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世界が変わっても所詮、俺は俺  作者: ガルピー
23/54

目覚め

よろしければご覧ください。

 瞼を開けると、そこは病室のような場所だった。おそらくその認識は間違っていないだろう。ただそこは、真っ白な部屋であり部屋の中には色らしいものは何一つとして存在していなかった、花瓶に挿してある花を除いて。そして不気味なほど静かである。静寂すぎるがゆえに、耳鳴りのような音が聞こえてきた。外はまだ明るく、日の高さからもお昼ごろだと推測できる。部屋の窓からは、全身で陽光を浴び、緑の葉がそれを反射し、さんさんと輝いているのが見える。いまだ意識は覚醒しきらず、部屋の天井の一点を見つめていた。扉をノックする音が聞こえた。そしてゆっくりと扉が開いた。そしてゆっくりと部屋の中に入って来て、俺の横に立った。そして俺の額に手をかざし、何かを確認するかのように、その手を足先まで動かしながら、足先まで行くと頷いて部屋から出ていった。何だったんだと思っていると再び扉をノックする音が聞こえた。だが今回は扉は元ある場所から動こうとはしなかった。一応返事をしてみた。

 「はい」

 声がかすれていた。しかしその返事の後、間髪入れずに扉は先ほど以上に強く開けられた。そして、扉があくと同時に一人がなだれ込むように部屋に入ってきた。そして俺の顔を見ると、目に涙を浮かべた。それはカイラだった。

 「起きてる」

 事実を確認するように、カイラは口の中でつぶやいた。そして俺のベッドの上に顔を乗せて子どものように泣き出した。

 「どうしたんだよ、そんなに泣いて」

 聞いてみたが、上手く答えられないみたいだ。しばらくそっとしておくことにした。

 そして、しばらく時間が経ち、落ち着いてきたので再び同じことを聞いた。

 「どうして、そんなに泣いてるんだ?」

 「だって、もう起きないと思っていたから」 

 再び涙声になりながらそう言ってきた。だが俺が意識を失っていたのはせいぜい一日程度であるはずだ。にも関わらずなぜこんなに泣いているのか。

 「大げさだな、カイラは。俺が意識を失っていたのなんて一日程度だろ?そういえば、試験の結果はどうなったんだ?」

 「一日?違うよ、蓮はもっと長いこと意識がなかったんだよ」

 なんだって?もっと長いだと?体感では試験は昨日やった気がするんだが。

 「なら、二日ぐらい?」

 「うんん、違うよ、あの試験の日から1年は経過したよ」

 意味が分からない。俺はそんなに意識がなかったのか?

 「それ、ほんとか?」

 「うん、ほんと。だからもう起きないと思ってたから」

 カイラはそういってまた少し泣き出した。

 もしかしてだが、あの女神のいる場所とこの世界の時間には大きなズレがあるのか?そうとしか考えられないくらい時間が経っている。だが、とりあえずそれを聞いたからには。

 「そっか、そんなに経ったのか。ごめんな」

 「そうだよ、ほんとにそうだよ、でも目覚めてくれて、本当によかった」

  その後は言葉が出てこず、俺たちは黙ってそのあとの時間を過ごした。そしてしばらくしたのちに、この場所で働いているのであろう人物が部屋に入って来て、これからのことについて話があった。結論として、目覚めはしたが体が弱っているので、最低限の筋力が戻るまでは、ここにいることになった。その間はリハビリを行い、少しずつ元の状態に戻していこうと励まされた。その言葉を聞いて少し落胆した気持ちになった。これまでのものを全て失ったような気がした。だが、女神のいる場所でも決意したように、次こそはカイラを完璧に守れるようなるためにも、うじうじとしていられない。一日でも早く元の状態に戻って、女神が言っていたスキルの成長とやらに時間を割きたい。そう考えてリハビリを明日から行うことにした。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。次回もよろしければ、ご覧いただけると幸いです。

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