16:サリヤ…友好を深めようと試みる。
「よし、サリヤ・・・紹介するぜ。コイツがユイだ!」
殺気が解かれた『魔王の座』にて、いよいよ対面したサリヤと少女・・・ユイだったが、ユイがサリヤに関心を持つ様子は一切無い・・・。
黒い髪に黒い瞳・・・そして白いワンピースタイプの衣装に身を包んだ美少女の視線は、確かに正面に立つサリヤに向けられてはいる・・・。
しかし、少女の興味の対象が目の前に立つ眼鏡の女では無く、3人が入ってきた扉の向こうであることは明らかであった・・・。
「初めまして・・・えーっとユイちゃん。私はサリヤって言います。これからしばらくの間、私も同行させて貰うことになりました。よろしくね?」
「・・・・・・・・・」
サリヤの紋切り型の挨拶・・・それに対しても無言を貫く少女ユイの反応を見た男2人。
彼等は女性二人から少し距離をとると、声を潜めて話し合う・・・。
「おい・・・大丈夫かなぁ?やっぱりアレか?胸が足りないか?」
「ジンよ・・・お主はどうにも胸に対する信仰が強すぎると思うのじゃが・・・」
「そんなことねえよ!普通普通!だって、この世に膨よかな胸が嫌いな人間なんていないだろ!」
「お主・・・一体何を根拠にそんなことを言っとるのか知らんが、100歩譲って男にはそれで良いとしても、女子同士・・・しかも成人前のオナゴと年端もいかん少女との仲が、胸の有無で決まるとはとても思えんぞい・・・」
「そうか・・・?俺はそうは思わんぞ?だって考えてもみろよ!生まれたばかりの赤ん坊はさ、誰に教えられるわけでも無く、皆おっぱいに吸い付くわけじゃんか!?これはつまり、人間の胸への好意っていうのが、もはや本能的なもので、そこに男がどうとか女がどうとかは関係ないってことじゃねえか!?」
「・・・うーむ。一理ある」
「無いわよ!馬鹿2人っ!!!」
わざわざ距離を置いて話していたにも係わらず、ヒートアップしてしまった所為で、声のボリュームに気を配るのをスッカリ忘れてしまっていたジンとエンゾー。
馬鹿2人の会話は、いつの間にかサリヤとユイに完全に筒抜けになっていたようで、胸を隠すように押さえたサリヤから遠慮の無い突っ込みが飛んできた。
「・・・ったく。大体、こんなあどけない女の子の前で、胸がどうとかって・・・そもそも教育に悪いわ。今度から自重しなさいよね!」
「それは・・・男に死ねって言ってるようなモノだぞ!」
「なら、アンタはさっさと死になさい」
「んで、ユイとは仲良くなれそうか?」
サリヤは、ユイの方を見る。
ユイの視線は依然変わらず、扉の向こうに注がれるのみで、サリヤの存在を気にしている素振りは一切無い。
「仲良くも何も・・・ユイちゃん、私の言葉に何の反応もしないの。一応聞いておきたいんだけど、彼女・・・耳が悪いとか、言語が理解できないとか、そんな子だったりしない?」
「いーや。確かに元々寡黙なヤツではあるが、必要最低限の会話はするぞ。その他身体的な機能にも問題は無い。完全な健康体だ」
「・・・つまり、私の存在に必要価値を見出していないと・・・そういうことよね」
「当然だな。胸も無いし」
「これ以上言ったらアナタを殺すわ!」
そんな軽口(もう一方にとってはセクハラ)の応酬中も、どうにかしてユイと心を通わせる方法がないか思案していた眼鏡の少女は、取り敢えず情報収集から始めようと、ジンに向き直る。
「ねえ・・・もういい加減良いでしょ?あの子のこと、少しくらい教えてよ。あの子と話したり、仲良くなる切っ掛けが欲しいの」
そう言われたジンとエンゾーは互いに視線で意思を確かめ合う。
そして互いに了解がとれたのであろう・・・ジンは衝撃的な事実から話し始めた!
「ユイは・・・魔王の娘なんだ」
ここまで読んでいただきありがとうございます!
これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!




