──*──*──*── リング上
セロフィートはリング上に立っていた。
対戦者のツグヌギはと言えば、ギカイゴと同様にリング上に背中を付けた状態で倒れていた。
ツグヌギはギカイゴと同様に武器を構えるとセロフィートへ向かって走った。
セロフィートへ攻撃しようとした刹那────以下省略。
ツグヌギもギカイゴと同様に自分の身に起きた現状に思考が付いて来ずに困惑していた。
然し、ツグヌギはギカイゴとは違いセロフィートから実験される事は無かった。
ツグヌギはマオのブロマイドを持っていなかったからだ。
自分が実は命拾いしている事を知らないまま、ツグヌギはセロフィートから耳を疑う衝撃的な爆弾を投下される事になった。
ツグヌギにしてみればとても信じられないような認めたくない内容だった。
自分の戦意を削ぐ為,困惑させ油断させる為,動揺を誘う為に吟遊詩人が嘘を吐いていると思い込み、否定をしたいと強く思っていたツグヌギだったが、吟遊詩人が嘘を吐いていない証拠の品がツグヌギの目の前に現れたのだから否定する選択肢は消えた。
セロフィート
「 君の知らない事を教えましょう。
君達の助けたい家族は既にこの世に居ません 」
ツグヌギは声を出して否定したいが出来ない。
セロフィートから沈黙魔法を掛けられている為、声を出していても耳に声が聞こえない状態となっていた。
セロフィート
「 捕らわれている人質を生かし助ける為に優勝を目指して戦っているのに、無駄な事をしてますね。
君達が本来戦うべき相手は【 サムシング・グレート 】ではなく、貴族達の筈では?
君達は既に処分され、この世に居ない人質を解放する為に踊り続ける道化です 」
セロフィートは転送魔法を発動させるとツグヌギの目の前に貴族達に捕らわれ人質とされている筈の子供妖怪達の変わり果てた死骸をリング上に出した。
セロフィート
「 これは処分場に捨てられていた死骸です。
さて……この中から君は妹を見付け出せます?
ふふふ… 」
セロフィートは重力魔法を解除する。
自由に動かなかった身体が軽くなり動けるようになったツグヌギは、目の前に現れた死骸の山へ手を入れ妹を探し始めた。
「 嘘であってほしい! 」「 見付からないでほしい! 」「 生きていてほしい! 」と強く願いつつもツグヌギの手は止まらない。
死骸の山の下から見覚えのある腕を見付けたツグヌギは、腕を引っ張ると死骸の中から妹を出す事が出来たが、想像を絶する程の酷い状態だった。
変わり果てた妹の身体を直視したツグヌギは声が出せない。
怒りで全身が震えている。
両目からは血の涙を流し、悔い縛る口からも血が滲んでいる。
妹の両耳は削がれ、両目は抉られ、全身には痛々しい程の傷が付けられている。
両手と両足が縫い変えられており、腹も裂かれており、臓物が飛び出ている。
心臓,肝臓,膵臓,子宮,卵巣…等が取り出されているようだ。
頭にも傷があり脳ミソには大量の針が刺されていた。
実験なのか拷問なのかをされたのだろうか。
生まれて未だ8年しか生きていない幼い妹の無惨過ぎる状態を目の当たりにしたツグヌギは怒りに燃えていた。
ツグヌギの怒りの矛先はセロフィートではなく貴族達に向けられたのは言う迄もないだろう。
セロフィートが絶妙なタイミングで結界魔法を解除するとツグヌギはリング上を降り、準決勝戦そっちので仲間を引き連れ、試合会場から出て行ってしまった。
審判実況者:ドミコ
「 えぇ~~~と…………一体何があったのでしょうか??
セロフィート選手に攻撃を仕掛けたツグヌギ選手でしたが、攻撃が届く前にリング上に倒れました!
ですが、起き上がったツグヌギ選手は1人で妙な動きを初めました!
座り込んだかと思ったら急に立ち上がったツグヌギ選手は──、突如リング上から降り、何故か仲間と共に試合会場から去って行ってしまいましたぁ!!
えぇ~~~~セロフィート選手の対戦者ツグヌギ選手が試合を棄権されたようです!!
チーム【 サムシング・グレート 】の対戦チーム【 レインボイスド 】が試合放棄をされましたので──、準決勝戦の勝者は【 サムシング・グレート 】となりまーーーす!!
チーム【 サムシング・グレート 】は明後日の決勝戦に出場して頂く事になりま~~~す! 」
ドミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃの宣せん言げんにより、【 サムシング・グレート 】の決けっ勝しょう戦せん出しゅつ場じょうが決けっ定ていし、準じゅん決けっ勝しょう戦せんは幕まくを閉とじる事ことになった。
セロフィート
「 今こん回かいも “ 戦たたかわずして ” 勝かてました♪ 」
セロフィートは「 ふふふ 」と柔やわらかく笑わらうと階かい段だんを下おりた。
──*──*──*── リング外
マオ
「 セロ!
今こん回かいも戦たたかわないで勝かてちゃったな 」
セロフィート
「 有ゆう言げん実じっ行こう出で来きました♪ 」
マオ
「 マオキノとセノコンがセロが『 魔ま法ほうマジックを発はつ動どうさせてる 』って言いってたけど、どんな魔ま法ほうマジックを使つかってたんだ? 」
セロフィート
「 ワタシに近ちか付づくと転てん倒とうする魔ま法ほうマジックを使つかいました。
即そっ興きょう魔ま法ほうの1つです 」
マオ
「 即そっ興きょうで作つくったのかよ?!
転てん倒とう魔ま法ほう……か。
何なんか痛いたそうな魔ま法ほうマジックだな 」
セロフィート
「 対たい戦せん者しゃ達たちの首くびが折おれなくて良よかったです 」
マオ
「 確たしかにな。
転てん倒とうした弾はずみで首くびが折おれたら、謂いわれのない難なん癖くせ付つけられて此方こっちが負まけてたかも知しれないもんな? 」
セロフィート
「 その時ときは別べつの魔ま法ほうマジックで上う手まく誤ご魔ま化かします。
魔ま法ほうマジックが如い何かに便べん利りか証しょう明めいされました 」
マオ
「 古こ代だいエンシェント魔ま法ほうマジックなんてセロしか使つかえないだろ~~。
元げん素そエレメント魔ま法ほうマジックでも出で来きたらいいのにな 」
セロフィート
「 人にん間げんが元げん素そエレメント魔ま法ほうマジックを便べん利り魔ま法ほうとして扱あつかえる時じ代だいは未まだ々まだ来きません 」
マオ
「 セロ、予よ定ていより早はやく終おわったからさ、ピクニックしがてら戻もどらないか? 」
セロフィート
「 はいはい。
マオが望のぞむなら、ピクニックしましょう 」
マオ
「 やったぁ! 」
そんな訳わけで、宿しゅく泊はく施し設せつへ戻もどる前まえにピクニックをする事ことになった。
食しょく事じは…………セノコンとマオキノが何なんとかしてくれると思おもうから任まかせる事ことにした。
謂いわば “ 丸まる投なげ ” ってヤツだ。
セロがオレの手てを握にぎって来きたから、オレもセロの手てを握にぎり返かえすと、セロは嬉うれしそうに柔やわらかく微ほほ笑えんでくれた(////)