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第二章 五月その11
野山先輩の隣に座った彼女はりゅうりと名乗った。
「りゅうり?」
「瑠璃色の瑠璃と書いて瑠璃」
「リューリさん?」
確かに髪は黒いが目の色が薄い、鼻も高い。日本人離れした雰囲気がある。
海外の方ですか、と聞いてよいものか僕が迷っていると
「私は日本人だわ」
リューリさんが言う。
「リューリさん!」
先程の中学生達がリューリを呼ぶ。
着替えをしていたのだろう。
「この後まだ練習するのよ。またね」
リューリさんが手をひらひらさせて立ち去る。
「あの人…」
「あまり人の事を話すのは気が進まないが…。カーリングは上手いよ。教えるのはアレだが」
それ以降野山先輩は黙ってしまったので僕もそれ以上聞くことは出来なかった。
ふと、下のホールを見るとリューリさんが大人に混ざってカーリングを始めていた。
そのデリバリーのフォームはしなやかで、優雅で美しかった。
思わず見とれてしまう。
カーリングって芸術点はないのに美しさも一つの要素になっていると思えた。
行き着く先が美しいフォームなのか、美しくなったフォームの結果上手くなるのか、僕には分からない。
「…教えるのはアレだが見て参考にはなるかもな?」
野山先輩がトマトジュースを飲みながら言う。
「先輩」
「ん?」
「…このトマトジュース、美味しいですね」
「だろ?」




