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舞風学園演劇部3 舞台の継承  作者: 舞風堂
第二章 それぞれの表現
8/10

第八幕 笑って泳いでスポーツセンター

 ひのり、七海、まひる、美春の人形劇チームは美春の実家である桐沢玩具店で人形作りに勤しんでいた。

 同じ日にりんか、紗里、風花、アリスのチームは同じ日、市民スポーツセンターへと来ていた。


「おはよーございまーす!」


 スポーツクラブ前に、りんかの声が響く。


「朝から元気すぎない?」

 紗里が苦笑する。


「運動する日はテンション上がるんだって!」


「私はまだ眠い……」

 風花が小さく欠伸をする。


「その状態でよく来たね」

 紗里が言う。


「いや、来ないとりんか先輩絶対うるさいし……」


「正解!」


 りんかが親指を立てる。


 その横で、アリスは建物を見上げていた。


「思ったより設備が整っているわね」


「そこ見るんだ」

 風花が言う。


「身体を使うなら、環境確認は大事よ」


「なんか急に本格派いる」


 他愛もない会話をした4人はスポーツクラブに入り、更衣室から出た四人は、体操着でスポーツセンターのマットスペースへ集まっていた。


 りんかはストレッチしながら、その場で軽く跳ねる。


「よーし! で、最初なにやる!?」


「普通に準備運動からでしょ」

 紗里が呆れたように言う。


「いきなり飛ぶとケガするわよ」

 アリスも冷静に付け加えた。


 風花はマットの上にぺたりと座る。


「でもさ、“アクションチーム”って言うくらいだし、なんか派手なのやりたいよね」


「例えば?」

 紗里が聞く。


「バク転とか?」


「やる!?」

 りんかの目が一瞬で輝く。


「いや私はやらん」

 風花が即答した。


 アリスは少し考えてから、マットを軽く踏む。


「まずは基礎ね」


「体幹、重心移動、受け身」


「あと柔軟」


 りんかの表情が一瞬だけ固まる。


「あー……」


「どうしたの?」

 風花が首を傾げる。


 紗里が苦笑した。


「いや、この人の“基礎”って信用できなくて」


「失礼ね」

 アリスが淡々と返す。


「でも去年のアレあるじゃん」

 りんかが言う。


「英国式のやつ」


 風花がきょとんとする。


「英国式?」


 紗里が肩をすくめる。


「アリスさんが来たばっかの頃の特訓」


「めちゃくちゃキツかった」


「めちゃくちゃって?」

 風花が聞く。


 りんかが真顔になる。


「呼吸、姿勢、歩き方、発声」


「全部やり直し」


「しかも“まだ甘い”“もっと”“遅い”の無限ループ」


「うわ……」

 風花が引いた顔をする。


 紗里も思い出したように言う。


「しかも普通に泣く人出たからね」


「えっ」

 風花の目が丸くなる。


 アリスは腕を組んだまま言った。


「必要だったのよ」


「当時の舞風は、基礎が甘かった」


「いや言い方」

 紗里が即座に突っ込む。


 りんかがマットへ寝転がる。


「でもマジでキツかったんだって……」


「途中から演劇部じゃなくて軍隊だったし……」


 風花が笑いながら言う。


「りんか先輩がそこまで言うって相当じゃん」


「相当だった!」


 アリスは少しだけ視線を逸らした。


「……やりすぎた部分は認めるわ」


 一瞬、三人が静かになる。


 紗里が目を瞬かせた。


「え、ちゃんと認めるんだ」


「当たり前よ」

 アリスはため息をつく。


「今なら、もう少し別のやり方を選ぶ」


 風花がぽつりと呟く。


「なんか、アリス先輩も変わったよね」


 アリスは少しだけ笑った。


「舞風に染まったのかもね」


 りんかが勢いよく起き上がる。


「じゃあ今日は優しいアリスちゃんってことで!」


「甘やかすとは言ってないわ」


「出た!」


 紗里と風花が同時に笑う。


 空気が少し和らぐ。


 アリスはマット中央へ歩き、振り返った。


「でも今日は、“動きで見せる演技”をやるなら必要なことを教える」


「演劇でも、アクションでも同じ」


「身体がブレると、説得力が消える」


 りんかがニヤッと笑う。


「よし、じゃあ来い!」


「今日は倒れない程度でお願いします」

 紗里が言う。


「保証はしないわ」

 アリスが真顔で返した。


「怖っ!!」


 笑い声が、マットスペースに広がった。


