少年、驚く。
「ところで僕らはどこに向かってるんだ?」
「言わなかったか? 総督府だ。もう見えて来るぞ」
リュウガが言った通り、僕らの前方には巨大な―――正方形の大きな建物が現れた。
その建物の、人間ならちょうど額にあたる部分には大きな紋章が描かれていた。
恐らくはあれがルクト帝国の紋章なのだろう。
「デカ過ぎんだろ……」
「あれが総督府だ。あの頂上の階にタクシャカはいるはずだ」
ここまで大きな建物の存在に、どうして僕は気が付かなかったのだろう。
きっと言ってはいけない何か特別な都合があるに違いない。
それが何かまでは分からないけど。
恐らくは、どうしても入れたい台詞があったとか……。
いや、あくまで推測にすぎない。
「それにしても、デカ過ぎんだろ……」
「お前、何度同じことを言うつもりだ? さっさと着がえろ」
「え、着替えって?」
無言のまま、リュウガが僕に何かを押し付ける。
それは、治安警察が着ていた制服と防護マスクだった。
「悪いが二着しか用意していないんだ。一人は留守番をしてもらうことになる」
「……それはつまり、私について来るなと言いたいのか?」
不満そうな口ぶりのメフィ。
しかし、すぐに気が変わったようで、いつもの何を考えているのかよくわからない表情に戻ると、
「でも、タクシャカに会うのだろ? だったら私はついて行かない方が良いな」
「どうしてだよ、メフィ」
「私にも事情があるんだよ。お前は私が誰に追われていたのか忘れたか?」
「え? あの、ならずものみたいな人たち―――あ」
メフィを追っていた男たちの鎧に描かれていた紋章は、総督府の建物に描かれているものと同じだ。
なら、メフィを追っていたのは帝国の人間ってことなのか?
「ニルは私がいないと寂しいかもしれないが、まあ心配するな。また中心街で落ち合おう」
僕はメフィに頷き返し、リュウガの方を振り向いた。
「それじゃあリュウガ……」
「俺をその名前で呼ぶのはやめろ。正体がバレる」
「じゃあ、えーと、クロ?」
「ああ、何だ?」
「行こうか、この国を滅ぼしに」
僕の言葉にリュウガ―――いや、クロが笑う。
「その意気だぜ、相棒」
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