そんなのは男側の詭弁だ!!
「大抵はならなくても、その中の一部が性犯罪に走る可能性だってあるだろ。」
「トリガーになることはあるみたいですね。ただエロを見なきゃ性犯罪が少なくなるかっていうとその逆みたいですけどね。統計でも性犯罪が多いのは韓国とか若者に対する性表現の規制が厳しいトコロですよ。日本が甘いとは思いませんけどメディア流通からこぼれて若者に流れる性情報を黙認してきたからこそ、わりと若者の性犯罪が少ないんですよ。」
「アメリカは性とか氾濫してるじゃないか。」
「いや、あそこは厳しいですよ未成年には。テレビとか日本なら許される表現がみんなアウトですから。だから未成年の性犯罪も多い。」
「でも、それならメディアで興味本位の情報をタレ流すより性教育を充実すればいいだろう。」
「教科書に載ってたって誰もみませんよ。ムダに教科書が厚くなるだけです。それこそエンターティメントだからエロ本は浸透力があるんです。」
「じゃあお前は今のままでいいと思ってるんだな?」
「男の側だけから見た性表現が娯楽として行き詰まってるのは確かですね。新たな市場を開拓するために女性側からの視点を取り入れるのは有効だと思いますよ。上手く技術開発すれば男性読者にもウケると思いますし。」
「モラルとして問題はないのかって言ってるんだ!!」
「モラルって見たことないし実感ないからわかんないですね。ただ社会的影響ってことなら、性犯罪へのトリガー効果よりも性犯罪の代償行為になって抑止力になってるって方が重要だと思いますけど。」
「そんなのは男側の詭弁だ!!」
そうか、こいつは男だけどフェミニズムの信奉者だった。
「あ、そういうコトですか、わかったわかった。ポルノを読むのは いけない……ってコトですね。 もちろん俺だってそれが法律とかで制度化されれば従いますよ。」
「ちがう!! 高校生とかがAVビデオなんかを見て性犯罪に走ったりしたのを聞いても心は痛まないのかって訊いてるんだ!!」
「新聞がやったアンケートで、大多数の高校生はマンガに描いてある性表現をマジに信じてはいないという結果が出てますからね。それ考えると犯罪に走ったガキはよっぽどバカなんだから同情する気にはなりませんね。」
「……エロ本の話はもういい。じゃあお前らは受け手の求めることだけをやって、読者の奴隷になってて平気なのか?」
「べつに読者の奴隷になってやってるわけじゃないですよ。読む側の欲求とこっちの描きたい欲求が一致してるからやってるんです。といっても俺はマンガは描けませんが。」
「じゃあお前らは小説よりもマンガ描いてる方が楽しいのか?」
後ろのネーチャンの大半は「そうだ」って思ってるかもしれない。
「いやそうでもないですよ。この娘たちだってアニパロのノベライズなら書いてる娘いますから。」
「……それならこんな部、文芸部じゃなくたっていいじゃねぇか。」
ネーチャンたちは「そうだ」って思ってるかもしれないが、俺はちょっと違う。
「いや、だからいろいろ活動にもバリエーションがあった方がいいんじゃないですかね、マンガと小説でお互いに刺激があって。俺は小説の活動の方も重要だと思ってますよ。」
ただ部の大勢に逆らってまで、それに固執しようとは思わんがね。
この問題に関しては上級生と下級生というはっきりした対立構造が出来上がってて、しかも今回はこっちが圧勝したもんだから多少アル中たちが気の毒な感じにもなってきた。しかしこりゃあ数の勝利だろうな。なんたってアル中の仲間はほとんどが卒業しちまったからな。




