──*──*──*── 3日後
──*──*──*── 試合会場
──*──*──*── リング上
今日は遂に暗黒武術大会の決勝戦だ。
あんな痛ましい事件が起きたにも関わらず、予定通り決勝戦を決行するなんて、それだけ暗黒武術大会ってのは大事なイベントなのかな?
決勝戦だし、事件の所為で流れちゃうのは残念でもあるし、勿体無い気もする。
熱狂的なファンも多いみたいだしな。
因みにどんな事件が起きたのかと言うと、妖怪チームのスポンサーをしていた貴族達が妖怪達の襲撃に遭って大量虐殺されたらしい。
“ らしい ” って言うのはセノコンとマオキノ情報だからだ。
この島には新聞が無いもんだから、リゾート島で何等かの騒ぎや事件が起きても知る手立てや方法が無いんだ。
そんな訳で、セロがリゾート島の彼此にミニキノコンを散らせて諜報活動をさせているんだ。
ミニキノコン達からのリアルタイムな情報がキノコン達に伝わっていて、情報の共有化がされているんだとか。
その情報はセロにも筒抜けだから、セロを出し抜ける奴はリゾート島には居ないって訳だ。
準決勝戦が終わって、宿泊施設へ戻る前にセロとピクニックを楽しんでいた間に貴族達の別荘が妖怪達に襲撃されていたらしい。
とんだ災難だと思うけど、大勢の妖怪に襲撃されるなんて余程の恨みでも買ってたんだろう。
貴族達も思い当たる節が有り過ぎるんじゃないかな?
貴族達に同情はしない。
自業自得ってヤツだと思うからな!
決勝戦の第1試合はオレが出る事になった。
折角の武術大会なんだから、オレだってマトモに戦いたいんだ。
例え真剣の使用が禁止されていて、使えるのが売店で販売されている安物の木剣だとしてもだ。
審判実況者:ドミコ
「 ──試合を初める前にマオ選手には此方が用意した木剣をお渡し致します!
此方の木剣は試合会場の売店で売られている土産ようの木剣で~~~す!
タネも仕掛けも無い安物の木剣で~~~す! 」
ドミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃがオレに木もっ剣けんを渡わたしてくれる。
マオ
「 ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃ、木もっ剣けんに魔ま法ほうマジックを纏まとわせて使つかうのはセーフなの? 」
審判実況者:ドミコ
「 魔ま法ほうマジック……ですか?
初しょ戦せんの時ときにも言いわれてましたね。
妖よう術じゅつみたいなものでしょうか……。
妖よう力りょくを武ぶ器きに纏まとわせて使つかう選せん手しゅは居いますし、OKオッケーです。
安やす物ものの土産みやげ品ひんを使つかってもらう訳わけですし、それぐらいのハンデは運うん営えい側がわも認みとめるそうです 」
マオ
「 そうなんだ?
良よかった!
真しん剣けん相あい手てに木もっ剣けんじゃあ、心こころともないから不ふ安あんだったんだ~~ 」
ホッと胸むねを撫なで下おろして安あん堵どするオレを見みて、ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃも安あん心しんしたみたいで笑え顔がおを見みせてくれた。
審判実況者:ドミコ
「 ──それでは決けっ勝しょう戦せんの第だい1試し合あいを開かい始し致いたします!
