少年、悪魔と出会う。
僕は体を起こした。
「久しぶりだね。元気そうで何よりだよ」
「そちらこそな。屋敷暮らしはどうだった?」
「素晴らしかったよ。本当なら一生あそこで暮らしたかった」
「そうされては私が困る」
「……まさか君がやらせたのか? あの屋敷の襲撃は」
「そんな無粋なことを私がするわけがないだろう。偶然さ」
冗談とも本気ともつかないような微笑を浮かべる少女。
「一体何者なんだ、君は」
「メフィだ」
「メフィ?」
「私の名前だ。メフィと呼ぶか、メフィさんと呼ぶか、千年に一人の美少女メフィちゃんと呼ぶか、それとも……まあ、好きなように呼べ」
「じゃあ、メフィ。君は何者なんだ?」
「その前に」
メフィが僕の鼻先に人差し指を突きつける。
「な、何だよ」
「お前の名前を言え。それが礼儀だろ」
「……ニルだ。ニル・ジェーン」
「そうか。まず初めにこれだけは言っておく。ニル、契約した以上私たちは運命共同体だからな」
「運命共同体?」
「お前が死ぬときは私が死ぬ時だし、私が死ぬときはお前が死ぬ時だ」
「……ちょっと待って。その前に契約って何? どうして僕は若返った?」
「その前に」
「こ、今度は何だよ」
「私のようなか弱い美少女を立たせっぱなしとはどういうことだ。座らせろ」
「は、はあ、気が利きませんでどうも……」
僕はベンチの隅に座り、メフィが座るスペースを作った。
やれやれ、と言いながら僕の膝に座るメフィ。
……………。
「で、何だ? 質問を受け付けるぞ」
「いやちょっと待てそれはおかしい」
「何がだ」
「どうして躊躇なく僕の膝に座るんだよ。隣を空けただろ」
「おかしいのはニルの方だ。まさかお前、こんな固いベンチに私を座らせるつもりだったのか?」
「…………」
僕は言葉を失った。
なんか変な女に引っかかってしまった。
怪しい壺とか幸運になる指輪とか買わされないだろうか。




