⑩-9 優しい世界/最終話
深層世界から神界へ戻る。
神々が笑顔で出迎えてくれた。
みんな口々にありがとうの言葉をくれる。
ほとんどの神々が泣いてる。
やはり前の戦いはよほど厳しいものだったのだろう。
創造神さまと時空神さまはハグで迎えてくれた。
この人たちは命を賭けて説得してくれたんだ。
この感謝は一生忘れない。
本当にありがとう。
「じゃあさっそく呪いを解いてきます。また改めて木花と咲那も連れて来ますね」
「うむ。そうするがよいぞ」
あ、キャラ戻したな。
「討伐記念に美容品よろしくね」
いやこっちがあげるんかい。
「じゃあいってきます!」
ツバメの転移で元の世界へ。
ホームではみんなが大喜びで出迎えてくれた。
「みんなありがとうな! 心配かけたけど全部終わったよ!」
大きな歓声があがる。
さて、何はともあれ、女神の解呪だ。
「ツバメさん、これはどう使えばいいのかな」
「んー、わからない」
「えええ」
そこにヒカリさんがアドバイスをくれる。
「なんとなくわかるな。きっと女神ちゃんの身体に近づければいいんだと思うよ。願いを込めて優しくね」
「わかりました! ありがとうヒカリさん。木花、咲那。じゃあいくよ」
「待って/最後に」
「「抱きしめて」」
あー。
そうか。これが最後だ。
ひとつの身体にふたつの心。
最初は驚いたけれど、すぐに慣れたのは不思議だった。
なにより、とても楽しかった。
私の中ではこれが当たり前だった。
すべては迷子の女神との出会いから始まったんだ。
人の生死に運命はないと言われたことがある。
そして出会いには運命があるとも。
私たちは出会う運命だったに違いない。
ふたりをハグしていると、アオイが、ナビィが、リルが、ラビが抱きついてきた。
ほかのメンバーはそれを見守ってくれている。
「みんなと出会うのも運命だったんだな。不思議といまそれが分かったよ。……さあ、やろう」
私は純白のオーブを木花と咲那の胸にそっとあてる。
オーブはすっとふたりの身体の中に入っていき、そして女神の全身を強く眩しい白い光が包み込んだ。
白い光が止んで目を開けたると――。
そこにはふたりの女神が立っていた。
ふたりは見つめ合ったあと、静かに抱き合った。
木花と咲那はそれぞれの身体を取り戻したのだった。
――――――
「いやわかんないだろ!」
「わかるだろ!私が咲那だ」
「私が木花だよ」
「双子っていっても普通はわかるもんなんだよ。神眼でもわからないってなんだよ」
女神たちの姿はまるで同じだった。
ほくろの位置とかそんなヒントはない。
完全な美が完全に再現されているらしい。
しゃべり口調でしか見分けがつかない。
これどうなるんだ。
学校パニックだぞ。
「学校はもう無理かなあ」
「ん? 大丈夫だぞ」
「くっつけるし」
「へ?」
「リルたちの人化みたいなもんだ」
「ほらね」
ふたりはひとりに戻った。
「なんじゃそりゃ」
「ずっとこのままだとダメだけどな/時々は大丈夫みたいだよ」
「心配だから基本禁止な。学校は交代でいきなさい」
「えー! WBCは行くよ」
「そうだ、絶対行くぞ」
そう、異世界はもう受け入れられている。
モンスターも異世界人も当たり前に隣にいるのが普通の世界になった。
そしてしばらく停滞していた経済もエンタメも復活したのだ。
私は来週からWBCに日本代表で出場する。
魔法はまだ公式には開示されていないけれど、すでに覚醒者は私の周りにはそれなりに存在するし、半ば公然の秘密のような状態だ。
そして何世代かあとにはその能力は世界中で広く発現されることになる。
そのときまでに、『知る者たち』で覚醒者たちが迫害されない優しい世界を作るのだ。
それまでは私たちは隠れた特別部隊だ。
今まで通りに、神界からのオファーにも応えるし、歪みにも対応していく。
この世界は変わらない。
家族の絆も。
私たちは大丈夫だ。
これにて完結とします。
拙い作品をご愛読くださり、心から感謝いたします。
これが2作目となりますが、別の作品として描き始めたものの、いつの間にか前作に近づいてしまいました。
それだけ大好きな世界だったんだと思います。
次は別の世界を描きたいと思ってます。
でもまたこの世界を描きたくなったらツバメとシシのその後みたいな第三部に走ってしまうかもしれません。
本当にありがとうございました!
【新作始めました】
やっぱり同じ世界線になってしまいました。
よろしければお願いします!
ちょっと世界を救ってくる〜神さまに保険で雇われた業界人はとんでもチートで無双する!現世と異世界を縦横無尽に飛び回る保険救世主の大冒険
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