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おまけ(ロージーの従兄は、国一番の輝く魔法使い)

本編とは、ほぼ関係ない話です。ノリで書きました。

 俺はトム。

 国から鉱山の開拓を委託されているクロム商会に鉱夫だ。クロム商会は歴史ある商会で、従業員を大切にしている商会で有名だ。鉱山で働く俺たちも大切にしてくれる人道的な商会だ。


 俺は今回の鉱山の開拓でリーダーを任されている。

 今回開拓する鉱山がある場所は、隣国と国境近くにあるため、いつも以上に気を引き締めて仕事を行う必要がある。


 隣国と問題を起こさないように慎重に進めている事も関係していると思うが、開拓が中々進まない。今掘っている場所は、標高が高く酸素が薄い。それに加え、今年は異常気象のためこの標高でも気温が高い。安全性に作業を進めるため火を焚いているが、火の暑さと気温の高さ体調を崩す者、酸欠で倒れる者が続出している。


 このままではやばいと思い、現場管理者に魔法使いの派遣を依頼した。

 第1希望は治癒魔法が使える聖魔法使い。第2希望は冷たい水を出すことができる水魔法使い。


 しかし、魔法使いは貴重な人材で、多くは貴族だ。特に聖魔法使いなんて、多くが王宮に勤めている。本当に魔法使いが来るとは思わないが、やらないよりやった方がいいだろう。





「トム、魔法使いのジェフリー殿だ。よろしく頼む」


 現場管理者に魔法使いの派遣を依頼した、2週間ほど経ったある日、現場管理者に魔法使いを照会された。こんな馬車で来れない所なんて来ないだろうと思っていたため、とても驚いた。


 そして、その格好にも驚いた。鉱山に来る格好ではなかったからだ。帽子を被り、仕立てのよい黒のスーツに艶のある革靴履いている。どう見ても街中を歩く格好だ。街中で見かける親の金でチャラチャラ遊び歩いている男そのものだ。


「鉱夫リーダーのトムだ」


「光魔法使いのジェフリーだ。ジェフと呼んてほしい」


 魔法使いジェフの自己紹介にがっかりした。待ち望んでいた魔法使いじゃなかったからだ。聞いたことのない魔法を使う魔法使いより、鉱夫の仕事を奪う土魔法使いの方が良かった。


「さっそくだが、仕事場へ案内を頼む」


「……わかりました。ジェフ殿、こちらへ」


 現場管理者に促され、密かにため息を吐きながら、ジェフを今掘り進めている坑道へ案内した。


「こちら、光魔法の魔法使いのジェフリー殿だ」


 鉱夫達にジェフを紹介すると、皆俺と同じような反応……喜び、そして落胆の反応をした。


「ここに輝く宝石の原石達か眠っているのか」


「……いえ、ここはただの鉄鉱山です」


「そう謙遜するな。鉄も宝石も、同じ大地から生まれるのだから、同じ貴重な鉱石さ」  


 ジェフはそう言うと、ニカッと歯を出し笑った。その歯はキラッと光った。


「そろそろ、作業を始めるので、そこに居てください」


 話が通じそうにないため、ジェフを無視して作業を始めることにした。


「もう作業を始めるのか。さすがクロム商会の鉱夫達だ。仕事熱心なんだな。少し待ってくれ」


「何を待つんだ?ってうぉ!!」


 ジェフから眩い光が溢れた。


「す、凄い」


 ジェフから発せられる光は坑道全体を照らす。その光により、いつも薄暗い坑道は昼間のように明るくなった。


 その光を見て、驚きと感謝が溢れた。火を使わないため、酸欠の心配をしないで済むだけでなく、熱が発生しないため、暑さで倒れる心配もない。火の管理をしないで済むため、坑道を掘ることに集中できる。