対たい戦せんするのはチーム【 サムシング・グレート 】のマオ選せん手しゅとチーム【 矢や薙なぎ 】の覆ふく面めん選せん手しゅです! 」
ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃが合あい図ずを出だすと試し合あい会かい場じょうに試し合あい開かい始しを知しらせるゴングが鳴なり響ひびいた。
オレは直すぐ様さま、試し合あい前まえにセロから教おしえてもらったコーティング魔ま法ほうマジックを発はつ動どうさせて木もっ剣けんに掛かけた。
売ばい店てんで売うられている安やす物ものの木もっ剣けんが拳こぶしや真しん剣けんの衝しょう撃げきに耐たえられる筈はずがないし、折おれたりでもしたら戦たたかい難にくくなるのは目めに見みえている。
剣けん術じゅつだけじゃなく、護ご身しん術じゅつも兼かね備そなえたあ・ら・ゆ・る・体たい術じゅつもセロから教おそわっていて鍛きたえられているから体たい術じゅつオンリーの肉にく弾だん戦せんでも十じゅう分ぶんに戦たたかえはするんだけど、オレは腐くさっても剣けん士しだから最さい初しょぐらいはち・ゃ・ん・と・剣けん士しとして戦たたかいたい。
木もっ剣けんを丈じょう夫ぶにして折おれないようにコーティングし終おわったら、次つぎは木もっ剣けんに風かぜウィンド魔ま法ほうマジックを纏まとわせた。
木もっ剣けんを包つつみ込こむように風かぜウィンドが起おこっている。
上う手まく纏まとわせれたみたいだ。
態わざ々わざセロに頼たのみ込こんで〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉で構こう成せいしてもらった売ばい店てんの木もっ剣けんを使つかって練れん習しゅうした甲か斐かいがあった。
オレには魔ま法ほうマジックの才さい能のうが皆かい無むだから、高こう度どなコーティング魔ま法ほうマジックを使つかえるようになるでに300本ぽん近ちかくの木もっ剣けんを駄ダ目メにしてしまった。
だけど、その甲か斐いもあってか高こう度どなコーティング魔ま法ほうマジックを成せい功こうさせれるようになれたんだから、きっと駄ダ目メにした多おおくの木もっ剣けんも浮うかばれてくれると思おもう!
まぁ…真しん剣けんなら兎とも角かく、木もっ剣けんに魔ま法ほうマジックを纏まとわせるなんて荒あら業ぎょうを成せい功こうさせる為ために2000本ぼん近ちかくの木もっ剣けんを駄ダ目メにしちゃったんだけどな~~~。
ははは………。
木もっ剣けんに魔ま法ほうマジックを纏まとわせる方ほう法ほうがち・ゃ・ん・と・成せい功こうさせれるか実じつはヒヤヒヤもんだったんだ。
成せい功こうして良よかったぁ~~(////)
オレは風かぜウィンドを纏まとわせた木もっ剣けんを巧たくみに振ふっては覆ふく面めん選せん手しゅを追おい詰つめる。
追おい詰つめれてるんだよな??
覆ふく面めん選せん手しゅは小こ柄がらだからかオレみたいに素す早ばやく移い動どうしては攻こう撃げきを寸すん前ぜんでか・わ・し・た・り・、受うけ流ながしたりして来くる。
オレの攻こう撃げきを寸すん前ぜんで受うけ流ながせるとか、十じゅう分ぶんに人にん間げん離ばなれしてると思おもう。
妖よう怪かいだからかな?
覆ふく面めん選せん手しゅから攻こう撃げきはしてこない。
多た分ぶんだけど、攻こう撃げきが出で来きないんじゃなくて、攻こう撃げきするチャンスを窺うかがいながら待まってるんだと思おもう。
オレの出で方かたを観かん察さんしてるのかもしれないな。
近ちか付づかなくても攻こう撃げきが出で来きる風かぜの刃やいば,疾しっ風ぷう突づき、暴ぼう風ふう千せん破ぱとか色いろんな特とく殊しゅ技わざを使つかってはみるものの悉ことごとくか・わ・さ・れ・る・んだよな、もうっ!
風かぜウィンドをチョイスしたのが悪わるかったのかな……。
マオ
「 ──ウィンドカッター!!
ツイントルネード!
サイクロン!! 」
風かぜウィンドを纏まとわせた木もっ剣けんだけじゃ埒らちが明あかないから魔ま法ほうマジックも使つかう事ことにした。
魔ま法ほうマジックを放はなって油ゆ断だんした所ところを狙ねらって木もっ剣けんを振ふるう!!
覆ふく面めん選せん手しゅの覆ふく面めんが風かぜウィンド魔ま法ほうマジックで破やぶれた!!
覆ふく面めんから見みえたのは鮮あざやかなピンク色いろの髪かみと、橙だいだい色いろをした長ながい獣けもの耳みみだった!?
獣けもの耳みみ…………だとっ!?
はぁぁぁぁぁあッッッ、獣けもの耳みみって事ことはだよ、覆ふく面めん選せん手しゅって亜あ人じん類るいって事ことか?!
居いたんだ、亜あ人じん類るい……。
だけど、何なんで覆ふく面めんなんかで耳みみを隠かくしてるんだろう?
う~~~ん、分わからん。
だけど──、あの耳みみって兎うさぎの耳みみだよな?
種しゅ族ぞくはラッビット族ぞくとかバーニィ族ぞくとか──かな??