通り抜ける時の話。


「……あれ?」


ステラは、首をかしげた。

ゼフの顔も、げんなりしている。

それもそのはず。

二人の前には、さっき通ったはずの、見覚えのある道が続いていた。


こんなことになる少し前。

ステラとゼフは、目的の街に行くため、森を突っ切ることにした。

地図を頼りに、ステラはどんどん歩いていく。

ゼフはその少し後ろを歩いていた。

違和感は、すぐに訪れた。


「この道、さっきも通ったぞ」


「……地図通りに進んだはずなんだけど」


「地図の見方が間違ってるんじゃないのか」


「それくらい分かる」


そう言って地図を見直したステラは、さっきとは違う道へと歩いていく。

やれやれといった風についていくゼフ。

しかし、何回も同じことが続くと、さすがのゼフも嫌そうな顔をしだした。


「ステラ。地図貸してくれ。俺が見る」


「分かった」


ステラもこの状況をどうにかできるのは自分ではなく、ゼフだと思い、地図を渡す。

ゼフは一通り地図を眺めてから、歩き出した。


数分後。

ステラとゼフは、立ち尽くしていた。

地図通りに進んでも、同じ道に戻ってきてしまう。

認めたくはないが、迷子になっていた。


「ゼフも地図、読めないんだ」


「……違う。この森の道が複雑すぎるだけだ」


地図と睨み合いをしつつ、ゼフが答える。

やがて、諦めたように地図をしまった。

そして、目を閉じ、集中し始める。


「……こっちだ」


再び目を開けたゼフは、迷う素振りも見せず、歩いていく。

道にまで広がっている、太い木の根を乗り越え、川にかかっている橋を渡り、分かれ道がきても迷わず進んでいく。

少しすると、木々の隙間から外が見えてきた。


「ゼフ、どうやったの?」


「最終手段を使った」


「なにそれ」


「風を読んだ」


なるほど、といったようにステラが頷く。

ゼフは風の精霊。

風を読んで正解の道を探す方が地図を読むよりも簡単なのだ。


やっとの思いで森を抜けた二人。

まだ、街まで距離がある。

ゆっくり歩きながら、話をしていた。


「……これからは、道が分からなくなったらゼフに頼る」


「ああ。もう迷うのはごめんだ」


ゼフは心に刻んだ。

絶対、森の中ではステラを先に歩かせない、と。

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