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資格を学んで人生やり直し  作者: 仕事が生きがい~結婚諦めた~
第三章 資格を取った後

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第三十八話 感情は、線の外に置く

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

その言葉は、不意に投げられた。


「それ、冷たくないですか」


会議が終わりかけた瞬間だった。

誰かのつぶやきに近い声。

だが、男の耳にははっきり届いた。


冷たい。

責めているわけでも、間違っていると言われたわけでもない。

**感情の温度についての評価**だった。


男は、すぐに否定しなかった。


「どういう意味で、そう思いました?」


問い返すと、その場の空気が少し固まる。

言った本人も、軽く後悔している顔だった。


「……いや、判断としては分かるんです。

 でも、もう少し寄り添えたんじゃないかなって」


寄り添う。

それも、正しい言葉だ。


男は、ゆっくりと言葉を選ぶ。


「寄り添うのは、必要だと思う」


一同がこちらを見る。


「でも、

 **判断そのものに感情を載せると、線が動く**」


誰も口を挟まない。


「今回は、線を越えた事実があった。

 戻れなかった判断もあった。

 だから、残すことを優先した」


冷たいと思われても、

そこは譲れない。


「感情は、線の内側に入れない」


それは、自分への確認でもあった。


---


会議が終わり、廊下を歩く。


先ほどの発言をした相手が、

背後から声をかけてきた。


「さっきは……すみません」


男は立ち止まり、振り向く。


「謝ることじゃない。

 大事な視点だ」


少し間を置いて、続ける。


「ただ、

 感情で線を動かすと、

 次に判断する人が迷う」


相手は、静かに頷いた。


「線は、冷たく見えるくらいでちょうどいい。

 その代わり――」


男は、自分の胸を軽く指で叩く。


「**感情は、引き受ける**」


判断の外で。

後から。

人として。


それが、

線を管理する側の役割だと、

男は思っていた。


---


夕方、机に戻る。


今日一日で、

誰かを少し遠ざけたかもしれない。

誤解されたかもしれない。


それでも、

判断は歪んでいない。


守ったのは、

自分の評価ではなく、

**次に迷う人の足場**だった。


資格を取った理由が、

男の中で、さらに一段深く沈んでいく。


「優しさ」と「曖昧さ」を切り分けながら、

静かに――しかし確実に、核心へ近づいていく。

お読み頂き、ありがとうございます。

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