 アリスはマットの中央で軽く腕を組む。


「じゃあ、まずはバランス確認から」


「片足立ち?」


 風花が聞く。


「ええ。ただし――」


 アリスは靴を揃え、すっと片足を上げた。


「姿勢を崩さず、一分」


「簡単そう」

 りんかが言う。


「やってみなさい」


 四人同時に片足を上げる。


 最初に崩れたのは紗里だった。


「うおっ!?」


「早」

 風花が吹き出す。


「いや今床滑ったって!」


「言い訳は禁止」

 アリスが即答する。


 その直後。


 アリス自身の身体がぐらっと揺れた。


「あ」


 バランスを崩し、そのままマットへ尻もち。


 一瞬、沈黙。


 りんかが吹き出した。


「アリスさんが落ちたァ!!」


「……床が悪いわ」


「さっきと言ってること違う!」

 紗里が即ツッコミ。


 風花も笑いを堪えきれない。


「めちゃくちゃ誤魔化してるじゃん……!」


 アリスは咳払いしながら立ち上がる。


「今のは見本失敗例よ」


「絶対違う」

 三人同時だった。


 空気が一気に柔らかくなる。


 その後、今度は体幹トレーニング。


「プランク三十秒」


「はい終了」

 りんかが即座に言う。


「まだ始まってないわ」


「気持ち的には終わった!」


 紗里が笑いながら姿勢を作る。


「りんか、こういう地味系ほんと弱いよね」


「動きたいの! 止まるの嫌!」


 風花は意外と安定していた。


「え、風花ちゃん普通に強くない?」

 紗里が驚く。


「ダンスやってたから、多少は」


「なるほどね」


 アリスは横目で見ながら頷く。


「軸がブレにくい」


「動きの見せ方に向いてるわ」


 風花は少し照れくさそうに笑った。


「アリス先輩に褒められると、なんかガチ感ある」


「事実を言っただけよ」


 その隣で。


「うぐぐぐ……!」


 りんかが震えていた。


「あと十秒」

 アリスが淡々と言う。


「長い長い長い!!」


 紗里が笑い崩れる。


「さっきまで元気だった人どこいった?」


「こういうのは別!!」


 そして終了。


 りんかはそのままマットへ倒れ込んだ。


「むり……」


「まだ準備運動よ」

 アリスが言う。


「嘘だと言って」


 風花が笑う。


「でもちょっと分かってきたかも」


「なにが?」

 紗里が聞く。


「身体の軸とか、動き方」


「演技でも見え方変わりそう」


 アリスは小さく頷いた。


「そう。アクションは“上手く動く”じゃない」


「どう見えるか」


「演劇と同じよ」


 りんかがマットに突っ伏したまま手を上げる。


「その前に体力どうにかしたい……」


「それも必要ね」

 アリスが真顔で返した。


「容赦ないなぁ!!」


 また笑いが広がった。


 簡易アスレチックコースが完成し、最初に挑戦したのはりんかだった。


「いっくぞー!!」


 平均台を駆け抜け、

 マットを転がり、

 最後はハードルを飛び越える。


「ゴール!!」


「速っ!?」

 風花が笑う。


「完全にサルじゃん」

 紗里も呆れる。


「運動系女子をナメるな!」


 次は紗里。


「いやこれ絶対りんか用コースでしょ!」


 文句を言いながらもノリで突撃。


 平均台の途中でバランスを崩しかけ、


「うおっ!? 危なっ!」


 なんとか耐える。


「リアクション芸人すぎる」

 風花がぼそっと言った。


「うるさい!」


 風花は面倒そうにスタートしたが、

 途中から妙に本気になる。


「……あ、これショートカットできる」


「えっ」


 マットを踏み台にして一気に飛び越えた。


「ズルくない!?」

 紗里が叫ぶ。


「ゲームは効率重視」


 そして最後。


 全員の視線がアリスへ向く。


「……では。」


 アリスは淡々と歩き出した。


 姿勢は綺麗。

 動きも無駄がない。


「おぉー……」

 紗里が感心する。


「さすがアリスさん」


 しかし。


 平均台に乗った瞬間。


「……っ」


 ぐらっ。


「あ。」


 そのまま、ものすごく初歩的に落ちた。


 一瞬の静寂。


 そして。


「ぶはっ!!」

 最初に吹き出したのはりんかだった。


「アリスさんそこミスるの!?!?」


「そこ一番簡単だったよ!?」

 紗里も笑い始める。


 風花は肩を震わせていた。


「……ダメ、ツボった」


