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7・カイル・オーランド


「……ねぇカイル、あなたは人間、よね? 何故この獣人の国で護衛騎士なんてしているの? いくら人間も多い国だとはいえ、あなた独身よね?」

 この獣人の国は人間も多く存在する。

 それは、獣人が人間の国で番を見つけ、結婚したからで、時にはそれが同意でなく犯罪まがいに連れて来られることもある。

 国際的にも問題視されているこの拉致結婚だけれど、そういうものだ、という獣人国側の意識から、なかなか問題が解決されないままになっている。


 だからこそ疑問だ。

 独身の人間男性が、なぜこの種族の違う国で護衛騎士として働いているのか──。

 私の何の気なしに放たれた言葉に、カイルはわずかに口をキュッと引き結んでから、やがて、ぽつり、と話し始めた。


「……私は、あなたの国──マルボロ王国で生まれ、育ちました。オーランド騎士団長はご存知でしょうか?」

「オーランド騎士団長……。えぇ、もちろん。マルボロで、とてもよくしてもらったわ」

 私が言うと、カイルは少しだけ表情を緩めてから続けた。

「あれは、私の父です」

「父……。まぁ、あなた、オーランド騎士団長のご子息だったの?」


 オーランド騎士団長は父が絶対的な信頼を寄せるマルボロ王国の騎士団長で、確か二人の息子と一人の娘がいると聞いたことがある。

 息子の一人は私の兄である王太子の護衛をしているから、カイルはその弟?

 世間は何て狭いのかしら……。


 家族以外の誰もが私のある力について憐れむ中、オーランド騎士団長だけは違った。

 あの方だけは、私の力を素晴らしい力だと言ってくださった。

 だからこそ、私は変に自信を無くさずに生きて来れたのだと思っている。


「私には兄と、妹が居ました。兄は……、もうご存知かと思いますが、現在クリスティ様の兄君である王太子殿下の護衛をさせていただいております。アルト・オーランドです。妹は……まだ、貴族学習院の学生でした」


 その言い方に、少しだけ違和感を感じてしまう。

 何が、とは言いきれないのだけれど、どうにも話し方がどこか遠い日の事のようで。


「……妹は、あなたに憧れていました」

「私に?」

「はい。周囲からあのように言われても、常に凛として、困っている者には必ず手を差し伸べられる。とても心の強いお方だ、と」

「……」


 ”あのように言われても”……。

 濁してはくれたけれど、知らないわけがない、か。

 力の内容は公にされていないものの、それが役に立たないものであるということが広まったがゆえに私を皆が”役立たず王女”と呼んだ。


 それを知りながらも、ちゃんと私のことを見ていてくれる人はいたのね。

 そう、なんだか心が温かくなるのを感じる。


「ですが……」

 そこまで言って、カイルの表情が曇った。

「妹は5年ほど前、ある日突然、攫われたのです。……獣人族の国……ウルバリスに」


「っ……!? …………攫われた……?」



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