表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後まで、Yes。  作者: 上之下 皐月
35/158

第三章 六月その10

きっと本当は彼女を叱りつけて、いろいろ止めさせるべきなのだと思う。

彼女に責任を持てる者が。

それは両親や、親友や彼女を想う男友達。

僕は?

自分に問いかける。

例えば僕が彼女に想いを寄せる男だったら。

激しい感情をぶつけてみてもいい。

でも、自分は違う。

一度や二度話をしただけの僕に何が言えるだろう?

「…僕に言えることは、君にはもっと明るい恋愛をしたほうがいいってこと。もっと普通の。君が子供ってバカにする男の子達と。君なら黙っていても、もっと良い恋愛が出来るよ」

リューリはふぅっと息を吐き出した。

「…わへいに話して良かったわ」

「何もしてないけどね」

「…色々話す手間が省けたわ。頭の回転が早いのかしら?」

「話を聞いても責任を持てないから、想像で話しただけだよ。間違っているかもしれない」

「合ってるわ。たぶん。私…私ね…」

彼女が言い淀む。

「彼になら…抱かれても良いって考えたわ」

『ドンッ!』

僕は自分自身で驚く程、机を叩き、立ち上がっていた。

そして思い切り彼女を睨んだ。

彼女が驚いた顔をする。

「ここは介護施設のラウンジで、こんな話をする場所じゃない」

違う。言いたいことが違う。

自分を大事にしろ、とかもっとよく考えろ、とかそういうことが言いたかった。

ただ、この感情を表現出来なかった。

しかし、僕の憤り、言いたいことは彼女に伝わったようだった。

「…そうね。だいぶ話しちゃったわね。今度はその冷たい“あたたかーい甘酒”私に奢ってね」

「もちろん。だから…」

ぐっと自分の手を握る。

「だから、また話してほしい。その、何でも言ってやるから」

彼女がふっと笑う。そして僕は付け加える。

「…ただ、場所は…選ぼう。介護施設で…その周りから見たら痴話喧嘩は…」

言いながら僕は自分の顔が赤くなるのが分かる。

「どんな青春(あおはる)だよ」

彼女が堪えきれずに笑い出した。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