 アリスは床に手をついたまま固まっている。


「……今のは、床材の問題よ。」


「負け惜しみだー!!」


 体育館みたいな笑い声が、スポーツセンターに響いた。


 ひと通り身体を動かしたあと、四人はスポーツセンターの休憩スペースへ移動していた。


「つっかれたぁ〜……」


 りんかがソファに倒れ込む。


「うるさ……」

 風花はスポドリを飲みながらぐったりしていた。


「でも結構楽しかったかも」

 紗里が笑う。


 その横で、アリスはタオルで汗を拭きながらスマホを見ていた。


「……何?」

 風花が気づく。


「人形劇チームに連絡よ」


 アリスが短く言う。


「え、アリスさん送るんだ」

 紗里が少し驚く。


「情報共有は必要でしょう?」


 そう言いながらも、少しだけ口調は柔らかかった。


 りんかがスマホを取り出す。


【りんか】

『やばい、めっちゃ疲れた!!』


【紗里】

『筋肉が終わってるw』


【風花】

『普通にスポーツクラブなんだけどこれ!?』


【アリス】

『無駄な動きが多いわね』


「最後だけ厳しい!」

 紗里が突っ込む。


「事実よ」


 すると、すぐに既読がついた。


【ひのり】

『そっちは完全に体育会系じゃんw』


【七海】

『りんかちゃんが一番楽しそうなのは想像つく』


【まひる】

『こっちは人形できてきました!』


 その直後。


 ぽん、と画像が送られてくる。


「おっ」


 四人が同時に画面を覗き込んだ。


 木製の関節人形。

 まだ試作段階ながら、小さなマントと簡素な衣装がついている。


 少しぎこちない。

 でも、妙に表情がある。


「……え、かわい」

 風花が最初に呟いた。


「でしょ!?」

 りんかがテンションを上げる。


「なんかちゃんと“主人公感”あるね」

 紗里も感心していた。


 アリスは画面を見つめたまま、小さく目を細める。


「未完成だけど……悪くないわね」


「お、珍しく素直」

 風花が言う。


「造形バランスはちゃんとしてるもの」


 すると追加メッセージ。


【ひのり】

『この子めっちゃ動くよ!!』


【ひのり】

『あと美春ちゃん家すごい!!』


【七海】

『ひのりがずっと騒いでる』


【まひる】

『ずっとです』


「想像できる」

 四人同時だった。


 一瞬、笑いが起きる。


 りんかがスマホを見ながら笑った。


「なんかさ」


「離れて別行動してても、“同じことやってる感”あるよね」


 紗里も頷く。


「わかる。向こうは人形、こっちは身体だけど」


「どっちも“演劇”なんだなって感じ」


 風花はソファにもたれながら言う。


「まあ、向こう絶対平和そうだけど」


「……それは否定しないわ」

 アリスが小さく返した。


 その言い方が少し柔らかくて、

 三人は思わず顔を見合わせた。


「……アリスさん、最近丸くなった?」

 紗里がニヤニヤする。


「何よそれ」


「前なら“幼稚”とか言ってそうだったし」


「言わないわよ」


 一拍置いて、


「……多分。」


「今ちょっと怪しかった!!」

 りんかが指摘した。


 休憩後。


「次、プール行こっか!」


 りんかが元気よく立ち上がる。


「まだ動くの!?」

 風花が嫌そうな顔をした。


「スポーツセンター来て泳がないのもったいないじゃん!」


「私は別に……」


 しかし紗里がニヤッとする。


「風花、さては泳げない?」


「……泳げるし」


「その間、絶対泳げないやつ」


 数分後。


 四人は室内プールへ移動していた。


 水面が照明を反射し、静かに揺れている。


「うわー、広っ!」

 りんかがテンションを上げる。


「走らない」

 アリスが即座に言う。


「先生!?」


「プールサイドで走るのは危険よ」


「急に保護者」


 紗里が笑った。


 最初に泳ぎ出したのはアリスだった。


 水に入った瞬間、

 動きが変わる。


 無駄がない。


 静かに、

 一直線に進んでいく。


「……速」

 風花がぽつり。


「フォーム綺麗すぎない?」

 紗里も目を丸くする。


 アリスはターンして戻ってくる。


 水しぶきすら少ない。


「呼吸が安定してるから疲れにくいの」


「なんかオリンピック解説始まった」


 そこへ。


「負けないからねー!!」


 りんかが勢いよく飛び込んだ。


 バシャァン!!


