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資格を学んで人生やり直し  作者: 仕事が生きがい~結婚諦めた~
第二章 ビジネス実務法務3級とは

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第三十話 「解除のあとに残るもの」

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

解除通知を出したのは、

感情が静かに引いたあとだった。


期限。

事実。

記録。


揃えて、揃えて、

ようやく一通の文面に落とした。


「解除=終わり」

そう思いたくなる。


だが、実務では

**解除は“次の作業の始まり”**だった。


---


解除が成立した翌日。

経理から男に声がかかる。


「これ……返すんですよね」


返金。

前払い。

立替。


机の上に並んだ数字は、

感情とは無関係に、淡々としている。


男は、頷いた。


「**原状回復**です」


解除の効果。

それは、

**契約がなかった状態に戻すこと**。


受け取ったものは返す。

渡したものは返してもらう。


ただ、それだけ。

それだけが、案外重い。


---


現場責任者が、困った顔で言う。


「でも、この部材、

 もう現場で使っちゃってます」


男は、即答しなかった。


——“そのまま戻す”

それが難しいときがある。


「現物が返せない場合は、

 **価額で清算**します」


誰かが、ぼそりと漏らす。


「結局、お金の話になるんですね」


男は、否定しなかった。


解除は、

誰かを叱るための制度じゃない。


**関係を解消するための精算**だ。


---


午後。

一本の電話が入る。


「例の外注、

 その部材、

 もう別の会社にも回ってるみたいです」


第三者。


男の背中に、

小さな緊張が走る。


解除の効果には、

**限界**がある。


——第三者の権利を害せない。


「解除は、

 当事者間では効く。

 でも、第三者まで

 巻き戻す力はない」


それが、

法が引いている線だ。


---


社長に報告する。


「第三者が絡む部分は、

 解除では戻せません。

 そこは別途、

 損害や清算で整理するしかないです」


社長は、短く言った。


「都合よくは、切れないな」


男は、頷いた。


「はい。

 解除は万能じゃないです」


だからこそ、

**解除前の線引き**が重要だった。


何を戻し、

何を金銭で処理し、

何を諦めるか。


解除は、

魔法じゃない。


---


夕方。

男は、一人でチェックリストを見直す。


- 返金額

- 返却物

- 使用済み分の評価

- 第三者関係

- 残る損害の扱い


一つずつ、

“現実”に落とす。


社内の誰も、騒がなかった。


それは、

正しく終わらせている証拠だった。


---


帰り際、

社長がぽつりと聞く。


「……正直、

 もっとスッと終わると思ってた?」


男は、少し考えてから答えた。


「前は、そう思ってました」


「今は?」


「**終わるって、

 片付けることなんだ**って分かってます」


社長は、何も言わなかった。


でも、その沈黙は、

もう否定じゃなかった。


---


夜。

男はノートを開き、最後に書いた。


> 解除は、

> 始まりを消す行為じゃない。

> 終わりを、

> 責任を持って作る行為だ。


原状回復。

第三者。

清算。


華はない。

達成感も薄い。


でも、

ここを逃げない人が、

次の契約を結べる。


男は、ペンを閉じた。


不合格の通知は、

まだ机の引き出しにある。


それでも、

今ならはっきり言える。


——合格は、

あとから、

追いついてくる。

お読み頂き、ありがとうございます。

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