プロローグのつづき
「ふぅ」
「話し疲れちゃった?」
「ああ。ちょっと喋りすぎた」
「ふふ。大河ってば、テンション上がるとずっと喋るんだもん」
やや色がはげた青いベンチの上で、俺達はずいぶんと話し込んだ。
「つい、ここに来ると懐かしくなってさ。澪だって、人のこと言えないだろ?」
「……バレた?」
そう言って澪は、俺の肩に乗っていた桜の花びらを一枚、指先ですくい取る。
「どうした?」
「ちょうど、あの時もこの季節だったよね」
「……ああ。そうだったな」
「あのあと、三年生の一年間もいろいろあったよね」
「ああ、あったあった。このコンビニじゃ新人がどっと入ってきて、毎日てんやわんやだったし。学校は学校で、新学期からずっとお祭り騒ぎでさ」
「ほんとほんと。学生生活って長いようで短かったけど、あの一年間は、やけに濃かったなあ」
俺たちは、揃ってコーヒーに口をつけた。
あの頃よりも、ずっとコーヒーの香りや苦味を、ちゃんと楽しめるようになっている気がした。
「あ、そうだ大河。このあと、渚さんとご飯の予定だったよね」
「そうそう。久しぶりに、この街で会おうって話になっててさ……っと、もう行ったほうがよさそうだな」
「じゃ、行こ。大河」
「ああ」
俺たちは立ち上がり、自然に手をつないだ。
「続きは――あの人にも、聞いてもらおうぜ」
「うん!」
俺達は今を生きている。
でも、たまにはこうやって過去を振り返ることができる。
それは、その時その時の一瞬を一生懸命に頑張ったからこそ。
だから、俺達はまだまだ今を一生懸命に生きていく。