「うるさっ!!」


 完全に水しぶき型。


 フォームは荒い。

 でも速い。


「りんか先輩、犬みたい」

 風花が真顔で言う。


「誰が犬だ!」


 しかしターンで失敗し、

 壁に軽く頭をぶつけた。


「いったぁ!?」


「締まらないわね……」

 アリスが呆れる。


 紗里は普通にクロールして戻ってくる。


「いやー、久々だと疲れる!」


「紗里ちゃん普通に上手いね」

 りんかが言う。


「授業ちゃんとやってたからね!」


 そして。


 三人の視線が風花へ向く。


「……何」


「風花の番」

 りんかがニヤニヤする。


「いや別に泳がなくても」


「逃げた」

 紗里が即答。


「逃げてないし」


 風花は渋々プールへ入る。


 一歩。


「冷たっ」


 二歩。


「無理かも」


「まだ膝だから!?」


 りんかが笑う。


 そして風花は、

 ぎこちなくバタ足を始め――


 全然進まなかった。


「……沈む……」


「なんで!?」


 プールに笑い声が響いた。


 しばらく泳いだあと。


 りんかは急にプールの中央付近で立ち止まった。


「……みんな。」


「なに?」

 紗里が息を整えながら振り向く。


 りんかは妙に真面目な顔をしていた。


「今から、“伝説のラストシーン”やります。」


「絶対くだらない」

 風花が即答する。


 りんかは無言で親指を立てた。


 そのまま、

 ゆっくり沈み始める。


「…………」


「…………」


 数秒後。


 ぼこぼこぼこっ。


 勢いよく浮上。


「ぶはっ!!」


「浅っ!!」

 紗里が吹き出した。

「りんかが親指立ててプールに沈むシーン涙なしに見られなかったってやつか」


「全然沈めてないじゃん!」


「いや途中で息限界きた!」


「当たり前でしょ!」


 風花が腹を抱えて笑っていた。


 アリスは少し遅れて理解したように眉を上げる。


「……あぁ。

 あの映画の真似。」


「通じた!」

 りんかが嬉しそうに言う。


「日本、本当にあのシーン好きよね」


 アリスが呆れ半分で言った。


「だってカッコいいじゃん!」


「でもあなたの場合、ただ溺れかけてる人だったわよ」


 紗里が追撃する。


「しかも最後“ぶはっ”って言ってたし」


「完璧に台無し」

 風花も冷静だった。


 りんかは不満そうに水を叩く。


「えー! もっとノッてよ!」


「ノれないわよ」

 アリスが即答する。


 ……と言いながら。


 少しだけ笑っていた。


 プールから上がった四人は、

 スポーツセンターの休憩スペースで並んで座っていた。


 濡れた髪をタオルで拭きながら、

 それぞれスポドリやアイスを手にしている。


「……疲れたぁ〜」


 紗里がソファに身体を預ける。


「今日はかなり動いたわね」

 アリスも珍しく素直に言った。


 りんかはニヤニヤしながらアリスを見る。


「いやー、でも今日のアリスさん面白かったなぁ」


「……何が?」