「おお、皆さっきまで暗い顔をしていたのに、明るくなった」


「そうだな」


 物理的に顔を明るく照らしているからな。


「良く、僕が居ると周りが明るくなると言われているんだ」


そりゃ、火より明るい光を放っているからな。



「僕は坑道を掘ることはでこないけど、この場所を明るくするにできる。僕の魔法で汗水流して働く皆の仕事環境が、少しでも改善できれば幸いだ」


 ジェフ……いや、ジェフリーは真剣な表情で言った。チャラチャラしている格好や雰囲気で誤解していたが、ジェフリーは俺達鉱夫の事を見下していなかった。


 その真剣な表情で坑道を見渡し、坑道の明るさを暗すぎず明るすぎずないように調整している。


 ジェフリーからは、後光が見える。比喩表現ではない。


「……ジェフリー殿、よろしくお願いします」


「任せてください」


 ジェフリーは、ニカッと歯を出して笑った。その歯は綺麗に輝いた。




 ジェフリーが鉱山に来てから作業効率が上がり、その結果、新しい鉱脈を発見することが出来た。


 しかし、10月に入ると、あれ程高かった気温が下がり、逆に寒くなり始めた。そのため、熱を発見することの無いジェフリーは、役目を終え帰ることになった。



「ジェフリーの活躍に感謝を!」


「感謝を!!」


「ありがとう!」


「ありがとう!!」


 ジェフリーが帰る前日に、俺達は送迎会を開いた。


 最後の夜だからジェフリーに、ずっと気になっていたことを聞くことにした。


「最初、ここに来たときの格好について?」


 ナルシスト気質でなんでもポジティブに考える人だが、基本常識人のジェフリーが、あんな鉱山に不釣合の格好をしていた事が気になっていた。


「祖父の店で揃えたんだ」


「いや、そう言う事を聞いているんじゃない」


 服を買ったお店を聞いているわけじゃない。


「スミス衣料品店って言うお店なんだ。このスーツは祖父が仕立ててくれたんだ。凄く僕に似合っているだろう。生地は騎士達の制服と同じ物なんだ。騎士団に勤めている叔母のツテで手に入れったと言っていた。本当はここに来るとき、山登り用の服がいいんだろうって思ったんだけど、やっぱり第一印象って大切だし、スーツの方がいいかなって。それで、靴は叔父が作ってくれた。叔父は凄く腕の良い職人で、絶対に転ばない靴を作ってたくれたんだ。舗装されてない山道を歩くにはピッタリな靴なんだ。この帽子は曽祖父が作った物なんだけど、仕立てが良くて今でも使えるんだ。鉱山だから落石の危険性があるから、頭を守るために被って来たんだ。それに、曽祖父が作った物は『絶対に落ちない』から縁起物なんだ」


 あんな場違いの格好に意味があったことに驚いた。そして、怒涛に始まった親戚自慢にも驚いた。こっちが口を挟む隙がないほど語る語る。服装と親戚について語るジェフリーの表情は、今まで見た中で一番(物理的に)輝いていた。


「母さんは魔法学園を卒業して、父さんはアップルビー公爵家主催の狩猟大会で優勝したことがあって、大きい方の従姉妹は有名オペラ歌手で、小さい方従姉妹は貴族の友達が多く居て……」


「ちょっと待て。ジェフリーは貴族なのか?」


 魔法学園や鉱夫の俺でも知っているアップルビー公爵の名前が、ジェフリーの口から出てきて驚いた。

 ジェフリーが魔法を使えること、母親も魔法学園卒業って事もあり、もしかしたらジェフリーは貴族ではないのかと、頭をよぎった。


「いいや、僕はしがない宿屋の息子さ。ただ、親と親戚が凄い人と顔見知りなだけさ」


 ジェフリーはやはり(物理的に)光輝く笑顔で言った。


「そんなことより、ジェフはこれからどうするんだ?」


 ジェフリーと年齢が近い鉱夫のボブがジェフリーに聞いた。ジェフリーが何と答えるか気になり、耳を澄ませた。


「オペラ座に行ったり、夜釣りをするんだ」


「違う。そんな事を聞きたいんじゃないんだけど」


 ボブは呆れた表情をして、ジェフリーに言った。俺もボブのその言葉に大賛成だ。俺もコイツも「これからの仕事」について聞いているんだ。


「さっき話したオペラ歌手の従姉妹に、僕にピッタリな役があるから出演しないかって言われているんだ。それが太陽の化身の役なんだ」


「……本当に、ジェフにピッタリな役だね」


 ボブの言葉に、激しく同意する。ジェフリーは太陽と同じぐらい輝く事ができるからな。


「その後は、国王陛下が夜釣りをするらしくって、友達経由で夜釣りに誘われたんだ。その友達は宰相の甥っ子なんだけど、すっごく良い人で、いつも誘ってくれるんだ。国王陛下が夜光蝶を見に行く時も一緒に連れて行ってくれたんだ」


「…………ジェフって、実は貴族だったりする?」


「いや、しがない宿屋の息子だよ」


「………………ジェフの交友関係ってどうなってるの?」


 ジェフリーの言葉に、ボブは引いた。ボブだけでなく俺も他の鉱夫達も引いた。


こうして、ジェフリーの交友関係関係に引きながら、送迎会は幕を閉じた。




 ジェフリーが鉱山を去った後、何故かジェフリーと文通をすることになった。大抵は他愛のないことなのだが、たまに驚くような事も書いてあった。


 ジェフリーがアビゲイル王女の冠戴式で演出することになったと手紙に書かれていた時には、驚きのあまり顎が外れてしまった。

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