第38話「遊園地なデート開幕⁉」
大変お待たせいたしました。第38話目になります。予定ではこんなに間が空く予定はありませんでした。すいません、言い訳です。楽しんで頂ければと思っております。
第38話「遊園地なデート開幕?」
そして、迎えたデート当日。
俺と梨衣、咲姫と綾人の四人は都内の遊園地へと繰り出して来ていた。
入場券を買う所を見て俺はげんなりとしてしまう。さすがに休日のためかなりの人がすでに並んでいた。噂には聞いていたが、こんなにすごいものだとは正直思っていなかった。
俺は人生において遊園地と言ったレジャー施設には来たことがなかった。なので、こういった光景は、どこか非現実のような感じがしてしまうのだ。
「成未、今日は目いっぱい楽しもうね!」
俺がそんなことを考えていると、隣に立って俺の手を握っていた咲姫が、そう言ってにこっと笑いかけてくる。もしかしたら、咲姫には俺のそう言った葛藤がすべて筒抜けにばれていたのかもしれない。だから、俺は素直に頷く。
「ああ、楽しもうな咲姫」
現在の時刻は朝の9時少し前。こんなにも開園前に並んでいるところを見ると、これからアトラクションに乗ることを考えると、かなり嫌気が差して来てしまう。しかし、隣に立っている梨衣や咲姫の嬉しそうな顔を見ると、そんなことは言っていられない。
「ほら、チケット買って来たぞ」
俺がげんなりとしているだけで何もしないでいると、綾人がいつの間にか、遊園地のチケットを買って来ていた。いつの間に?
俺たちは綾人からチケットを受け取ると、その列に並んで開園の時間を待った。
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開園から10分ほど待ったところで、俺たちは遊園地の中に入ることが出来た。
「はぁ~、何だかこの中に入るだけでもものすごく体力を使った気がする。こんなんで俺、1日持つのかな?」
「あはは、成未遊園地はまだまだこれからだよ!」
「そうだよ、成未くん。あれぐらいでバテてたら遊園地を制覇出来ないよ」
咲姫と梨衣の2人に口々に言われた俺は、マジかと思ってしまう。
「そうだぜ、成未。遊園地と言ったら全乗り物を制覇するまで帰れま10が常識だからな。この中に入った以上は戦争だぜ。でもまあ、安心してくれよ。ここにはなんせ、遊園地マスターいや、遊園地ゴッドたるオレがいる。ここはこのオレに船に乗ったつもりで任せておけばいいのさ」
綾人が何か言っているが、俺の耳にはちっとも綾人の言葉は届いていなかった。何故なら、俺の目の前で繰り広げられるバトルを止めなければと必死になっていたからだった。
「だから、咲姫ちゃん。最初はこのアトラクションが良いと私は思うのだけど」
「いやいや、遊園地と言ったらやっぱり、絶叫系から乗るのが定石でしょう」
そうこの通り、梨衣と咲姫が目の前で何に乗るかで揉めていたのだ。
俺はさっきも話した通り、遊園地初心者のため、梨衣と咲姫が言い合っているのをこうして、中立の立場で見守っていることしか出来なかった。決して2人の言い合いに割って入ることが怖かったわけでは断じてない。うん、ないったらないのだ。
「「成未」」
俺が静観すること数分。いきなり、2人に名前を呼ばれて驚いてしまう。
「はっはい!」
「「成未はどっちが行きたいの?」」
同時に同じことを聞かれ、しかも巻き込まれたくない案件でだ。これなら綾人の話を少しは真面目に聞いておくべきだったかなと後悔しながらも、俺は2人が行きたがっている場所を確認する。
えっと、咲姫がジェットコースター。まあ、定番中の定番なイメージがあるな。そして、梨衣は…………OBK屋敷……だと?