「平均台落ちるし、映画ごっこ冷静に解説するし」


「やめて」

 アリスが即座に返す。


 風花が小さく吹き出した。


「最初の頃のアリスさんなら絶対やらなそう」


 その言葉に、

 アリスは少しだけ黙った。


 窓の外では、

 夕方の光が少しずつ傾き始めている。


「……まあ。」


 アリスが静かに口を開く。


「あと数ヶ月で、私は帰国するもの。」


 三人が少しだけ表情を変えた。


「留学って、ずっとじゃないし。」


 アリスは淡々と言う。


「だから……

 こういう時間も、案外すぐ終わるのよね。」


 りんかの笑顔が少しだけ静かになる。


 紗里はスポドリを見つめながらぽつりと呟いた。


「……卒業も、もうそんな遠くないんだよね。」


 風花も珍しく黙っていた。


「去年まではさ、

 “二年生になる”とか想像できなかったのに。」


 紗里が苦笑する。


「なのに今、

 “卒業”の話してるとか変な感じ。」


 りんかも少し照れくさそうに笑った。


「なんかずっと続く気しちゃうんだよな。

 こういうの。」


 アリスはその言葉を聞きながら、

 静かに目を伏せる。


「……だから大事なのよ。」


「終わるからこそ。」


 短い沈黙。


 でも、

 空気は暗くなりすぎなかった。


 風花が小さく言う。


「……まあでも。」


「今はまだ終わってないし。」


 紗里が笑う。


「そうそう!

 しんみりするには早いって。」


 りんかも勢いよく頷いた。


「まだ文化祭もあるし!

 劇もやるし!

 遊ぶし!」


「全部詰め込みすぎ」

 風花が突っ込む。


「……そういえば。」

 風花がふと思い出したように言う。


「うちら、結局どんな劇やるの。」


「あ。」

 りんかが固まった。


「確かに」

 紗里も笑う。


「ずっと遊んでたから忘れてた。」


「忘れないで」

 アリスが呆れる。


 でもその声は、

 どこか柔らかかった。


「ただ、今日ので少し見えた気はするわ。」


 三人がアリスを見る。


「身体を使うこと。

 動きそのものを“見せる”こと。」


 アリスは静かに続ける。


「多分、私たちの舞台はそこが軸になる。」


 りんかの目が少し輝く。


「……アクション系ってこと?」


「戦うだけじゃないわ。」


「走る、跳ぶ、避ける、

 ぶつかる。

 身体の動きで感情を見せる舞台。」


 風花が小さく呟く。


「……ゲームのイベントシーンみたい。」


「それ!」

 りんかが即座に反応する。


 紗里も笑う。


「なんかちょっと見えてきたかも。」


 そのやり取りに、アリスも少しだけ笑った。


 演劇部も、学校生活も、

 留学も。


 永遠じゃない。

 だからこそ。


 限られた時間を、全力で笑って、全力で演じる。


 それこそが、

 今の彼女たちの“青春”だった。


 続く。

 

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