──*──*──*── 2日後
──*──*──*── 試合会場
今日の天気は昨日から続く生憎の土砂降りで、【 サムシング・グレート 】の4回戦は屋根付きドームの試合会場で行われる事になった。
ぶっちゃけると、【 サムシング・グレート 】に試合会場を変更する知らせは一切なく、時間になっても現れなかったら時間切れの不戦敗として対戦者チームを勝たせる手筈だったんだろうけど、そんなポカをオレのセロがするわけが無かった。
小っさいキノコンが島中に散っていて、宿泊施設や試合会場にも潜伏させている抜かりのないセロのお蔭で、【 サムシング・グレート 】は4回戦の始まる60分前には余裕で試合会場に到着する事が出来た。
宿泊室の中にあるドアの絵に入れば試合会場に繋がっている訳だから、大雨が降ろうが、大雪が降ろうが、強風が吹こうが一切天候に左右される事なく秒で到着出来るようになっているんだから、連絡が来なくても何等問題はない。
セロとオレはリング外に張られているテントの下に居る。
椅子に座った状態で、セロは試合には目もくれずに相も変わらず読書に耽っている。
オレはマオキノが用意してくれたスイーツを食べながら試合観戦をしている。
セノコンは4回戦に出場して遊ぶ為の準備運動をしている。
キノコンの準備運動って見ていて気持ちが和むくらい可愛いんだ♥️
セノコンには昨日のマオキノみたいに筋肉ゴツモリムキムキマッチョの姿には変貌してほしくないと切に願っている。
前の試合が終わって、【 サムシング・グレート 】の4回戦が始まる時間が来た。
【 サムシング・グレート 】を時間切れの不戦敗にしたかった対戦者チームのスポンサーは大富豪の貴族で、特別観戦席から「 何で彼奴等が会場に来てるんだ!! 誰が知らせたんだ!! 知らせた奴は死刑だっ!! 」って煩く喚き散らして騒いでいるみたいだ。
【 サムシング・グレート 】が時間に間に合って試合に出るんだから、対戦者チームが勝つ確率は0%だ。
当てが外れて「 ざまぁwwww 」ってヤツだな。
審判実況者:ドミコ
「 ──時間となりました!
これよりスペシャルゲスト、チーム【 サムシング・グレート 】の4回戦を開始致します!!
チーム【 サムシング・グレート 】はリング上へ上がってくださ~~~い! 」
ドミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃの合あい図ずで、階かい段だんを上あがってリング上じょうに立たつと、ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃに紹しょう介かいされた対たい戦せん者しゃチームもリング上じょうへ上あがって来きた。
審判実況者:ドミコ
「 ──チーム【 サムシング・グレート 】VS対たいチーム【 ライメイボルドー 】による、4対たい5のチーム戦せんを開かい始し致いたします!! 」
会かい場じょう内ないに試し合あい開かい始しを知しらせるゴングが鳴なり響ひびく。
対たい戦せん者しゃチームは試し合あい開かい始し早そう々そうに各おの々おので武ぶ器きを持もち構かえて、オレ達たちに襲おそい掛かかって来きた!!
先せん手て必ひっ勝しょう法ほうだろうけど、そんな戦せん法ぽうは【 サムシング・グレート 】には通つう用ようしなかった。
えっ、何なんでかって?
それは──、分ぶん裂れつしたセノコンが分ぶん身しん体たい達たちと一いっ緒しょに笠カサから胞ほう子しを飛とばし始はじめたからだ。
物もの凄すごい量りょうの胞ほう子しが飛とんで試し合あい会かい場じょう内ないに広ひろがっていく。
確たしか、セノコンの胞ほう子しの効こう果かは麻マ痺ヒだったよな。
セロとオレは人にん間げんじゃないからセノコンの胞ほう子しを吸すい込こんでも害がいはない。
同どう様ようにキノコンのマオキノにも効こう果かはない。
セノコンの胞ほう子しの影えい響きょうを受うけるのは【 サムシング・グレート 】以い外がいの貴き族ぞく達たちと妖よう怪かい達たちだ。
因ちなみにド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃにも効こう果かはない。
セノコンが胞ほう子しを飛とばす前まえにマオキノが気きを利きかせてド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃへガスマスクを手て渡わたしていたからだ。
ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃはガスマスクを付つけているから全ぜん身しんが麻マ痺ヒって被ひ害がいを受うける事こともなく、状じっ況きょうと審しん判ぱんに専せん念ねんが出で来きるってわけだ。
後あとでド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃを気き遣づかったマオキノを褒ほめてやろうと思おもう。
ただ……観かん戦せん客きゃく達たちも貴き族ぞく達たちも全ぜん身しんが麻マ痺ヒって観かん戦せん所どころじゃないと思おもう。
ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃの手てに汗あせ握にぎる渾こん身しん的てきな実じっ況きょうもこ・ん・な・状じょう況きょうの最さい中ちゅうじゃあ、右みぎから左ひだりに流ながれちゃうと思おもう。
試し合あいどころじゃないのは明あきらかだ。
マオ
「 これはこれで別べつの意い味みで大だい惨さん事じだな…… 」
セロフィート
「 今日きょうも “ 戦たたかわずして ” 勝かてますね 」
マオ
「 そだな…… 」
大たい量りょうの胞ほう子しが飛とび交かう中なか、セノコンは全ぜん身しんが麻マ痺ヒして動うごけない対たい戦せん者しゃを1人りずつ平ひら手て打うちで往おう復ふくビンタをしている。
物もの凄すごく良いい音おとが会かい場じょう内ないに響ひびいている。
往おう復ふくビンタの音おとが止やむと、ゴリゴリグシャグ──と言いう怪あやしげな音おとが聞きこえて来きた。
こ……これはま・さ・か・ま・さ・か・の咀そ嚼しゃく音おんか?!
マオ
「 …………セノコンが対たい戦せん者しゃ達たちを喰たべてるのか?? 」
セロフィート
「 そうです。
髪かみの毛け1本ぽん迄まで残のこさず喰たべてくれます 」
マオ
「 …………セロ……キノコンは肉にく食しょく系けいなのか? 」
セロフィート
「 怪かい物ぶつモンスターですし 」
マオ
「 そだったな… 」
そうだ。
怪かい物ぶつモンスターは人にん間げんを喰たべる生いき物ものだ。
怪かい物ぶつモンスターにとって人にん間げんは餌エサだ。
それは妖よう怪かいに対たいしても同おなじなのかも知しれない。
怪かい物ぶつモンスターにとって妖よう怪かいも餌エサなのかも知しれないな。
だけど……可か愛わいいキノコンが人にん間げんや妖よう怪かいを喰たべる姿すがたは直ちょく視ししたくないもんだ。
今いまは胞ほう子しが飛とんでるお蔭かげもあってか、セノコンが対たい戦せん者しゃ達たちを喰たべてる姿すがたは見みえない。
喰たべてる音おとはガッツリと聞きこえているけどな……。
なんて試し合あいだろう。
こんな試し合あいが今いま迄までにあっただろうか?
全ぜん然ぜん武ぶ術じつ大だい会かいしてないwwwwww!!!!