OBK、つまりお化け屋敷なのだが、初っ端からお化け屋敷に行きたいと言われるとは思わなかったので、俺は面を食らってしまう。
「お化け屋敷って、最初から行くところなのか?」
いやいや、確かにどのアトラクションから行くかは、その人の自由なのだがさすがに最初からお化け屋敷に行こうとは思わなかった。
「俺としては、最初はジェットコースターで良いかな。さすがに最初からお化け屋敷はヘビーかな」
俺がそう言うと、咲姫は「ほら~」と梨衣に言っている。梨衣は梨衣で不機嫌そうに頬を膨らませている。
「ぶう、成未くんとイチャイチャしようと思ったのに」
拗ねたように言う梨衣に、そんな梨衣を俺は素直にかわいいと思ってしまう。そんな俺の様子に咲姫は不満に思ったのか、咲姫は脇腹に拳をめり込ませてくる。
「ぐっ……」
「お兄のバカ」
咲姫はぼそっと呟くと、俺の手を取ると歩き出してしまう。
「さっ咲姫!」
「時間がなくなっちゃうから、早く行くよ!」
咲姫が歩いて行ってしまうので、俺はついていくしかなかった。
「ちょっと成未くん! 置いていかないでよ!」
後ろから梨衣もついてくる。
はぁ~~、今日はものすごく疲れそうな一日になりそうだ。
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それから俺たちは、この遊園地で一番人気のジェットコースターに乗ろうと思い並んでいる所だった。待ち時間は20分とまだ短かったので、今のうちに乗っておこうと言うことになったのだ。
「そういや、ジェットコースターに乗るのって初めてだな」
何気なく言った一言なのだが、咲姫が何言っているのって目でこちらのことを見ていた。
「何だよ咲姫?」
「いや、成未の場合はここで乗るものすべてが乗ったことないでしょ」
「ああ、確かにそうなるのか。今まで遊園地に行くなんて考えたことなかったからな」
「だったら、今日は全力で楽しまなきゃだね!」
「ああ、そうだな」
咲姫の言葉に、俺は力強く頷いた。咲姫の言う通り、折角こうしてやって来たのだから、全力で楽しまなければもったいない。
「だから、咲姫。遊園地の楽しみ方を教えてくれよ」
俺の言葉に咲姫は笑顔で頷いた。
「任せて! 成未は本当の彼女の咲姫が絶対に楽しませるから!」
「ちょっと! 兄妹でイチャつくの禁止!」
これ以上は黙っていられないとばかりに、梨衣が俺と咲姫の間に割って入った。
「もう! さっきから聞いていれば兄妹同士でイチャイチャ、イチャイチャと! 成未くんにはこんなにかわいい婚約者がいるじゃない! それじゃ満足出来ないの⁉」
梨衣の叫びに、俺は慌てて弁明する。
「ちっ違う! 梨衣それは誤解だって! 俺たちはあくまでも兄妹同士のスキンシップを取っていただけであって、決してそう言ったニュアンスの意味はなかった! なかったらなかった! と言うか誤解を招くようなことを叫ばないでくれ!」
梨衣の今の発言で、順番待ちしている人たちの視線がこちらに集中したような気がする。しかし、そんなことをお構いなしに綾人が拍車をかけてくる。
「いやいや、どう考えてもお前ら付き合ってるようにしか見えなかったって。もう、いっそのこと、お前は妹ちゃんと付き合って、四ノ宮先輩はオレに譲れよ」
「綾人はどさくさ紛れに何言ってんだ! つうか、俺は梨衣のこと超大好きだし! ついでに言うと、咲姫のことも大好きだぞ! もちろん妹的な意味で!」
俺はやけくそ気味にそう叫ぶ。こんな所で何を叫ばせてくれるんじゃとも思うが、後々の関係のことを考えるとこうした方が良いと思えたのだ。しかし、女性陣2人には不評だったようで、ジト目で睨まれ最後にはため息まで吐かれてしまう次第だった。
「成未、お前やらかしたな」
綾人にまでそう言われるぐらいである。はっ? えっ? 俺が一体何をしたと言うのか? 俺はありのままに言葉をぶつけただけだと言うのに。
そんな状態の俺を見て、梨衣はくすくすと笑っている。
「本当に成未くんは仕方ないな。だけど、そんなところが成未くんで、私の好きな所でもあるんだけどね」
「梨衣先輩もどさくさ紛れに、なに成未を口説いてるのよ」
容赦ない咲姫のツッコミが入るのだった。
そして、ようやく俺たちの順番が来たみたいで、俺と咲姫、梨衣と綾人でジェットコースターに乗ることになった。
実は乗る場所でもひと悶着合ったのだが、咲姫の「咲姫がジェットコースターに乗りたいって言ったんだから、咲姫が成未の隣だよね」と当然のように言ったため、梨衣もぐぬぬと呻っただけで何も言わずに大人しくそれで引き下がったのだ。
従業員が安全バーを下ろしてくれて、無事に発車する準備は整っていた。
しかし、ジェットコースターか。聞いたことはあるのだが、何が楽しいのかまったく分からないでいるし、いかんせん乗ったことがないため、多少の恐怖感はあった。つまり、今更ながら俺はビビッていたのだ。無事にと言うか泣かずにゴールまで辿りつけるかを。恥ずかしい話ではあるのだが、乗ったことがないのだから仕方がない。
俺がそんなことを考えていると、ゆっくりと列車は進み始めていく。
ああ、ついに始まってしまったのか、この死の列車の旅が。
冷や冷やとしながら列車の動きに身を委ねていると、隣に座っている咲姫が俺の手に、自身の手のひらを重ねてくる。
「これなら少しは怖くないでしょ」
咲姫の温もりが、優しさがそこから伝わってきて、恐怖心と言った感情は次第に薄れていく。そして、そこから入れ替わるように出て来た感情はわくわくと言った感情だった。
確かに咲姫の言う通りなのかもしれない。
俺は咲姫の手を握り返した。すると、咲姫は嬉しそうに微笑んでいる。
「終わるまでずっと握っててあげるね」
「ああ、頼むよ」
手を繋ぎ合う頃には、列車はゆっくりとレールを昇っていき、後もう少しでてっぺんという所だった。
「成未」
「ああ」
次の瞬間、強烈な浮遊感が俺を襲った。反射的に悲鳴を上げそうになるが、ふと思い留まりある一つの結論に辿りつく。
ジェットコースターって楽しんじゃね?
そして、隣で楽しそうな声を上げている咲姫を見習って、俺も声を張り上げた。
こうして、俺の人生初ジェットコースターは終了した。
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